編集者コラム 第10回 ~欧州サッカー スタジアムレポート その2~
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それでは、第2回です。今回はレアル・マドリードとバイエルン・ミュンヘンの本拠地です。

第1回はこちらから

❸エスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウ(スペイン)

(撮影:木ノ下純希)

ラ・リーガ(1部)のレアル・マドリードC.F.の本拠地であり、81,044人収容を誇る4階建てのスタジアム。今後、総工費5億2,500万ユーロ(約656億円)をかけ、開閉式スタジアムへと改修がおこなわれる予定です。
※工期についてはあえて未定。詳しくは酒井氏へのインタビュー記事【第2回】にて

マドリードの中心駅のAtocha駅から地下鉄で約15分のSantiago Bernabeu駅を出てすぐ目の前に位置し、周辺には飲食店が豊富です。スタジアムの目の前のロータリーにバス停がたくさんあることも特徴的です。

スタジアム内にはレストランが4軒あり、3階建てのオフィシャルショップ(3階はアディダスの店舗)も併設しています。グッズの種類も豊富でした。

ピッチからスタンドまでの距離が近く、上層階の席の傾斜・ピッチに対しての角度がついているため、観戦しやすいだろうなと思いました。また、メインスタンドやバックスタンド中央に部屋から観戦できるシートがある他に、バックスタンド側のコーナー上部(すぐ下の写真、左側がバックスタンド)の2箇所にもガラス張りの観戦ができる部屋があります。

高密度のWi-Fi環境を導入されていたり、至るところにデジタルサイネージ(約1,000台)が設置がされていたり、事前に聞いていた通りのしっかりとしたデジタル設備がありました。

スタジアムツアーの案内板として、クラブに在籍しているトニ・クロース選手が道順を示している等身大パネルがありました。こういった細かいところに選手を登場させてくれて嬉しかったです。パネルの前で足を止めて写真を撮る人も多く見受けられました。

ピッチには芝の生育用グローライトが当てられている
ピッチには芝の生育用グローライトが当てられている(撮影:木ノ下純希)

スタジアム内にはVIP向けのエリアやシートの種類も豊富でした。ツアーでは立ち入ることはできませんが、遠目から見るだけで気分を味わい、満足することができる代物でした。
※VIPエリアの案内はこちらに記載

(撮影:木ノ下純希)

(撮影:木ノ下純希)

また、試合日以外でもビジョンスクリーンで映像を流してくれている唯一のスタジアムでもありました。ツアーの中でビジョンスクリーンの稼働状態を見せつつも、映像としてスポンサーCMをさりげなく見せられており、気がついたらそのスポンサー(このときはadidas)のことも印象に残っていました。

改修計画中の新スタジアムのトイレには、各便器にモニターの搭載を予定している、とのことです。実際、用を足している間は目線が空くので、そこでスポンサーCMを流されたら見ちゃうと思いました。

このように顧客体験・満足度をあげつつも、スポンサーを来場者に覚えて帰ってもらうという、少しでも一石二鳥をしようと努力している参考事例だと感じました。

(参照:Diario AS)

毎日実施されている「ベルナベウ・ツアー」はレアル・マドリードC.F.の全てを知ることができ、銀河系軍団の数々の偉業が様々な手法で表現されています。

公式の購入ページから25ユーロ(約3,200円)~購入可能

視覚的な仕掛けや演出も多かったです。VR(仮想現実)で選手バスの乗車体験ができたり、まるでテーマパークのようでした。歴史の説明などがわからない子どもでも楽しめるコンテンツがしっかり用意されてて配慮が凄いな、と思いました。

私は平日の夕方に行ったのですが、その時間帯でも多くの観光客や現地の方(特にカップル)が周っていました。

(撮影:木ノ下純希)

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❹アリアンツ・アレーナ(ドイツ)

(撮影:木ノ下純希)

ブンデスリーガ(1部)のFCバイエルン・ミュンヘンの歴代3つ目の本拠地であり、75,000人収容のスタジアム。2005年に完成され、2018年3月には"完全なバイエルン・ミュンヘン仕様"にするための改修工事がおこなわれました。
※TSV1860ミュンヘンは2017年7月に使用契約を解約

繭のような独特な外観には日本企業のAGC社のフッ素樹脂ETFEフィルムが計2,760個使用されておりフィリップス社のLED照明システムにより表面を約1,600万色(試合日は基本的にホームカラーの赤色)の配色に変えることが可能です。実物を見て想像以上の明るさとスケールの大きさに魅了されました。

ミュンヘン中央駅から地下鉄で約25分のFrottmaning駅から徒歩13分(約1.1km)に位置し、約10,000台の車が駐車可能な地下駐車場が設備されていました。

文化的な面が強いということもありますが、周辺施設は駅前にしかなく
・スタジアムにA4サイズ以上の手荷物を持ち込むことができない
・スタジアムは現金での支払い不可。アレーナ・カードやApple Payにて支払い可能
などの制約がありました。
※いわゆる電子マネー。初回はスタジアム内のコンコースにて10ユーロか20ユーロで購入でき、初回はカード購入額分チャージされている。追加でのチャージが可能。カード返却で残チャージ分がキャッシュで返ってくる。

クラブのメインスポンサーにTelekom(ドイツの電気通信会社)がいるため、Wi-Fi環境が優れており、通信速度は他スタジアムに比べて圧倒的に速い印象を受けました。

Wi-Fi接続 入力・完了画面
Wi-Fi接続 入力・完了画面 (撮影:木ノ下純希)

スタジアム内の照明には、外面と同じくフィリップス社のLED照明システムが使用されており、65,000個のライトと5,000mもの制御ケーブルが使われています。

その技術を活用して明転と暗転をスムーズに繰り返しながらおこなわれる試合開始前のスタメン紹介や選手入場時の演出は圧巻でした。ホームチームの得点後も入場時同様のライトアップ演出が施されており、ノリの良い専用の音楽も流れるため、ものすごい高揚感がありました。

両面ゴール上部の2箇所に設置されている欧州トップクラスのサイズと画質を誇る100m2のLED電光掲示板は、今回のレポートで訪れた7つのスタジアムの中では最も画面の見やすさを感じました。

2階と3階の間部分に円状に配置されている106部屋のVIPボックス(合計1,374人収容可能)は高い収益性と顧客満足度を誇っている、とのことです。私が観戦したvsシャルケ04戦(2019年2月10日)では全室が埋まっているように見えました。

選手入場時の様子
選手入場時の様子 (撮影:木ノ下純希)

スタジアム全体で合計約300台のデジタルサイネージが使用されており、コンコース内に等間隔に設置されているモニターは売店のメニュー表示に活用されていました。

コンコースはスタジアム(1階と2階の間部分)を1周することができ、売店やプラチナパートナーのPaulaner(ドイツのビール会社)の店舗が上層階を含め至る所にあるため、飲食物購入時の移動がしやすかったです。

(撮影:木ノ下純希)

試合日以外に実施されている「アレーナ・ツアー」はアリアンツ・アレーナ内をガイド付き(英語かドイツ語)で案内してもらうことができ、クラブミュージアムにも入場ができます。
公式の購入ページから19ユーロ(約2,400円)~購入可能(ミュージアム入場のみなら12ユーロ(約1,500円)~)

私は試合日に訪れたため、スタジアムツアーに参加をすることはできなかったのですが、試合開始約3時間前にクラブミュージアムには入場することができました。

ミュージアムではクラブが獲得した歴代トロフィーや記念品の展示物を見て周ることができます。所属している全選手の等身大パネルが置いてあるエリアに多くの人が集まっていました。

歴史を知れる動画鑑賞コーナーもあり、クラブに対する理解が深まりました。

(撮影:木ノ下純希)

ミュンヘン中央駅でも気になった点があります。

クラブのプラチナパートナーに名を連ねているtipico(ドイツのスポーツ・ベッティング会社)。ミュンヘン中央駅付近にもベッティング専門店が複数オープンしていました。

夜通し多くの人が来店しており、重要なシーンや試合終盤にはかなりの賑わいを見せていました。やはりベッティング、そういった賑わいの中でもピリピリした雰囲気がありました。

なお、ドイツ国内では2000年に「スポーツ賭事法」が成立され、スポーツ・ベッティング協会も設立されています。
※州単位での規制はあり

ミュンヘン中央駅近くのtipicoの店内
ミュンヘン中央駅近くのtipicoの店内 (撮影:木ノ下純希)

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第3回はこちらから

※金額はすべて2019年3月上旬で換算


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