編集者コラム 第10回 ~欧州サッカー スタジアムレポート その1~
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こんにちは。THE STADIUM HUBのアシスタント、木ノ下です。

実は本サイトに関わり始めた1年前、私はスタジアム・アリーナに全く関心がありませんでした。

大のスポーツ好きのみを寄せ付ける堅苦しい施設、というネガティブな印象を抱いていたほどです(笑)。

しかし、今では正体を知り、体験するうちに「多くの人々が繋がることができ、誰もがドキドキワクワクできる空間」だと素直に感じるようになり、以前の私のような"知らないから怖い"という方にも少しでも魅力や楽しさを知ってほしい、と想いを抱くほどになりました。

スタジアム・アリーナに関しての知識がほぼ皆無の状態から一変してスタジアムオタクの道へと歩みを進め始めている私は今回、学生最後の休み期間を使い、観光と試合観戦のついでに欧州3ヵ国(スペイン・ドイツ・イギリス)の7つのサッカースタジアムに行ってきました。

各スタジアムそれぞれに特徴がありながらも共通項として「街の観光地になり、試合日以外にも興行としての仕組みが設けられている」ことを率直に感じました。

その辺りも踏まえながら、"改修・建築ラッシュ"が起きている欧州のサッカースタジアムの現地情報や目の当たりにしたことについてまとめました。3回に分けてレポートします。

まず第1回は、FCバルセロナとアトレティコ・マドリードの本拠地です。

❶カンプ・ノウ(スペイン)

(撮影:木ノ下純希)

ラ・リーガ(1部)のFCバルセロナの本拠地であり、99,354人収容を誇る欧州最大のスタジアム。105,000人収容のノウ・カンプ・ノウへと改修が予定されています。
※2019年夏に着工、2022-2023シーズン完成予定

バルセロナの中心駅のBarcelona Sants駅から地下鉄で約20分のcollblanc駅から徒歩10分(約1km)に位置し、周辺には飲食店やバス停が豊富であり、スタジアム敷地内にもスポンサー企業の飲食店舗(ビールなど)やカフェが多数オープンしています。

スタジアム内の売店ではアルコール類は一切販売しておらず、中への持ち込みもできないため、試合前にスタジアムの目の前に店舗が設置されているESTRELLA DAMM(スペインのビールメーカー)のビールを購入して一杯飲んでから入場する人が多く見受けられました。

私は航路トラブルにより試合開始15分前にスタジアムに到着したのですが、その時間帯でも電車はギリギリ乗車ができる位の混雑具合で、日本に比べると試合開始間近にスタジアムに到着する人が多い印象を受けました。

クラブ保有のフットサル場・体育館・練習場や3階建てのオフィシャルショップも隣接されており、その敷地の広さには驚きました。

駐車場はスタジアムの真横に設置されており、専用の入退場トンネルも設置されていました。しかし、1箇所しかないので帰りの道路渋滞がひどく、私が乗った市内バスもその影響で到着地まで15分程度の予定のところ1時間以上かかりました。

通信速度の速いWi-Fi環境が広範囲に整っており、スタジアムから約100m離れたオフィシャルショップ内でもタイムラグをあまり感じず、TwitterやInstagramなどのSNSを開くことができました。

観戦チケットをクラブの公式サイト(日本語)からオンラインで購入した場合、下記のようなQRコードが含まれたページのURLが送られてきます。手荷物検査とスタジアム入場時には、このQRコード画面を使うだけで、紙のチケットは不要でした。

オンラインチケット画面
オンラインチケット(撮影:木ノ下純希)

QRコードが含まれたページの情報はiPhoneの「Wallet」やAndroidの「PassWallet」にダウンロードすることができ、インターネットが繋がっていない機内モード時でも開くことができます。これにより、わざわざWebページを開かなくてもチケットや座席番号の確認ができてとても楽でした。

また、入場ゲート開門時(キックオフ約2時間前)にはプッシュ通知が来たりもします。

今後クラブのチケット再販システムも更新が予定されており、課題とされている収容率がどのように変化していくか要注目です。

3階スタンドからの景色(撮影:木ノ下純希)

1階スタンドからの景色(撮影:木ノ下純希)

カンプ・ノウはスタンドとピッチの距離が近く、開放感のある造りのため、上層階からでもピッチを鮮明に広々と見ることができました。

しかし、1階席では「天井の存在が視界に入ること」が気になり、3階席では「寒さと悪天候対策の不足」を感じました。(実は2試合観戦しました)

ただ、新スタジアム(ノウ・カンプ・ノウ)では1階席と2~3階の重なりが無い構造になり、1階席後方での観戦時に天井が気になることがなくなります。さらに全席が屋根で覆われる造りになるため雨や日光の影響を受けなくなるそうです。観戦で感じた課題が新スタジアムでは解消されるということで楽しみです。その新スタジアムの様子は以下の動画でご覧いただけます。

(動画:FC Barcelona)

試合日以外に実施されている「カンプ・ノウ・エクスペリエンス-ツアー&ミュージアム 」はFCバルセロナの全てを知ることができ、あまりサッカーやチームの事を知らない人でも贅沢感や高揚感を味わえるようなプログラムが用意されていました。
公式の購入ページで26ユーロ(約3,300円)~購入可能

私は旅行代理店経由で日本語ガイド付きオプショナルツアーに参加しました。そのとき、他の参加者にサッカーやFCバルセロナをあまり知らない同世代の女の子2人組が居たため、終了後にツアーの感想を聞いたところ、以下のように話してくれました。

「とても楽しかった。色んな所見せてくれたし、雰囲気に飲まれた。今度はサッカーの試合を行きたくなった。参加して良かった」

このプログラムにはバルセロナに訪れる旅行客の人気の観光スポットになっていることに納得がいく演出や仕組みが用意されていました。こういったシーンがあることを羨ましく思いました。

なお、このツアーではコアファン向けに使わなくなったピッチの芝生の販売もおこなっています。放送席からの見学ができる、というのも特有です。

(撮影:木ノ下純希)

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❷ワンダ・メトロポリターノ(スペイン)

(撮影:木ノ下純希)

ラ・リーガ(1部)のアトレティコ・マドリードのビセンテ・カルデロンに続く、歴代5つ目の本拠地で、2017-2018シーズンの第4節(2017年9月16日)にて開場された73,000人収容の新スタジアムです。ちなみに、日程の都合上、試合は観戦できませんでした。

改修以前は20,000人収容のエスタディオ・オリンピコ・デ・マドリード(陸上競技場)として使用されていました。2018-2019シーズンのUEFAチャンピオンズリーグの決勝開催地にもなっています。

マドリードの中心駅のAtocha駅から地下鉄で約30分のEstadio Metropolitano駅(2017年に完成)を出てすぐ目の前に位置しています。車でもAtocha駅から約15分で到着することができ、スタジアム真横に約3,000台・スタジアム内に約1,000台が駐車可能な駐車場があります。

地下鉄・市営バス・Carcanias近郊鉄道・車・タクシーなど多様な移動手段が可能なため、非常にアクセス面に優れていました。しかし、スタジアム周辺に飲食店などの施設がまだ全然と言っていいほど無い状態のため、今後どういった変化を見せていくのか楽しみです。

オフィシャルショップの隣にはカフェを併設していました。

スタジアム内は、新スタジアム特有の新鮮さが存分に漂っており、内装はクラブカラーの赤と白に見事に統一されていました。ツアー時に案内をしてくれたクラブスタッフによると、赤と白に統一された色合いは同リーグに所属するアスレティック・ビルバオの姉妹チームという伝統も表現しているそうです。

(撮影:木ノ下純希)

ビジョンスクリーンが3箇所(バックスタンドに1箇所、メインスタンド寄りのコーナー上部に2箇所)設置されていました。すべて斜め下向きに設置されていたので、ピッチと同じような高さのスタンドから上部のスクリーンを見たときに、真正面の角度から画面を見ることができました。

天井の淵の全方位にはLED照明が施していることで、多彩な演出を可能にしているそうです。あとで照明演出を映像で見ましたが、華やかな空間と臨場感を作り上げていました。

LED照明を使った演出がおこなわれている様子(動画:Atlético de Madrid)

ツアー時に案内されたメインスタンド2階部分のゾーンには座席にビデオモニターが設置されていました。シートもクッション性で厚めに造られているため、座り心地がとても良かったです。

全体的にピッチとスタンドの距離がとても近く、視界を遮るものが無いため、観戦に最高に集中できる環境が整っていました。階段通路はかなり広めに作られており、この広さなら歩行者がすれ違う際にぶつかることは少ないだろうなと思いました。

ビデオモニターが設置された座席 (撮影:木ノ下純希)

(撮影:木ノ下純希)

試合以外の日に1日4回実施されている「ワンダ・メトロポリターノ・スタジアム ツアー 」はスタッフガイドが隅々まで案内(スペイン語か英語)してくれます。実施時間は約1時間です。
公式の購入ページで16ユーロ(約2,000円)から購入可能

スタジアム全体として、やはり新しいということもあり非常にきれいで、クラブスタッフの方がツアー中に「スタジアム内の設備に対して選手からの満足度がとても高い」と胸を張って言っていました。

VIPシートに座ったり、ロッカールームや試合前に歩くプレイヤーズトンネルを間近で見たりすることができます。試合前日で記者会見場には入れず残念でしたが、新スタジアムならではの高揚体験を味わうことができました。

ツアー内容には若干の物足りなさは感じたものの、新スタジアムの全貌を覗くことができるプログラムでした。「テクノロジーを活用した試合日のライトアップ演出を味わえるような体験型コーナー」や「クラブの歴史を知れる動画鑑賞コーナー」などがあると更にチームを身近に感じてもらえるのでは、とは思いました。

既にスペイン国内にて「欧州最高峰のスタジアムの1つ」と評価を得ているこのスタジアムには、選手・観客ともに高いエンゲージメントを作り上げるための工夫や仕組みが多く施されていました。次はこのスタジアムで試合観戦をしたいと思いました。

(撮影:木ノ下純希)

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第2回はこちらから

※金額はすべて2019年3月上旬で換算


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