【第2回】絶対に負けられない戦いがここにも!? ~可愛い元ビールの売り子さんに聞く!仮面インタビュー~(2/3)
【第2回】絶対に負けられない戦いがここにも!? ~可愛い元ビールの売り子さんに聞く!仮面インタビュー~(2/3)

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編集長がビールの売り子さんの話をきくインタビューの第2回、引き続き、学生時代の4年間を一緒のスタジアムで過ごした"元気な元子ちゃん""銀座のホステスっぽい銀子ちゃん"のノリノリトークが続きます。「女は怖い、男は浮気する」「売り子たちにもXデーがある」など、彼女たちの名言は必見です!
(聞き手・有川久志 編集・夏目幸明)

第1回はこちらから

談笑をする元子ちゃんと銀子ちゃん
談笑をする元子ちゃんと銀子ちゃん

おじいちゃん、すぐ寝ちゃうから......

―試合展開次第で売る必殺技があるんですか!?

元子:はい。ビールを注ぐときに、ノリで「次に点とったら来ましょうか?」とか「〇×選手が打ったらまた来ましょうか?」なんて聞いておくんです。

―1000席以上任されるのにそんなことまで記憶するんですか?

元子:もちろんです。

銀子:私も「この通路のあたりの、こんな特徴の方」と記憶しますよ。

元子:ちゃんと覚えているからこそ、約束通り顔を出すと、お客さんが「わっ、本当に来たよ!」なんて喜んでくれるんです。みなさんだいたい約束通り買ってくれますよ。

―努力のたまものなんだなぁ。

元子:お客様から「逆転したらきて」とか「何回になったらきて」と言われることもあります。これがまた重要で、ビールのニーズは回を追うごとに減っていくから「7回、8回あたりにきて」と言われるのはとてもありがたいんです。もちろん、私たちもお客さんが飲むペースをざっくりつかんで、タイミングを見計らって売りに行きますしね。

―客商売の基本を見た気がします。

銀子:あと、私は男性だけか、女性もいるかで接客を変えていました。カップルや、団体さんに女性がいる場合は、お姉さんを味方に付けておくと大きいんです。やっぱり男性はほかのブランドに浮気しやすいんですが......。

―そうなんですか?

銀子:はい。でも女性が味方だと、お声かけしたときに「ほら、この子、こんなに頑張ってるんだから飲んであげなよ」なんて言ってくれるんですね。だから女性はお客さんじゃなくても、特に丁寧に接客していましたね。

元子:そうそう、私も「女の人の方が厳しい」と思います。

―じゃあ、年齢差ってありますか?

元子:それはあまり感じませんでした。

銀子:うん、私も。

元子:おじいちゃんくらいの方だと、すぐウイスキーにいってしまう方が多い気がします。あと、1杯飲むと眠っちゃうんです(笑)。一方、若い方はお金を気にしながら飲んでますね。ほら、球場のビールって高いじゃないですか......。

―社会の縮図だなぁ

元子:そうかもしれません。でもやっぱり、年齢差はそこまで感じなかったですよ。

売り子にも「スタメン、固定ポジション」があった!

―ところで、売り子さんの1日ってどんな感じなんですか?

元子:集合時間は試合開始1時間半前でした。それから着替えたり、お化粧したり、軽くおにぎりを食べたりして、1時間くらい前からその日のミーティングが始まります。でもって試合開始30分前から販売開始、くらいですね。ソフトドリンクはもう少し前から販売を始めます。

―終了時間も決まっているんですか?

銀子:主催によってですが、プロ野球のナイターなら8回裏か、21時、その早い方で引き上げます。

―ちなみにお二人は何年間売り子をやったんですか?

元子銀子:(顔を見合わせ) お互い、大学生のあいだ、4年ですね。

―経験を重ねていくと変わることってありますか?

元子:実を言うと最初はソフトドリンクやウイスキーから始めるんです。私も1年目は「ビールをやりたい」とがむしゃらになっていました。そして2年目、3年目に次第にビールを売れるようになって、4年目にビールのブランドを引っ張っていけるようになって後輩の指導も任された、という感じでしたね。

銀子:芽が出ると"ビールに上がれる"んです。1年目に80人くらい採用されて、ビールに上がれるのは20人くらい、そのなかで毎回ビールを任されるのは上位10名くらいです。それくらい頑張らないと固定のスタメンにはなれないんですよ。

―スタメン! プロ野球のような世界ですね。

元子:コンスタントに売り上げをとらないと、また酎ハイやハイボールに戻されちゃいます。逆に杯数が伸びて安定すると「ここはあなたね」とエリアを任されて、野球で言う「レギュラー選手」のようになれるんですね。

銀子:1試合で24人出られるとしたら、エリアが固定されて、毎試合そこで売ってるのは半分くらい、残りの12人は割と流動的に、前の日にハイボールで結果を残した子がビールに上がったりとか、そんな感じです。最初は「ビールを売りたい」、次に「自分のエリアを与えられてレギュラーになりたい」、次に「レギュラーの中でいい順位をとりたい」と、どこまで行っても競争です。

―お二人から、ビールを売って、固定客もいて、という話を当然のことのように聞いていましたが、ビールを売れるのは売り子界のエリート、いつも同じエリアにいて固定客を持っているのはさらに選ばれたエリートなんですね。

元子銀子:そうですよ!

―じゃあやっぱり、お給料もそれなりに......? 売れる子の時給は大企業の役員レベル、なんて話も聞きますし、元売り子だったおのののかさん(タレント)は「売り子時代のほうが稼いでいた」なんて言っていますよね。

元子:そうでしょうか? 1試合何千円という基本給に一杯売って数十円の歩合が乗るだけなので、ほかのアルバイトより稼げる、くらいの金額ですよ。

―チップをもらえることもあるんですよね?

元子:はい。でもそれ、もらっちゃう子でも年間数万円ですよ。それより、お金の話なら私たちが冗談で「Xデー」と呼んでた日のほうが熱かったですね。

仲が良い2人も試合中はライバル
仲が良い2人も試合中はライバル

3杯しか売れなかった"伝説の試合"とは?

―Xデー?

元子:私たちのスタジアムは、社会人のアマチュア野球の試合もあるんです。これが熱い。1日何試合もあって、団体さんが多いから、よく売れるんですよ。その時期は合宿のように1日通して稼働をし続けるので、(ミーティングなどを行う売り子さんの)基地で睡眠するほど消耗するんです。だから、この大会が終わった次の給料日を「Xデー」と呼んでました(笑)。

―そういう意味か!

銀子:これ......本当に稼げるんです。団体によっては、羽振りがいいんですよ。その時は事前にミーティングで説明されます。

元子:バス何台でいらしてます! って言われて......。

銀子:売り子がみんなで「おー!」と声をあげたりして。これはテンション上がりますよ。

銀子:あと、団体さんのなかに、ビールの調達を任されている方がいらっしゃることがあるんです。その場合、チェッカーさん(第1回で説明した売り子の管理者)が「何通路の何番に座ってる人かもよ」なんて教えてくれたりして。

元子::私たちも「この人だ!」とわかると狙いに行きますよ。最高の笑顔で「よかったら皆さんでビール、いかがですか?」って話しかけに行ったり。逆にお客さんから「試合が始まったら樽ごと買うので持ってきて下さい」と言われたこともあります。

銀子:販売前にコンコースで「試合が始まったら何樽分持ってきて下さい」って声かけられてたよね。

元子:その時は横のエリアの売り子さんから「今日のあいつ、調子に乗ってるよ」って言われましたよ(笑)。ただ、逆の伝説をつくったのもこの大会だったんです。

―逆の伝説?

元子:朝一番の試合で、運送会社さんのチームが登場したんですよ。

―あ、わかった!

銀子:お客さんのほとんどが、この試合のあと仕事だから、全員「乗るなら飲むな」状態なんです。売り子同士ですれ違うときに「0? 私も」と確認しながら歩いていました。結局、私の売り上げはたった3杯(笑)。

元子:私はあの時、明らかに運送会社の方じゃない、野球が好きで観に来てる感じのおじいちゃんに「いかがですか?」と声をかけたりしてました。あれは逆の意味で伝説の試合でしたね。

―ほかにも、困ったお客さんとか、いるんですか?

元子:そうですね、正直、なかったわけじゃないですよ。

第3回はこちらから

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