【第2回】スタジアムではぐくまれる「川崎愛」~なぜ「富士通スタジアム川崎」はこれほど市民に愛されるのか~(2/4)
【第2回】スタジアムではぐくまれる「川崎愛」~なぜ「富士通スタジアム川崎」はこれほど市民に愛されるのか~(2/4)

【第2回】スタジアムではぐくまれる「川崎愛」~なぜ「富士通スタジアム川崎」はこれほど市民に愛されるのか~(2/4)

  • twitter
  • facebook
  • bookmark
  • push
  • line
  • twitter
  • facebooks
  • bookup
  • push7

川崎フロンターレが、川崎球場跡地を含む富士見公園南側の指定管理者になって以降、市民の心を鷲づかみにするイベントの数々を仕掛けている。Xリーグ(アメフト)のメイン会場である『富士通スタジアム川崎』の観客数も急増中だ。

同スタジアムの支配人で、今回の件の仕掛け人でもある田中育郎氏に話を聞くと、彼らはフロンターレで得た資産を活かしきっていることがわかった。
(聞き手・有川久志 編集・夏目幸明)

第1回はこちらから

富士通スタジアム川崎
川崎市民の憩いの場として親しまれている富士見公園の中にある川崎富士見球技場。2015年4月に富士通が命名権を取得したことで『富士通スタジアム川崎』となっている。
ホームページ:http://kawasaki-fujimi.com/

田中 育郎 氏
1968年、神奈川県川崎市生まれ。帝京大学を卒業後、凸版印刷(株)を経て(株)東京ヴェルディでは営業本部長等をつとめ、2010年10月より(株)川崎フロンターレへ。現在は富士通スタジアム川崎の支配人をつとめる。大学ではラクロス部に所属。社会人でも10年以上『東京ラクロスクラブ』に所属。川崎市在住。

等々力陸上競技場でのJリーグ試合後
等々力陸上競技場でのJリーグ試合後
©KAWASAKI FRONTALE

ここまで伺ったような臨機応変な対応はイベント開催になれていなければ無理ですよね。

田中:はい。ただし、すべてがすんなり運んだわけではありません。

Xリーグには、サッカーのJ2、J3にあたるX2、X3があり、2015年のゴールデンウィークにその中の1試合が開催されたんです。観客数は目で見て数えられるくらいでした...私は関係各所に「良い日程には良いカードを組んでもらった方が良いのではないでしょうか」と問題提起しました。

すると言葉の一部が一人歩きして、「田中はXリーグのX2やX3等はやるべきではないと言っている」という形で関係者に伝わってしまったんです...。

「来場が見込める連休こそ普段アメフトに馴染みが無い市民に興味を持って貰うために日本のアメフトを代表する試合をスケジューリングした方が良いのではないでしょうか」という意味だったのですが。

腹をくくった説明が、アメフト関係者の心をほどいた

― 田中さんの本意では無い受け取られ方をされてしまうこともあったのですね...。

田中: サッカーでもカテゴリーに関係なく地域に根差して来場者を獲得しているクラブも沢山あります。

アメフト界でもオービックシーガルズやノジマ相模原ライズをはじめ独自の活動で地域に根差しながら実力も兼ね備えた存在がいくつもありますし、私も関係者と個人的にも交流を持たせて頂いています。フロンターレも苦労してJ2からあがってJ1にいるわけで...。

ですので、カテゴリーが上か下かで論じるつもりは最初からありません。

私自身アメフトが好きで旧川崎球場時代には関東学生の準決勝を毎年観戦していましたし、世代的にはNFLブームを第一次も第二次も経験し、影響されています。恥ずかしながら運動部出身ですのでアメフトの選手達の凄さは理屈抜きで分かりますし根底にリスペクトがあります。

この時はアメフト関係者の皆さんにお詫びしつつ、あらためて私の意図を説明させていただきました。今では厚い信頼関係ができあがっていると思っています。

― その後、アメフトの試合の観客増員は右肩上がりなんですよね?

田中: 現在は富士通スタジアム川崎にて国内アメフトを代表する大会や試合の多くをスケジューリングしていただいています。

Xリーグを代表する強豪同士の対戦は勿論、2016シーズンからはXリーグのセミファイナルを開催し、先程お話した屋台村との相乗効果で多いに賑わっています。またXリーグ以外にも関東大学1部TOP8の対戦も増やして頂いています。

学生アメフトは根強いファンを獲得していて強豪校同士の対戦は常に賑わっています。2015、2017シーズンには大学アメフトの関東大学1部リーグの2位vs関西学生リーグDiv.Iの2位(3位)の対戦である『トーキョーボウル』も開催、関東の大学アメフトオールスター戦『カレッジボウル』は毎年開催していただいています。

地元パン屋さんの協力で出場全24校のロゴが入ったアメフトパンも売られ、母校のパンを買い求める方々でにぎわいました。

他の年代でも2017シーズンに高校日本一決定戦『クリスマスボウル』(隔年で関東開催)の会場にもなっています。関東と関西の高校地区選抜対抗戦『ニューイヤーボウル』(隔年で関東開催)も開催されています。

中学生アメフトの日本選手権決勝戦決勝、NFLフラッグフットボール日本選手権大会、女子のタッチフットボール関東オールスター戦、川崎市主催の『川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアムカップ』も開催されています。

藤子カップは川崎市の小学生の大会ですが市の施策により授業などで日常的にフラッグフットボールに親しんでいる小学生が集まった『アメフトの街かわさき』の具現化の成功を象徴する大会だと言われています。

これら素晴らしい大会を開催して頂いたこともあり満員御礼の試合は年々増加していますが、アメフト協会の皆様だけでなく市の様々な部署、地域の皆様と連携して様々な施策に取り組み、積み重ねてきた結果だと思っています。

― アメフト協会、行政、地域の方とのどのような形の連携なのですか?

田中: 3年前から川崎市のスポーツ室という部署が主導でアメフト協会関係者、地域の商店街の方、そして指定管理者で定期的にワーキンググループを開催してきました。

アメフトは元々根強いファンが居ますが、私が富士通スタジアム川崎でアメフトの試合を見た当初、気になったのは"自転車での来場者が少ない"ことでした。等々力陸上競技場でのフロンターレの試合は駐輪場が一杯になりますが、これは近隣からの来場者が多いということです。

富士通スタジアム川崎開催のアメフトの試合にも周辺地域からの来場者を増やしたいというのは指定管理者としての元々の考え方ですしワーキンググループの活動の意義でも有ります。またフロンターレのファンは元々サッカーが好きな方ばかりでは無かったはずです。

サッカーの強化と並行して地元(ホームタウン)を大切にし、"楽しさ"を提供し続けた結果、サッカーに興味のなかった方々も来場し、次第にファンになっていくということを繰り返しています。それをアメフトにおいても実現するべくワーキンググループ発案で様々な施策に取り組んできています。

― 具体的な施策、お聞きしたいです。

田中: 最も代表的なものが『川崎アメフト屋台村』です。今では年に3,4回、アメフトのビッグゲームにあわせて開催される人気イベントとして定着しています。仲見世通りの人気店に屋台を出店して頂いていますが、スポーツ室から各所へ働きかけがあったことで諸々の調整がスムーズに進みました。

川崎市内の小学校にチラシを配布しファミリー層の来場を促し会場は毎回大勢の人で賑わいを見せています。「屋台村を目当てに来場した市民にもアメフトも好きになって欲しい」と考えると同時に「屋台村の会場で配布したクーポン券を実際の店舗に持って行けば割引する」などの企画もつけて商店街自体の活性化にも繋げています。

また、先程お話しました『トークバトル』(毎、春、秋シーズン開始直前に強豪チームの監督やGMを招いて)は指定管理者から提案しました。

当初は富士通スタジアム川崎を会場にしていましたが、現在は川崎ルフロン(JR川崎駅前の商業施設)のシンデレラステップというオープンスペースで人通りが多い時間帯に開催することで多くの人の目に触れる様に、敢えて開催しています。今ではシーズン前の定番イベントになっています。

トークバトルの会場である川崎ルフロンさんはフロンターレのスポンサーですが、富士通スタジアム川崎のアメフト関連イベントの多くにご協力を頂いています。

― スポンサーの競技を超えたアクティベーションもあるのですね。

田中: 代表例としては、先程もお話しましたが『川崎ルフロンフィールドゴールチャレンジ』があります。他のスポーツ興行でもよく見る一般参加型イベントですが、ハーフタイムに抽選で選ばれた参加者がフィールドゴールに挑戦し成功するかしないか、というシンプルなゲームです。3万円ものお買物券が掛かっているために、毎回場内は異様に盛り上がります。

『アメフト行こうぜ!!抽選会』は富士通スタジアム川崎開催のアメフトのチケットの半券を持参すると川崎ルフロンで開催されている抽選会に参加できるというものです。川崎ルフロンの商品券やXリーグ各チームからご提供いただいたサイン入りグッズ等が当たります。

富士通スタジアム川崎の来場者の多くが川崎ルフロンの抽選会会場に足を運びます。指定管理者応募時のプレゼン資料に「富士通スタジアム川崎から近隣商業施設への送客」という項目があり、その具現化といえます。

また、川崎ルフロンのマスコットのふわふわ(子どもが中で遊べるキャラクターの形のバルーン)がXリーグの会場に設置されるのもお馴染みの光景です。

― スポンサーとの連携、具体的に分かりました。

田中: 他にも『フィールド開放イベント』と銘打ち『親子でアメフト!!キャッチボール』、『チアリーディング体験教室』等、家族で楽しく身体を、動かしながら試合直前のフィールドに入るという非日常体験をしていただいたり、こちらも先程お話しました自主事業でお世話になっている『ボーネルンド』様が試合前のフィールドにKID-O-KID(キドキド)の遊具を設置したり。

アメフトに馴染みの無い周辺地域の皆様にも足を運んで頂く為、ワーキンググループとして多くの話し合い、取り組みを積み重ねてきました。指定管理者にとってアメフト関係者は最大のお客様であり同志であると考えています。

― 従来のファンだけでなく近隣からの新たな来場者を増やす事はとても大事ですよね。

田中: 同時にワーキンググループの活動と並行して指定管理者(川崎フロンターレ)としても周辺地域から富士通スタジアム川崎に足を運んで頂くために多くの取り組みをしてきました。その中でフロンターレのサポーターの皆様の存在はとても重要でした。

その時選手は「賑やかしで行きたくはない」と言った

― どのように重要なのですか?

田中: (前述のように)指定管理者応募時のプレゼン資料には「川崎フロンターレのサポーターへ川崎フロンターレの情報に加えて富士通スタジアム川崎の情報を訴求します」「川崎スポーツパートナーである富士通フロンティアーズと連携します」「その連携をきっかけにアメリカンフットボールに興味を持っていただくよう努めます」という内容が含まれていました。

その意図を理解した多くのフロンターレサポーターがアメフトの観戦に富士通スタジアム川崎に足を運び始めてくれたのです。

― その流れはどのように作ったのですか?

田中: 最初に指定管理者業務開始直前、2015年3月14日、川崎フロンターレの等々力陸上競技場にて満員の観客で埋まったホーム開幕戦のキックオフ前に富士通フロンティア--ズの日本一の報告会が行われました。

フロンティアーズの今井キャプテン(当時)が「昨シーズン初めて日本一になりました。一足お先に日本一になりましたが、次は川崎市のかわさきスポーツパートナーであるフロンターレと共に日本一になりたいです。是非、応援に来て下さい」と挨拶しフロンターレサポーターから大きな拍手で迎えられたのです。

2015年8月24日には同じく等々力陸上競技場での川崎フロンターレの試合前に『アメフトーーク』というイベントを開催しました。Jクラブのホームゲームに来場したお客様をアメフトで楽しませるという画期的試みでした(笑)。

前述のフロンパークで『選手と綱引き』『キャッチボール教室』『選手と腕相撲対決』『選手達による胴上げ』等々、フロンティアーズの全選手がアメフトを絡めた様々なアトラクションを担当し大好評でした。

我々としてはアメフトーークにフロンティアーズの選手達が全員参加してくれるだけでも有り難かったのですが、選手達は「イベントに賑やかしで行きたくはない。行くなら自分たちを迎え入れてくれたフロンターレの応援もしたい。観客席の中でもGゾーン(熱いサポーターがいるエリアの通称)やゴール裏の旗振りなどを体験したい」と言ってくれたのです。

アメフトーークの告知看板
『アメフトーーク』の告知看板
©KAWASAKI FRONTALE

同時に選手間で「応援歌がわからないと観客席には行けないよな」という話が出たそうで。私からフロンターレサポーターの有志に相談したところ、すぐに動いてくれました。「俺たちがフロンティアーズの練習場に行ってレクチャーします」と、太鼓と旗を持って練習場に足を運び1時間くらいみっちりフロンターレの応援(チャント)をレクチャーしたのです。

私も行ったんですが...フロンティアーズの選手たちは大声で応援歌を練習していました。その真剣さは見ているこちらが鳥肌が立つぐらいでした。

サポーターと選手がお互いに礼儀を持ってリスペクトしあって思いが重なったのだと思います。試合中はおそろいの水色のTシャツを着たフロンティアーズの選手達全員が90分間跳ねながら歌っていました。今ではアメフトーークは毎年開催される定番イベントになっています。

だんだんフロンターレの水色が減っていった

― 選手たちの熱さと、サポーターの熱さがぶつかり合ったのですね。サポーターにすればフロンティアーズの応援もするしかないですよね(笑)。

田中: 次に大きな勝負に出ました。2015年10月3日(土)Xリーグ 1stステージ 第4節 富士通フロンティアーズvsノジマ相模原ライズにて川崎フロンターレOBの伊藤宏樹氏による始球式を実施したのです。

伊藤氏は事前にフロンティアーズのキッカー西村豪哲選手からレクチャーを受けて臨みましたが、そのレクチャーの様子をYouTube(frontalechannel)へ試合前にアップしてフロンターレサポーターの来場を促しました。本番で伊藤氏は満員の観衆の前で見事に50ヤードのフィールドゴールを決めたんです。

― 一発で決めたんですね。

田中: 「さすがプロ」としか言いようが有りませんが。。

企画を受け入れて頂いたXリーグ側(ノジマ相模原ライズ含む)の懐の深さには感謝しかありません。伊藤氏は試合前に行われた『初めてのアメリカンフットボール観戦講座』(川崎市が主催。アメフト解説の第一人者である輿亮さんを講師として定期的に行われている)にもゲスト出演しました。

伊藤氏も自分が出演することで、誰にどのような影響を与えるかを理解して様々な協力をしてくれたのです。翌2016年3月27日、こんどは西村豪哲選手が等々力のフロンターレのホームゲームで始球式を務めました。そして50メートル位の長距離のフリーキックを直接決めるという。。

他にも等々力陸上競技場のフロンターレのホームゲームで販売されるマッチデープログラムに、中村憲剛選手とフロンティアーズの中村輝晃クラーク選手の対談を掲載しました。

異種目の二人によるトレーニングに取り組む姿勢や食事の採り方等の会話がとても興味深く読者からも好評で富士通スタジアム川崎でのフロンティアーズの試合でも再編集版を掲載した号外を配りました。

これらの企画を通したフロンターレの柔軟さも凄いと思いますが。。フロンターレ後援会会員向けにチケット販売割引き企画やフロンターレ×フロンティアーズのコラボグッズ企画等、ここでは話しきれない位のたくさんの企画を連発しました。そしてフロンターレサポーターのフロンティアーズの試合への来場も増えていきました。

中村輝晃クラーク選手と中村憲剛選手
(写真左から)中村輝晃クラーク選手と中村憲剛選手
©KAWASAKI FRONTALE

― 郷土愛を持った方にすれば、応援すべき競技はサッカーに限ったことじゃありませんからね。

田中: 象徴的な現象としては当初、(前述の)始球式の時点ではフロンティアーズの観客席には(チームカラーの)赤のなかに(フロンターレのチームカラーの)水色がちらほら見えました。

― 「応援に来たぞー!」というわけですね。

田中: ところが、だんだん水色が消えていきました。最初はみんな"フロンターレサポーター"というアイデンティティを持って「川崎の仲間、かわさきスポーツパートナーであるフロンティアーズの応援に来た」はずです。ところが今はフロンティアーズ側の応援席は赤一色です。

当初、フロンターレのSNSやメルマガで散々誘われるから行ってみようか、と興味を持ったフロンターレのサポーターの皆様もいつしかフロンティアーズの選手達とも触れ合い、またアメリカンフットボール自体の魅力を知り、いつしか、我々が目指していた以上の流れが出来ていたのだと思います。その流れは富士通スタジアム川崎を飛び出しました。

2015年12月14日Xリーグ年間王者を決める『JAPAN X BOWL』では富士通スタジアム川崎主催で川崎フロンターレ後援会対象のバスツアーを企画し、『フロンターレ×フロンティアーズ コラボタオルマフラープレゼント』や『東京ドームフィールドツアー』等が好評を得ました。

翌2016年12月13日のJAPAN X BOWLでは選手入場時にサポーター有志がコレオグラフィーを実施しました。サッカーの試合では重要な試合前にサポーターが"コレオ"で観客席を彩るという文化が有りますが、フロンターレのサポーターの得意分野でもあります。そして東京ドームが赤と黒のコレオで彩られたシーンはとても印象的でした。

さらに2017年1月3日、日本一を決める『ライスボウル』では選手入場時に観客席で今度はビッグフラッグがサポーター有志の手によって広げられました。これも相当なインパクトがありました。

ところが「製作費は今から募金で集めます」と言う話を聞いて驚きました。「つくっちゃったものに対しての募金とか、聞いたことないですよね」なんて(笑)、以降毎試合「フラッグの制作費です」と募金を集め、1年で集めてしまったからすごいです。

Xリーグの某強豪チームの関係者も多く募金してくれたようです。「すごくいい活動ですね」と。このビッグフラッグはその後の富士通スタジアム川崎でのフロンティアーズの試合でも度々登場しています。

富士通フロンティアーズのビッグフラッグ掲出の様子
富士通フロンティアーズのビッグフラッグ掲出の様子
©KAWASAKI FRONTALE

― フロンターレサポーターの、ちょっと勇み足になるほどの情熱、素直にかっこいいと感じます。

田中: 大阪で行わるパナソニック インパルスとの試合や相模原ギオンスタジアムで行われるノジマ相模原ライズとの試合にも大勢応援に駆けつけてくれています。

私の仕事としては「富士通フロンティアーズとの連携をきっかけにアメリカンフットボールに興味を持って貰い、富士通スタジアムに賑わいをもたらすこと」なので、言い方は良くないですが、このフロンターレが絡んでくる流れは仕事の範疇外となります(笑)。

そんな狭い視野で語れる話では無くなってきたということですね。既にフロンターレサポーター云々という考え方自体が相応しくないのかもしれません。

― よく、この類のコラボは見ますが、やはり、心が通っていてこそコラボする意味があるんですね。

田中: 前述のアメフトーークは毎年開始されフロンティアーズの選手達の観客席での応援も恒例になっています。

今年のアメフトーークではこんなことが有りました。私がフロンティアーズの選手たちを応援の為に観客席に案内しようと通路を歩いていると選手達に「ちょっと待ってほしい」と言われました。何だろうと思ったら「気持ちを作る時間が欲しい」とストレッチや深呼吸を始め「ようし...」と気持ちを整えてから客席に入って行きました。

試合はフロンターレが勝利をもぎ取ったんですがフロンティアーズの選手達は最後まで大声を出し続け「最後の厳しい時間帯にフロンティアーズの選手達の声が響いていた」と言う声を多く耳にしました。試合終了後にフロンターレの選手と一緒に記念撮影をしました。

お互いに昨シーズン優勝していますのでチャンピオンの共演となりました。その時フロンティアーズの選手がフロンターレの選手を抱え上げているシーンがあり、その場面が中継で流れました。それを見て「3年半やってきてよかったな」と嬉しい気持ちになりました。

アメフトーーク以外の日にも富士通フロンティアーズの選手やフロンティアレッツ(富士通チアリーダー部)の姿をフロンターレの試合会場で見かけることが有ります。プライベートでも足を運ぶということはおっしゃるとおり心が通っているんですね。

― 市の施策『アメフトの街かわさき』の象徴的な話です。

田中: 繰り返しになりますが、フロンターレサポーター、川崎市民の皆様にはフロンターレをきっかけにフロンティアーズ、そしてフロンティアーズをきっかけにアメリカンフットボールを好きになって富士通スタジアム川崎に足を運んで頂ければ嬉しいです。

私と同じようなかつて深夜にNFLを見ていた世代も、アイシールド21を読んでいた世代も、日本のアメフトを一度でも見れば、その面白さ、レベルの高さに驚くと思います。

富士通スタジアム川崎では年間365日ある中の土日祝日の70日近くがアメリカンフットボールの大会に充てられています。満員御礼の試合は、その中の数日です。それ以外の日にこそ努力が必要であることには変わりありません。

来場者数増を目指すのは当然ですが、先程話しましたがカテゴリー関係無く、市民とどう向き合うか、向き合ったか、が問われるべきと思います。

チームとしてでは無く競技団体自体が地域に根差すという例は余り無いと思いますし、色々と難しいことは多いと思いますが、だからこそアメフト協会、Xリーグ側も富士通スタジアム川崎を上手く使っていただきたいという思いを持っています。

第3回はこちらから

THE STADIUM HUBの更新お知らせはこちらをフォロー
Twitter:@THESTADIUMHUB
Facebook:THE STADIUM HUB

  • line
  • twitter
  • facebooks
  • bookup
  • push7