こんにちは。編集部の筑紫です。
2023年1月29日(日)、J3リーグのFC今治の新たな航海が始まりました。クラブの宿願であったJ1規格に拡張可能な新スタジアム『今治里山スタジアム』が完成し、この日オープニングセレモニーが開催されたのです。「物の豊かさよりも、心の豊かさを」というスローガンを掲げ、地域の人々や子どもたちに笑顔を届ける様々な活動を実施してきたFC今治が辿り着いた答えを探しに行ってきました。
(取材と文、写真・筑紫直樹)
オープニングセレモニーの当日、肌寒い朝のJR今治駅前からイオンモール今治新都市行の直行シャトルバスに乗っておよそ15分、イオンモールのバス停に降りた記者の前に現れたのは美しい枯草色の丘でした。FC今治の新シーズンのキャッチコピーが映えるのぼり旗が、丘の上に続く階段に並んでおり、自然と目的地を視覚的に理解できる仕掛けとなっています。そう、この時点ですでに記者も里山に迷い込んでいたのです。
丘を登りきると、そこには今治市営スポーツパークサッカー場が広がり、多くの子どもたちやその家族がサッカーやテニスに興じていました。そして、その奥にこの日の主役ともいえる今治里山スタジアムのメインスタンドが、お披露目の瞬間を待っていました。
開場前にメディア受付で取材登録を済ませるためにメインスタンドの裏手に回ると、海賊船を彷彿させるその全貌が見えてきました。民設民営だからこそ可能な、チームカラーを前面に押し出した配色のクラブハウスからは、日本のスタジアムシーンでは珍しい重厚かつ鮮やかな力強さを感じます。当然、クラブエンブレムも存在感いっぱいに掲出されており、ここがクラブのホームであることを主張してきます。
この日のオープニングセレモニーの前売りチケットは、最終的にゴール裏の一部を除いてすべて完売したこともあり、開場した午前10時から多くの来場客が入場口を通過して入ってきました。なお、このコラムでお馴染みの「こけら落としグッズ」ですが、チケット購入特典として、「この日しか手に入らない今治タオルのタオルブランケット」やペットボトルの水に巻いて貼ることができる特別ステッカー等が入場口で配布されました。両方ともスタジアム名とマッチデーが入っており、まさに特別な日に相応しいグッズです。
他にも、グッズショップでは、エンブレムとスタジアム名、マッチデーが焼印された一合枡が限定200個で販売されるなど、この日にかけるクラブの意気込みを感じました。
海賊船の帆、そして冒険に旅立つ翼をも連想させる迫力満点のメインスタンドの屋根もさることながら、今治里山スタジアムの最大の特色は、盛り土で丘のように造成されたバックスタンドと両ゴール裏付近のエリアにあります。
季節が冬の真っ只中ということもあり、スタグルやクラフトショップなどのテントが並ぶ外周は一見荒涼としている印象を与えますが、今後数年をかけてこの土地が緑の植栽や人工池、木々で潤い、多様な人々が訪れ、時間を過ごす姿を想像してみると、まったく違う風景が見えてくるのではないでしょうか。
なお、この日の今治里山スタジアムのオープニングセレモニーには、約5千人にのぼる観客が来場して「上陸の宴、新たな船出」を楽しみましたが、天気は晴れ間が顔を見せる時間帯はあるものの、雪がちらつく寒い日だったこともあり、ランチタイム直前には温かい食事を求めてスタグルの屋台に多くの人が並んでいました。
来島の天然鯛のだしでとったスープと国産小麦の生麺が特徴の『しまなみ鯛だしラーメン』、ご当地名物の『今治焼豚玉子飯』や『せんざんき』、『大三島ソースオムそば』といった今治や愛媛ならではのスタグルはどこも人気でしたが、中でもひと際目立っていたのは、元日本代表専属シェフだった西芳照さんの『代表カレー』。バックスタンドの屋台から、なんとゴール裏の角まで長蛇の列ができていました。代表カレーはあっという間に完売してしまいましたが、購入できたお客さんは西さんと記念写真を撮ったり笑顔満開でした。
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