(取材と文、写真・筑紫直樹)
さて、スタジアムグルメはアウェー客にとっても大事なお楽しみですが、今回メインスタンドに一番近い屋台では、宮崎県児湯郡初のクラフトビール醸造所である阿波岐原クラフトブルワリーのブースで、クラブカラーとエンブレムがデザインされた特別ラベルの『テゲバサイダー』が販売されており、スタジアム応援のお供として人気を博していました。お土産にボトルを持ち帰りたいと考えていた人もいたようで、タイアップ商品の人気の高さを証明していました。クラブとコラボしたクラフトビールやドリンクはJ1の川崎、湘南、FC東京、清水、J2愛媛、そして広島県リーグ1部の福山シティFCなどが有名ですが、テゲバサイダーも同様の人気商品になる予感がします。
スタジアム周辺の取材が終わったら、いよいよメインスタンドに入場します。キックオフの1時間以上前でも多くの観客が完成したばかりのメインスタンドからピッチの風景を楽しんでいます。
こけら落としでは落成式などの記念式典が開催されますが、今回はさらにキックオフ直前に航空自衛隊新田原基地より飛来した4機のF15戦闘機の登場がスタジアムを大いに沸かせてくれました。落成式の様子はぜひクラブの公式サイトをご覧ください。
Jリーグアンセムが流れ、審判団や選手が入場すると会場のボルテージはMAXに。ホームゴール裏の太鼓に合わせて手拍子で熱心に応援する観客の期待に応えようと選手たちも躍動します。1,786人が見守る中、試合は0-1でいわてグルージャ盛岡に敗れましたが、この日は宮崎のサッカー界、いやスポーツ界にとって紛れもなく特別な一日となったことでしょう
さて、今回のスタジアム体験を振り返ると、5つのことが思い浮かびます。
1.ゼロピッチの魅力 - やはりサッカー観戦を語るうえでピッチと観客の近さは欠かせません。ピッチから客席最前列までの距離が最も近い場所で7mとリーグ屈指の近さを誇るユニスタでの観戦は、選手同士の気迫がぶつかる熱量を間近に感じることができるサッカー専用スタジアムならではの体験となるでしょう。
2.コンコースのフローリング - 一般的にコンクリート打ちっぱなしのコンコースが多い日本のスタジアムにおいて、木材をふんだんに使ったユニスタのフローリングは新鮮に感じます。欧州のスタジアムでもフローリングはVIPやスカイボックスといったホスピタリティフロアで使用されることが多いのですが、ユニスタの一般席に繋がるコンコースを覆うフローリングは快適な温もりを提供しています。試合終了後に、子どもが裸足で気持ちよさそうに歩いているのが素敵でした。
3.試合が終わっても楽しいスタジアム - この日は、テゲバジャーロ宮崎が試合終了後にピッチで公開練習を行ない、これを観覧無料としたことで両ゴール裏やメインスタンドに残って試合後の余韻を楽しむ観 客の姿は格別でした。特にゴール裏の芝生エリアでは子どもたちが寝転がったり、走り回ってスタジアム独特の空間を満喫しており、それを温かく見守るや家族や他のサポーターの皆さんのやさしい視線に癒されました。
4.眼下に広がる駐車場 - この日は、スタジアム横駐車場と北側駐車場というスタジアム隣接エリアだけで合計730台分、そして徒歩15分の場所に位置する新富町役場駐車場を含めると合計で約830台分の駐車スペースが確保されており、地方独特の車事情に対応していました。また、アウェー客も空港や宮崎駅でレンタカーすれば、宮崎観光をしながらスタジアムに立ち寄って試合観戦できるため、これは便利だと改めて感じました。今後の地方スタジアム整備計画におけるひとつのモデルケースになるでしょう。
5.メインスタンドに輝くクラブのエンブレム - ユニスタの外観の大きな特徴として、メインスタンド外壁にホームチームのテゲバジャーロ宮崎のエンブレムが描かれていることが挙げられます。欧米のスタジアムではよく見る光景ですが、日本のサッカースタジアムでこのように目立つ場所にクラブやチームのエンブレムが常時掲げられているのはJ2磐田のヤマハスタジアム、J3今治のありがとうサービス. 夢スタジアム、そして奇しくも同日にこけら落としを迎えた関東1部の栃木シティFCの新たな本拠地『CITY FOOTBALL STATION』などの一部の専用スタジアムだけです。ユニスタに輝くテゲバジャーロ宮崎のエンブレムは、まさに「ここがクラブの本拠地だ」という意思表示であり、同時に地域密着への信念を高らかに宣言したクラブの決意を表明しているように見えました。
宮崎に来られる際は、ぜひこの生まれたばかりのJリーグスタジアムでテゲバサイダーを片手に試合観戦をお楽しみください!
<了>
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