(取材と文、写真・筑紫直樹)
こんにちは。編集部の筑紫です。
2021年3月14日は、宮崎のサッカーファンにとって特別なホワイトデーになりました。クラブ史上初めてJ3に参戦するテゲバジャーロ宮崎の開幕戦が、新たな本拠地となるユニリーバスタジアム新富のこけら落としを兼ねて開催されたのです。新スタジアムの総工費約10億円はクラブが資金を調達し、完成後に新富町に無償譲渡しました。また、2019年7月18日に新富町と連携協定を締結したユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社が命名権(ネーミングライツ)を取得して呼称を決めました。
収容人数はJ3基準を満たす5,000人ですが、感染症対策として入場制限が設けられているため、この日の実質的な収容可能人数は約2,500人。それでも、記念すべきこけら落としの一戦ということで、前売りで発売されたS席とA席は早い段階で完売。クラブも当日に向けて余剰分の追加販売を実施するなど、注目度の高さが見受けられました。
JR日豊本線で宮崎駅から20分、日向新富駅に着くと改札口では駅長さんが選手のサイン入りミニ色紙を配っていました。これは、できるだけ多くの来場客に電車で現地まで来てもらおうというクラブの企画で、家族で来ていたファンやサポーターの人たちの笑顔が印象的でした。
日向新富駅からスタジアムまでは、クラブの今季のスローガン『真摯』が書かれた旗が道の両端に設置されており、迷うことなくスタジアムに誘導される仕組みになっていました。クラブカラーの白とピンクのユニフォームを着たサポーターの皆さんと共に、住宅街を抜けてスタジアムを目指します。
15分ほど歩くと、進行方向左手に美しいワンスロープのスタンドが目に入ってきました。一般利用可能なスタジアムパーキングとしては日本屈指とも思える駐車場を抜けると、いよいよスタジアムのメインスタンドがその全貌を現しました。
ホームゴール裏には、ご当地グルメの代表的なラインナップである肉巻きおにぎりやチキン南蛮バーガーなどのスタジアムグルメ屋台が設置され、試合前から行列ができていました。
すると、スタグル屋台に混じり、クラブの応援シャツをまとった女性3人がドリンクのお試しや肌診断を勧めているブースがありました。テゲバジャーロ宮崎とスポンサー契約を結んでいる株式会社シーボン.宮崎店のスタッフの皆さんです。株式会社シーボン.は「美を創造し、演出する」を企業理念とし、1966年の創業以来、スキンケア製品を自社で研究開発、そして製造から販売、アフターフォローまで一貫して行っている化粧品会社です。同社がJリーグクラブのスポンサーになったのは初めてのことになります。
宮崎店の責任者の小野恵美さんが、シーボン.とクラブの出会いを振り返ってくれました。
「シーボン.は日本全国で100店舗以上を展開しており、2021年は創業55周年になります。宮崎店もオープンして今年が37年目になります。テゲバジャーロ宮崎がJFLで戦っていた2020年に、ご縁あってスポンサー契約を結ぶことになりました。
地域の方々にお店に来ていただきたいという気持ちがある一方で、当店会員のお客様たちにもスタジアムに足を運んで楽しい時間を過ごしていただきたいと思っており、お互いにとって有益な相乗効果が生まれればいいなと考えております。
シーボン.では肌診断や東洋式フェイシャルケアなど多岐にわたるサービスを提供しておりますが、若いサッカー選手は美容にも真剣に取り組んでおり、特に肌診断に興味津々な選手もいましたよ」
美容とサッカー、一見関係があまりなさそうな2つですが、実は健康とQOL(クオリティ・オブ・ライフ)という部分では共通点が多いのかもしれません。
また、小野さんご自身も宮崎出身とのことで、テゲバジャーロ宮崎の成長には格別の想いがあるといいます。
「当社が地域密着を大事にして事業を展開していることもあり、私自身も地元が盛り上がることを非常に嬉しく感じています。新しいスタジアムができて、多くの方々が宮崎に来られて、さらに地域が活性化すれば素晴らしいことですし、私たちもその中でお力になれればと考えております」
なお、酵素ジュースや発酵チアシードの蒟蒻ゼリーといった健康商品は、基本的に会員価格がお得な設定になっていますが、なんとスタジアム価格はそれよりもさらにお得になっており、スタジアムに足を運ぶ理由がまたひとつ増えたといえるでしょう。スタジアムにおける積極的なスポンサーアクティベーションが奏功すれば、スタジアムビジネスの輪も広がり、スポーツやエンターテインメントが地域経済の活性化に貢献する好事例になるのではと期待しています。
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