世界のスポーツ施設の活用状況 -スタジアム&アリーナとCOVID-19
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世界的な新型コロナウイルスの蔓延にあたり、様々な協力をするスタジアム・アリーナが増えてきています。

先日の事例に加え、新たな事例をご紹介します。

①トッテナム・ホットスパー・スタジアム(イングランド、ロンドン)

産婦人科外来になったNFLビジター用更衣室
産婦人科外来になったNFLビジター用更衣室 (画像:TottenhamHotspurFC)

イングランドのサッカー、プレミアリーグ(1部)のトッテナム・ホットスパーFCは、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者を治療しているノースミドルセックス病院の病床開放に向け、本拠地スタジアムで婦人科外来の患者の受け入れを開始した。

2020年4月上旬にトッテナムは、ノースミドルセックス病院の医療従事者が使用できるよう、同スタジアムが臨時病院として改修されることを発表していた。また、同スタジアムは、妊娠中の患者を適切な医療機関に送るための管制センターの役割も果たすことになる。

改修により、スタジアムのメディア用入場口が外来患者の受付窓口となり、スタジアムカフェが外来患者や国民保健サービス(National Health Service=NHS)職員の待合室として使用されるほか、同スタジアムは全米アメフトプロリーグのNFLの公式戦開催スタジアムでもあることから、NFLのビジター用選手更衣室が産婦人科外来として使用される。また、選手トンネル付近のインタビューエリアや審判室が診察室やスキャンセンターとして、記者会見場はNHS職員用の会議室として使われる。なお、サッカーのアウェー用選手更衣室は助産師とNHS職員の事務室となる。

NHS職員の事務室として使用されているサッカーのアウェー用更衣室
NHS職員の事務室として使用されているサッカーのアウェー用更衣室 (画像:TottenhamHotspurFC)
ピッチに繋がる選手トンネル脇のインタビューエリアは診察室として使用
ピッチに繋がる選手トンネル脇のインタビューエリアは診察室として使用 (画像:TottenhamHotspurFC)
スタジアムの記者会見場で会議を行なうNHSの職員たち
スタジアムの記者会見場で会議を行なうNHSの職員たち (画像:SkySports)
トッテナムとNHSが婦人科外来に改修したスタジアムの見取り図
トッテナムとNHSが婦人科外来に改修したスタジアムの見取り図 (画像:TottenhamHotspurFC)

トッテナム・ホットスパー・スタジアムに開設された婦人科外来は月曜から土曜まで往診しており、クラブによると、1日に70人ほどの外来患者の受け入れを想定しているとのことだ。常時、最大で30名の職員を配備している。

②プライド・パーク・スタジアム(イングランド、ダービー)

多くの食糧が寄付された
多くの食糧が寄付された (画像:DerbyCountyFC)

イングランドのサッカー、チャンピオンシップ(2部)のダービー・カウンティの本拠地『プライド・パーク・スタジアム』は、COVID-19の感染拡大で食糧を必要とする人を支援するため、2020年4月16日より食品や食糧の寄付の受け付けを開始した。

ダービー・カウンティは、コロナ禍で影響を受けた地域コミュニティを支援するためのサポートや助言、対策を提供する『Stay Safe. Stay Fit. Stay Connected(いつも安全に・いつも健康に・いつも繋がって)』プログラムを実施しており、今回のスタジアムでの食糧集積活動も同プログラムの一環として行われる。

この支援活動はクラブ、ダービー・フード・フォーラム(Derby Food Forum)、ダービー・カウンティ・コミュニティ信託基金(Derby County Community Trust)の共同事業で、食糧の寄付はスタジアムの西スタンド駐車場の特設集積所で受け付けている。

食糧寄付は当面の間、毎週月曜日と木曜日の10時~14時で受け付けており、集積所ではクラブ関係者とコミュニティ信託基金の職員が対応する。寄付された食糧はダービー・フード・フォーラムが市内に開設・運営する食糧ハブに配達され、食糧を必要とする人の手に行き届く仕組みだ。

ダービー・カウンティのプライド・パーク・スタジアム
ダービー・カウンティのプライド・パーク・スタジアム (画像:DerbyCountyFC)

また、プライド・パーク・スタジアム内のコミュニティ信託基金の事務所は、ダービー&バートン大学病院NHS信託基金(University Hospitals Of Derby and Burton NHS Foundation Trust)の助産師チームの活動拠点として提供している。

ダービー・カウンティの食糧寄付の取り組み (画像:DerbyCountyFC)

③FNBスタジアム(南アフリカ共和国、ヨハネスブルク)

ヨハネスブルクのFNBスタジアム
ヨハネスブルクのFNBスタジアム (画像:Boogertman+Partners)

世界各国で新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が広がる中、南アフリカ共和国最大の都市ヨハネスブルクのFNBスタジアム(正式名称:サッカー・シティ・スタジアム)を臨時病院に転用するシナリオを想定した転用設計案が作成された。同スタジアムが臨時病院化した場合の病床数は1,500床で、改修設計プロジェクトはFNBスタジアムの設計に参加した建築設計事務所のブーヘルトマン+パートナーズ(Boogertman + Partners)社が率いた。

設計案の作成にあたり、ブーヘルトマン+パートナーズは同業者のヘイサ―・ハーン(Geyser Hahn)社と提携したほか、インフラ整備コンサルタントのブルーIQ(Blue IQ)社もプロジェクトの陣頭指揮を執った。FNBスタジアムは2010年に南アフリカで開催されたFIFAワールドカップのメイン会場で、観客席数は87,436席。

建築家や病院設計を専門とする設計士、インテリアデザイナー、アーバンデザイナーなどで構成された専門家チームは、72時間という限られた時間で、サッカースタジアムを臨時病院に改修する設計案を作成したが、どの関係者も「できればこの改修が実現しないことが望ましい」と口を揃える。

ブーヘルトマン+パートナーズは声明の中で次のように述べている。

「限られた空間においても、多数の(選手、観客、メディア、VIP、業者など)異なる属性の人間がそれぞれの動線で移動できるよう設計された大型スタジアムは、患者や医療従事者、医療サプライヤーなどの関係者が感染リスクを避けるために、必要な距離を保ちながら診療空間を移動する医療施設への転用に適しています。設計案では、地下階から上層ボウルのVIPスイート階まで、すべての階を検査、診察、そしてICUユニットが必要な高リスク診療などにゾーン分けしました」

FNBスタジアムの臨時病院転用設計案。各階ごとにゾーン分けする
FNBスタジアムの臨時病院転用設計案。各階ごとにゾーン分けする(画像:Boogertman+Partners)
リスクごとに異なる病床設計案
リスクごとに異なる病床設計案 (画像:Boogertman+Partners)

ブーヘルトマン+パートナーズのダイレクター、ジャン・グロブラー氏は、FNBスタジアムの臨時病院転用設計案について次のように語った。

「感染がこれ以上拡大せず、この設計案が実施されないことが一番の望みですが、同時に、ここで提案されている改修設計は、低リスク患者の治療病棟からICUを完備した高リスク施設まで全リスクタイプの医療施設を網羅した素晴らしいソリューションであると自負しております。作成に携わったすべての関係者の問題解決意識と善意の貢献は本当に素晴らしいもので、建築設計という仕事に心から誇りを感じました」

設計チームは缶詰め状態で作業にあたり、Zoomで連絡を取りながらアイディアや意見を交換。患者のリスクは3種類に分類し、集中治療や気管挿管を必要とする高リスク患者には適切な遮蔽設備とパーティションを用意し、経過観察対象の患者にはベッドと適切な医療機器が提供されるよう提案した。

なお、FNBスタジアムの臨時病院転用設計案と物流網構築案は、首都プレトリアのロフタス・ヴァースフェルド・スタジアム(収容人数51,762人)でも採用された。また、ネルソン・マンデラ・ベイ広域都市のスソノノ・ブイェイェ市長代行は、同市と保健省がポート・エリザベス市内のネルソン・マンデラ・ベイ・スタジアム(収容人数48,459人)を数日で医療・隔離施設に転用する計画案を作成したと話した。

④カーズ・ジーンズ・スタディオン(オランダ、デン・ハーグ)

移動式仮設住宅が設置されるカーズ・ジーンズ・スタディオンの駐車場
移動式仮設住宅が設置されるカーズ・ジーンズ・スタディオンの駐車場 (画像:ADODenHaag)

オランダのサッカー、エールディヴィジ(1部)のADOデン・ハーグは、本拠地『カーズ・ジーンズ・スタディオン』の駐車場に路上生活者の仮設住宅を整備するプロジェクトで、市民団体のドネール・エーン・ドルプ(DoneerEenDorp=村を寄付しよう)と提携した。

このプロジェクトは、移動式仮設住宅を50棟整備するというもので、設置作業は2020年4月下旬から始まっている。新型コロナに感染し、自己隔離をしようにも自宅を持たない路上生活者に仮の自宅を提供するのが目的だ。

ADOデン・ハーグのジェネラル・マネージャー、モハメド・ハムディ氏は、プロジェクトに協力することについて次のように話した。

「ADOデン・ハーグでは、いくつかの方法で新型コロナ対策に貢献したいと考えています。その中でも、このプロジェクトは、適切な隔離環境で回復を待ちたいと考える人々に宿泊環境を提供するという、市民にとって重要なニーズを満たすものだと捉えています。私たちの社会、特にデン・ハーグの地域コミュニティにとって大事なことですので、喜んでお手伝いさせていただきます」

また、デン・ハーグのバート・ファン・アルフェン市議も次のように話した。

「自己隔離のためにステイホームと言っても、自宅がない人たちは自己隔離できません。カーズ・ジーンズ・スタディオンの駐車場に移動式仮設住宅を設置すれば、新型コロナに感染したものの、特に治療や看護が必要ない方はそこで自宅療養できるようになるのです」

オランダでは、4月21日に政府が大型イベント開催禁止令を3ヶ月延長したことを受け、オランダサッカー協会(KNVB)が2019-20年シーズンのエールディヴィジの中止を決めたばかりだ。

⑤AJベル・スタジアム(イングランド、サルフォード)

サルフォードのAJベル・スタジアム
サルフォードのAJベル・スタジアム (画像::SalfordCityNews)

イングランドの15人制ユニオン式ラグビー、プレミアシップ(1部)のセール・シャークスと、13人制リーグ式ラグビー、スーパーリーグ(1部)のサルフォード・レッドデビルズの本拠地『AJベル・スタジアム』は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を防ぐため、ドライブスルー方式のPCR検査場に転用された。

このドライブスルー検査場は実質24時間で設営され、サルフォード市議会は「素晴らしい偉業だ」と称えた。1日に120回のPCR検査が可能で、検査を受けるには事前予約が必要だ。

まずは、新型コロナの兆候があったり、自己隔離中のサルフォード王立NHS信託基金(Salford Royal NHS Foundation Trust)の職員や医療関係者、社会福祉従事者、その家族が優先的に検査を受ける。検査対象者は、タクシー・トランスファーズ(Taxi Transfers)社がバリアフリー車両で送迎する。

サルフォード市のポール・デネット市長は、新たなドライブスルー検査場について次のように話した。

「国民保健サービス(National Health Service=NHS)と市の職員が一丸となって開設したドライブスルー式PCR検査場を誇りに思います。彼らがイースター(復活祭)の休暇を犠牲にして設営してくれたおかげで、市内の検査の混雑を大幅に緩和することができるようになりました。1週間前に開設したサルフォード王立NHS信託基金の検査場に続き、AJベル・スタジアムにも検査場が開設されたことで、PCR検査のキャパシティも大幅に拡大します。

今回のドライブスルー式PCR検査場開設はまさにチームワークによるものです。検査場では、サルフォード・プライマリーケア・トゥギャザー(Salford Primary Care Together)の職員が拭い液の採取を担当し、サルフォード王立NHS信託基金の専門チームが検査を担当します。検査結果に関する全般的な情報はサルフォード市議会の公衆衛生保護担当チームが提供しますが、検査を受けた方たちへの結果報告やアドバイスは、サルフォード王立NHS信託基金の専門看護師の方々から伝えていただくことになります」

サルフォードの近隣地域では、マンチェスター空港にも検査場が開設されている。

⑥リコー・アリーナ(イングランド、コベントリー)

コベントリーのリコー・アリーナ
コベントリーのリコー・アリーナ (画像::RicohArena)

上記と同じく15人制ユニオン式ラグビー、プレミアシップのワスプス・ラグビーの本拠地『リコー・アリーナ』にもPCR検査場が開設された。コベントリー市にあるリコー・アリーナは、球技専用スタジアムに屋内アリーナが併設する複合施設で、今回スタジアムのA駐車場内に開設した検査場では、NHS職員や認定社会福祉士を対象にした検査を実施している。

検査場は、NHSの関係組織と地元当局で構成されるコベントリー&ウォリックシャー・ヘルスケア・パートナーシップの管理下に置かれる。設営や資材提供などは、リコー・アリーナやモーズリー・サインズ(Moseley Signs)社、ネプチューナス・ストラクチャーズ(Neptunus Structures)社の支援で実現。また、検査場の警備はウェスト・ミッドランズ警察との協力体制で敷かれている。

ワスプス・ラグビーの広報担当者は、リコー・アリーナで開設した検査場について次のように話した。

「ワスプスでは、いつも地元コミュニティのお役に立ちたいと考えていたので、今回検査場について相談をいただき即決しました。この地域でリコー・アリーナを知らない人はいませんので、誰もがすぐに来れる場所に検査場を設置するのは当然のことだと思います。

関係機関や企業の皆様の協力の下、チーム一丸となって1週間以内に検査場を設置することができました。市民の安全を守るために医療現場の最前線で戦ってくださっている皆様を少しでも支援できれば嬉しいです」

⑦トゥイッケナム・スタジアム(イングランド、ロンドン)

トゥイッケナムに設置されたドライブスルー方式のPCR検査場
トゥイッケナムに設置されたドライブスルー方式のPCR検査場 (画像:MyLondon)

15人制ユニオン式ラグビーのイングランド代表の聖地として知られるトゥイッケナム・スタジアムにも、2020年4月20日にドライブスルー方式のPCR検査場が設置された。主にライフライン従事者やNHS職員を対象とした検査を実施する。

最初の数日間は試験運用になるが、英国政府が新たな研究室や検査場のネットワークを全国規模で構築していく官民パートナーシップ協定を大学や研究機関、企業等と結んだ後に本格的に稼働する予定だ。

英国では、4月20日までに32ヶ所のPCR検査場が設置されており、毎日数千人のライフライン従事者や医療の最前線に立つNHS職員を対象にしたPCR検査を実施している。

トゥイッケナムに設置されたドライブスルー方式のPCR検査場
トゥイッケナムに設置されたドライブスルー方式のPCR検査場 (画像:MyLondon)
検査には事前予約が必要だ
検査には事前予約が必要だ (画像:MyLondon)

ラグビー・フットボール・ユニオン(RFU)のビル・スウィーニー最高経営責任者(CEO)は、トゥイッケナムに開設したPCR検査場について次のように話した。

「トゥイッケナムで試合がある日は、ライフライン従事者の皆様にはいつも多大な支援を頂いております。この国家的危機において、トゥイッケナムとRFU職員が協力することで、大事な役割を担っていらっしゃる皆様を少しでも支援できるのであれば嬉しいかぎりです」

英国の新型コロナウイルス検査戦略担当調整官のジョン・ニュートン教授は、次のように話した。

「トゥイッケナムのような検査場の開設は、私たちの検査拡充戦略の5本柱の重要な一本です。自己隔離されているNHS職員やライフライン従事者の皆様は、PCR検査で陰性になれば安心して職場環境に戻れるため、PCR検査の拡充は医療やライフラインの現場支援の意味でも非常に重要なのです。

スポーツ界などの様々な分野の業界や企業が、インフラや資源をPCR検査の拡充に活用してくれており、そのおかげで、私たちが目指している「4月末までに英国でのPCR検査数を1万件/日に」という目標に達成することができるでしょう」

⑧ユナイテッド・センター(アメリカ合衆国、シカゴ)

物流ハブとしてシカゴ市を後方支援するユナイテッド・センター
物流ハブとしてシカゴ市を後方支援するユナイテッド・センター (画像:UnitedCenter)

バスケットボールの北米最高峰リーグNBAのシカゴ・ブルズとアイスホッケーの北米最高峰NHLのシカゴ・ブラックホークスの本拠地『ユナイテッド・センター』に、寄付などで集まった個人用保護具(PPE)の集積所が開設した。

これは、世界各地で災害支援活動を行なっている非営利団体のチーム・ルビコン(Team Rubicon)とシカゴ市が連携したことで実現した取り組みで、PPEの収集だけでなく、優先順位に基づいた仕分け、PPEを必要としている医療従事者などへの配送手配もチーム・ルビコンのスタッフが担当する。

集積所はユナイテッド・センターの東アトリウムに開設しており、毎週月曜から金曜の9時~15時で寄付を受け付けている。なお、ユナイテッド・センターはすでにシカゴ市の物流ハブとして稼働し、行政の後方支援の一端を担っている。

現在、シカゴ市では滅菌済みゴム手袋もしくは未滅菌ゴム手袋、手指消毒剤、消毒用ボトルやスプレー、消毒用ワイプ、イソプロピルアルコール、目を保護するものやゴーグル、フェイスシールド、医療用マスク、三層タイプのサージカルマスク、レスピレーターマスク, PAPRレスピレーター、使い捨て隔離服・検査用ガウン、靴カバー、人工呼吸器、(全身用)防護服、ヘアカバー、非接触式温度計などを必要としている。

ユナイテッド・センターのテリー・サヴァリーセ最高執行責任者(COO)兼エグゼクティブ・バイスプレジデントは次のように話した。

「チーム・ルビコンは重要なミッションを遂行する退役軍人の団体です。シカゴ地域における新型コロナウイルス(COVID-19)対策で彼らと連携できることは、私たちにとっても非常に名誉なことです」

⑨ラファ・ナダル・アカデミー・バイ・ムービースター(スペイン、マジョルカ)

ラファ・ナダル・アカデミーバイ・ムービースター
ラファ・ナダル・アカデミーバイ・ムービースター (画像:RafaNadalAcademybyMoviestar)

男子テニスの世界ランキング2位のラファエル・ナダルが、故郷であるスペインのマジョルカ島に開校したラファ・ナダル・アカデミー・バイ・ムービースターは、男子プロテニス協会(ATP)と女子テニス協会(WTA)に加盟する選手を対象に、安全な練習・競技施設を提供できると表明した。

ATPとWTAは4月上旬に、世界中でCOVID-19が爆発的に広まっていることから、両協会が主催する今年度のテニスシーズンを2020年7月13日まで休止すると発表していた。この発表を受け、ラファ・ナダル・アカデミー・バイ・ムービースターは、同施設を選手たちの宿泊、練習、試合会場として提供する考えを示した。

この企画はナダル本人が発案したもので、主要ツアー大会が開催されない現状でも、同施設の利用選手同士の試合をテレビ放映することで、テニスファンに試合のコンテンツを提供したいというものだ。ただ、ラファ・ナダル・アカデミー・バイ・ムービースターは、実際に選手たちが同施設を利用できるのは、「感染状況が改善し、適切な環境が整ってからになる」と強調した。

ラファ・ナダル・アカデミー・バイ・ムービースターのカルロス・コスタ事業開発部長は、ナダルの提案について次のように話した。

「ここ数週間、当アカデミーを主要大会の準備に向けた練習場として使用できないか検討してもらうため、ATPのアンドレア・ガウデンツィ会長に視察していただきました。もちろん、主要ツアー大会を通常通りの形式で再開することが優先されるべきではありますが、ATPは選手たちの健康や安全といった最優先事項も含め、すべての選択肢を検討している段階です」

コスタ氏は、大型複合施設のラファ・ナダル・スポーツ・センターには、ラファ・ナダル・アカデミー・バイ・ムービースター以外にもフィットネスジムやプール、スパ、ミニサッカー場などが完備されており、多くの選手やコーチが施設の外に出ることなく練習や試合に集中できると付け加えた。

ラファ・ナダル・スポーツセンター
ラファ・ナダル・スポーツセンター (画像:RafaNadalSportsCentre)
施設内のショーコート
施設内のショーコート (画像:RafaNadalSportsCentre)

※ATP世界ランキングは2020年4月26日時点

Copyright: Xperiology/TheStadiumBusiness.com - reproduced with permission.
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