編集者コラム 第5回 ~ワトフォードのセンサリールーム受賞が意味するもの~
編集者コラム 第5回 ~ワトフォードのセンサリールーム受賞が意味するもの~

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こんにちは。海外ニュース担当の筑紫です。

今回はイングランド・ロンドンで開催されていた第7回スタジアムビジネス・設計&建設サミット(2018年11月12~14日)の授賞式のニュースをお届けします。

スタジアムビジネス・設計&建設サミット(TheStadiumBusiness Design & Development Summit=通称 SBDDS)とは、ロンドンのエクスペリオロジー社が主催するスタジアムやアリーナのサミットで、世界中の建設プロジェクトや革新的なスタジアムビジネスに関する講演やスタジアムツアーで構成される会議イベントです。

公式サイト:スタジアムビジネス・設計&建設サミット

2016年はマンチェスター、2017年はバルセロナで開催され、日本からも建築設計事務所やサッカークラブの方々が参加されていました。

スタジアムビジネス・設計&建設サミット 公式サイト
(画像:The Good Bankers/THE STADIUM HUB)

ちなみに2018年の視察ツアーはウェンブリーのナイトツアー+オープンしたばかりのVIP施設『ザ・ライオネス』でした。

また、毎年、様々な分野のプロジェクトを表彰する授賞式が開催されるのですが、2018年はイングランド・プレミアリーグ(1部)のワトフォードFCが本拠地ヴィカレージロードで開設したセンサリールームが最優秀インテリア施設賞を受賞しました。

センサリールームは、自閉スペクトラム症や感覚過敏の症状により、大観衆の人混みや大音量の歓声への対応に悩みを抱える子供たちでも安心して観戦できる特別エリアで、欧米のスタジアムやアリーナを中心に導入が広がっています。

センサリールームで何度か観戦したファンが、一般席でも観戦できるようになった事例もあり、大きな注目を集めているのです。

実は、このセンサリールーム、私たちTHE STADIUM HUBが立ち上げ当初に配信したニュースだったこともあり、とても感慨深いものがありました。

記事:ワトフォードのセンサリールームが開設1周年(THE STADIUM HUB)

受賞を喜ぶワトフォードFCのメッセンジャー氏
受賞を喜ぶワトフォードFCのメッセンジャー氏 (画像:The Good Bankers/THE STADIUM HUB)

有力視されていた米アメフト・プロリーグ(NFL)のサンフランシスコ・49ersの本拠地リーバイス・スタジアムの高級VIPラウンジ『IdentoGO by IDEMIA グリーンルーム』や、ご当地ウェンブリー(ロンドン)の会員制高級ラウンジ『クラブウェンブリー』の拡張プロジェクトなどの大型事業を抑えての受賞だっただけに、発表と同時に大きな喝采が。

主催者も「ワトフォードが行なったことは、すべてのプロスポーツクラブが検討すべき先駆的な事例だ」と手放しで賞賛していたのが印象的でした。

ヴィカレージロードのセンサリールーム
ヴィカレージロードのセンサリールーム (画像:Watford FC)

プロジェクトを担当したワトフォードFCのデイブ・メッセンジャー氏は、センサリールームを設置するスポーツベニューが増えてきていることについて、以下のように話していました。

「(現在2部の)サンダーランドAFCが実施した事業を視察して、ワトフォードでもぜひ実現したいと考えたのが始まりです。最近ではミドルズブラ(2部)やアーセナル(1部)も導入しています。このような賞をいただき、本当に嬉しく思います」

ヴィカレージロードのセンサリールームのヴァーチャルツアーはこちらから。

センサリールームはタコベル・アリーナなどのアメリカのベニューでも拡充しており、今後はアジアや南米での導入も見込まれています。また、現在ロンドン郊外で建設中のブレントフォードFCのセンサリールームは子供だけでなく、大人も対象とした進化型として期待されています。

トロフィーを受け取ったワトフォードFCのリチャード・ウォーカー氏の最初の一言も記憶に残るものでした。

「収益性を高めるためにVIPボックスやホスピタリティ施設を増築する事例が増えていますが、他にもすべきことはあります。それは、スタジアムに来たくても(様々な事情で)来れない人たちが、気軽に来場してイベントを楽しめる環境づくりです」

同賞では、他にも最優秀イノベーション賞をメルボルン・クリケット・グラウンド(豪州)の有機物乾燥機(スタジアムの生ごみを堆肥に変える機械)が、そしてプロジェクト・オブ・ザ・イヤーを先駆的なエコスタジアムとして知られ、先住民アボリジニの民芸デザインを多く取り入れたオプタス・スタジアム(パース=豪州)が受賞するなど、スタジアムをESG投資対象事業の一環として捉えたプロジェクトの躍進が目立ちました。

スポーツの力で地域や社会の課題を解決していく。その中心的役割を担うハブとしてのスタジアムの存在。世界のスタジアムやアリーナは、常に前へ前へと進んでいると強く感じた3日間でした。

主催者のイアン・ナットール氏と筆者
(右から主催者イアン・ナットール氏、筆者)

(文・写真 - 筑紫直樹)


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