『スポーツの森』整備事業起工に先立ち、ヴェネツィアFCが154億円規模の新スタジアムの最終デザインを公表
『スポーツの森』整備事業起工に先立ち、ヴェネツィアFCが154億円規模の新スタジアムの最終デザインを公表

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ヴェネツィアの『スポーツの森』の鳥瞰イメージ
ヴェネツィアの『スポーツの森』の鳥瞰イメージ (画像:Populous)

イタリア北部のヴェネツィア市が整備する『ボスコ・デロ・スポルト(Bosco dello Sport=スポーツの森)』の建設工事の起工が数日後に迫る中、同国のサッカー、セリエA(1部)のヴェネツィアFCは、新スタジアムの最終デザインと資金調達計画を発表した。

2027年夏の完成を目指すこのスタジアムの総工費は9,230万ユーロ(約154億円)で、テッセラ地区にある3億1,000万ユーロ(約517億円)規模のスポーツの森の敷地内に建設される。この新スタジアムの収容人数は1万8,500人だが、最大2万5,000人まで拡張が可能で、ヴェネツィアFCの公式戦やラグビーの試合、コンサートなどが開催される予定だ。

2024年3月、コストルチオニ・ボルディニヨン(Costruzioni Bordignon)社、フィンカンティエリ・インフラストルトーレ(Fincantieri Infrastrutture)社、ランザート・インピアンティ(Ranzato Impianti)社からなる企業連合は入札を勝ち取ると、マフェイス・エンジニアリング(Maffeis Engineering)社とポピュラス(Populous)社にスタジアム計画策定を発注した。同計画は、報道関係者や高官が出席した特別イベントで、ヴェネツィア市のルイジ・ブルニャーロ市長によって発表された。

新スタジアムの完成イメージ
新スタジアムの完成イメージ (画像:Populous)

ヴェネツィアFCの歴史的な本拠地『スタディオ・ピエル・ルイジ・ペンツォ』から20km近く離れているこのスタジアムの建設費は、ヴェネツィア市の余剰金4,700万ユーロ(約78億円)と融資4,500万ユーロ(約75億円)で賄われる。2023年4月、欧州連合(EU)によって新型コロナ復興基金をこのプロジェクトに転用する計画は阻まれたが、以来、融資を受けることは必要不可欠となった。

結果としてヴェネツィア市は、スポーツの森全体の工事のために、当初計画の9,500万ユーロ(約159億円)に対し、6,500万ユーロ(約108億円)の負債を負うことになる。

ブルニャーロ市長は次のように述べた。

「これは、我が国で何十年も実施されていない大規模スタジアム建設プロジェクトであり、ヴェネツィアが再興を望んでいることを示す再生のシンボルでもあります。今日、このプロジェクトを発表できることを心から誇りに思うとともに、私自身も大変興奮しております。

50年にわたる議論と果たされない約束の後、私たちはついに世界初となる最先端スタジアムを手に入れる時がきました。スポーツの森建設計画は、ヴェネツィア都市部だけでなく、イタリア全体にとっても重要なプロジェクトとなるでしょう」

新スタジアムの外観イメージ
新スタジアムの外観イメージ (画像:Populous)

高級感あふれるホスピタリティと格調高いデザイン

スタジアムの1階にはファン専用のスペースが、2階にはスカイボックスとメディア用のスペースが設けられる。西側スタンドにのみ存在する3階は、記者席やホームファンのための飲食売店が設置される。

ポピュラスが設計した新スタジアムの姿からは、周囲の森の風景からインスピレーションを得たことが窺え、プロジェクトリーダーたちはこれを庭園に佇むパビリオンに例えている。外壁は歴史的なヴェネツィアの宮殿を彷彿とさせるデザインになっており、明るく風通しの良い見た目で、外からでもスタジアムの内側が見えるようになっている。

建設工事は2025年4月末頃から準備が始まり、同年7月に開始される予定だ。

ポピュラス・イタリアのシニア・プリンシパル兼ゼネラル・マネージャーであるシルヴィア・プランデッリ氏は次のように述べた。

「新スタジアムの設計は、ファンの体験を最適化するように考案されており、この街にふさわしいスポーツインフラを提供することになるでしょう。

ポピュラス・イタリアは、スポーツの森プロジェクトにこのようなかたちで貢献できることを嬉しく思っています。スポーツの森は、あらゆるレベルにおいて質の高いエンターテインメントとスポーツ活動が提供される場所であり、この地域に変革と再生をもたらします。戦略的に考えられた立地のおかげで、国内外から多くの観光客を誘致することができ、ウェルビーイング向上の触媒となることでしょう」

新スタジアムの完成イメージ
新スタジアムの完成イメージ (画像:Populous)

着工までの苦難

計画が発表された2023年当初、イタリア中央政府は、新型コロナ拡大後の『再興・回復のための国家計画(PNRR)』による新型コロナ復興基金の約1億5,000万ユーロ(約250億円)を、ヴィネツィア市の同スタジアムと、フィレンツェ市のACFフィオレンティーナの本拠地『スタディオ・アルテミオ・フランキ』改修プロジェクトに割り当てようとしていた。当時、ヴィネツィア市にある同スタジアムの建設費には8,270万ユーロ(約138億円)が見込まれていたが、そのうち約3,990万ユーロ(約66億円)はヴェネツィア市から、4,280万ユーロ(約71億円)はイタリア中央政府から拠出されるはずだった。

ところが、2023年4月、欧州委員会は、このイタリア中央政府の資金流用プランを禁止し、このプロジェクトは一時大きな挫折に見舞われる。

資金面の問題で行き詰まったかに思えたプロジェクトだったが、2023年末、中央政府は、スポーツの森の開発費として9,350万ユーロ(約156億円)の公的資金を投入し、一転、大きな危機は回避された。

しかし、その後も同プロジェクトの困難は続いた。ヴェネツィア市は入札に敗れた企業に控訴を認めるという、地方行政裁判所(TAR)の判決を受けたことで、落札者以外の入札者にも計画関連情報を提供することを余儀なくされている。2025年4月下旬、ブルニャーロ市長は、この判決がプロジェクトに大きな影響を及ぼすものでないとの見解を示した。

※金額はすべて2025年6月下旬で換算

Copyright: Xperiology/TheStadiumBusiness.com - reproduced with permission.
元記事 - Work set to begin on Venezia's new €92m 'Sports Forest' stadium

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