
ドイツのサッカー、ブンデスリーガ(1部)のFCザンクトパウリは、本拠地『ミラントア・シュタディオン』の共同所有権をファンやクラブ会員に売却するという、サッカー界では初となる画期的なスキームを発表した。
ハンブルクに拠点を置くFCザンクトパウリは、今回発表したスキームにより、『サッカー協同組合ザンクトパウリ2024(FCSP)』が3,000万ユーロ(約48億円)に及ぶ資金を調達することで、現在はクラブが所有しているミラントアの株式の過半数を購入し共同所有権を獲得することを目指す。
FCSPはファンやクラブ会員以外も受け入れており、2024年11月10日から2025年1月末までを株式の申し込み期間としている。1株あたり850ユーロ(約13万6,000円)で、これには32ユーロ(約5,000円)の管理手数料と68ユーロ(約1万1,000円)の協同組合の積立金が含まれる。
ザンクトパウリのオーケ・ゲットリッヒ会長は、次のように述べた。
「協同組合はFCザンクトパウリにとって完璧なモデルといえます。組合は一般的かつ民主的なルールのもと、クラブ会員やファンに株式を公開しており、購入した株式の数に関係なく、全員が一人一票を持ちます。
今回のプロジェクトはFCザンクトパウリにとって、ミラントア・シュタディオン新設以来最も重要なものです。我々はサッカーだけでなく資金調達においても、これまでとは違ったやり方が可能であることを示したいのです」
その政治的傾向や社会的スタンスにより、ドイツ国外にも幅広いファンをもつFCザンクトパウリは、1963年以来、2万9,500人収容のミラントアでプレーしている。スタジアムを運営するミラントア・シュタディオン・ブートリーブス(Millerntorstadion Betriebs=MSB)社とハンブルク当局は、2020年2月に新たな長期契約で合意しており、ザンクトパウリは創立200周年を同スタジアムで祝う可能性が高い。
FCザンクトパウリのコマーシャル・ディレクターであり、協同組合の理事でもあるウィルケン・エンゲルブラハト氏は次のように述べた。
「協同組合を通じた新たな資本注入は、プロサッカー部門の独立、投資家の関与、商品化権の売却などと比べ、クラブ会員にとってはるかに親近感を覚えるものです。つくづく良くできたスキームだと感じております」
ザンクトパウリがこのスキームの詳細発表をしてから、同様のプロジェクトが2.ブンデスリーガ(2部)のFCシャルケ04でも提案されている。また、2024年10月には、ブンデスリーガ(1部)のFCウニオン・ベルリンが、本拠地『シュタディオン・アン・デア・アルテン・フェルステライ』の改修計画を更新し、同計画のために最大6,000万ユーロ(約96億円)を株式公開により調達する新たな資本増資計画の詳細を明らかにした。
FCSPの総会は次のように声明を出した。
「シャルケ04のプロジェクトは、我々のスキームとは若干異なっているようにも見えますが、我々はこの協働組合モデルに確信をもっており、サッカー界において新たな仲間が増えることは、素晴らしい一歩だと考えています」
※金額はすべて2025年3月上旬で換算
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元記事 - St. Pauli claims first with stadium cooperative venture
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