
イングランドのサッカー、プレミアリーグ(1部)のマンチェスター・ユナイテッドFC(以下、「ユナイテッド」)は、収容人数10万人以上の新しい『オールド・トラフォード』を中核とする、トラフォードパーク再開発構想のイメージ画像を公表した。同クラブが発表した経済報告書によると、新スタジアム地区は毎年約73億ポンド(約1兆3,930億円)の波及効果を英国全体にもたらすとされており、サッカーの母国イングランド史上最大、そして最後とも言われる巨大スタジアムプロジェクトに全世界が注目している。
独立系グローバルコンサルティング会社であるオックスフォード・エコノミクス(Oxford Economics)社は、プロジェクトの経済効果について初期調査を実施し、新スタジアム建設により、新規雇用9万2,000人、新規住宅1万7,000戸以上、そして年間観光客180万人増を見込めるとの初期の推定による試算を出した。
2024年9月23日に発表されたこの調査結果は、10万人収容の新スタジアムと、スタジアム周辺及び隣接するトラフォード・ワーフサイド地区における新たな複合開発など、新スタジアム地区における様々な開発の可能性に基づいてまとめられた。

ユナイテッドはまだオールド・トラフォード一帯の再開発計画を確定したわけではないが、これまでの報道によると同クラブは既存のスタジアムを改修するのではなく、現在のグラウンドの隣に10万人収容のスタジアムを新設する考えももっているようだ。
ユナイテッドは、新しいオールド・トラフォードの姿を紹介する2分間の動画をウェブサイトに掲載した。この動画では、スタジアムがトラフォード埠頭区内の広範囲に及ぶエリアのシンボルとなる様子が紹介されている。
動画で紹介されているイメージ画像はマッチデーのスタジアムの様子を示しているが、クラブはまだ再開発計画を確定していないため、画像はあくまでオールド・トラフォードの遠景であり、間近で見たスタジアムの姿は確認することはできない。
2024年9月中旬にスタジアム地区の建築設計業者に任命されたフォスター・アンド・パートナーズ(Foster + Partners)社は、当該地域をスポーツ、住宅、娯楽、ビジネス、教育キャンパスが中心の「持続可能な成長を遂げるための強力な牽引役」として再開発することで、オールド・トラフォード一帯の土地を最大限に活用する提案をまとめた。
ユナイテッドは、オールド・トラフォード周辺の鉄道インフラの刷新により、さらなる経済効果をもたらすチャンスがあるとも述べている。完成した経済報告書は、オールド・トラフォード再生タスクフォースの最終提言に反映されることになる。

2024年3月に結成された同タスクフォースには、マンチェスター広域都市圏(グレーター・マンチェスター)のアンディ・バーナム市長、世界陸連の会長であり、2012年ロンドンオリンピック招致委員会の委員長を務めたセバスチャン・コー氏、そしてユナイテッドの元キャプテンであるゲイリー・ネビル氏が名を連ねている。
コー氏は再開発計画について、「類を見ないものを創る一世一代のチャンス」だと述べ、ネビル氏は、生まれ変わる新スタジアムについて「グレーター・マンチェスター全体が誇りをもてるような姿を見せてくれるだろう」と語った。
フォスター・アンド・パートナーズの最初のミッションは、既存のスタジアムを取り囲んでいるクラブ所有地を把握することである。2024年9月中旬、ユナイテッドは、スタジアムそのものはこの作業の対象に含まれず、クラブが再開発計画を決定し次第設計が開始されることを強調した。
またユナイテッドは、オールド・トラフォードの将来についてファンから意見を募るアンケートを開始した。タスクフォースは年内に最終的な提言を行うことになっている。

新スタジアムの建設には20億ポンド(約3,846億円)以上の費用と6年の歳月がかかるといわれている。ユナイテッドの共同オーナーであるジム・ラトクリフ氏はかねてより、マドリードのエスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウやバルセロナのカンプノウに匹敵する、10万人収容のスタジアムの構想を打ち出してきた。
※金額はすべて2025年3月上旬で換算
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元記事 - Manchester United releases first images of revamped Old Trafford
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