オランダのサッカー、エレディヴィジ(1部)のフェイエノールトは、本拠地『デ・カイプ』の大規模改修の実施にあたり、スタジアムを所有・管理するスタディオン・フェイエノールト(Stadion Feijenoord)社を吸収合併する方向で協議を開始した。
両社が合併の可能性に関する意向書に署名したことは、スタディオン・フェイエノールトの年次総会で発表された。スタディオン・フェイエノールトは、自らの財源のみでデ・カイプを適切な水準に維持することはできないとしたうえで、同社の株主に対し、クラブとの合併が必要不可欠であると説明した。
老朽化が顕著なデ・カイプをこの先15年使用し続けるためには、これまでフェイエノールトがロッテルダムに新スタジアムを建設する計画を進めてきたがゆえに後回しになっていた、大規模な修繕や改修工事が必要だ。
また、デ・カイプで欧州サッカーを続けるためには、UEFA(欧州サッカー連盟)が求める安全面を含むスタジアム基準を満たし続けるための大幅な調整が必須となる。さらには、デ・カイプが現代のファンの期待に応えられるよう、ケータリング施設の改善にも多額の投資も行わなければならない。
このような大規模改修やアップグレード事業の総費用は3,000万~5,000万ユーロ(約48~81億円)と試算されている。
共同声明には以下のように記されている。
「クラブとスタジアムの理事会および経営陣が想定している合併とは、フェイエノールトの組織にスタディオン・フェイエノールトを統合するということです。
これにより組織の存続は保証され、両社のステークホルダーによって強固な基盤が築かれ、有益な相乗効果がもたらされるでしょう。
統合を可能にするためには、スタディオン・フェイエノールトの株主の過半数の承認が必要ですが、現在、株主への提案を慎重に進めており、今シーズンが終わるまでには準備が整う見込みです」
2024年9月、スタディオン・フェイエノールトは、フェイエノールトの新スタジアム建設計画が頓挫し、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)社からの事業資金融資を完済したことを発表していたが、今回の統合のニュースはこの発表後に報道された。
ゴールドマン・サックス社からの融資は当初、新スタジアムを核とする都市開発計画『フェイエノールト・シティ』の立ち上げ段階の資金援助のために行われた。フェイエノールト・シティは、デ・カイプ周辺の再開発により、マース川のほとりに6万3,000人収容の新スタジアムと新興住宅地を建設することを目的とした一大プロジェクトだった。
同プロジェクトについては、2017年に開発許可が交付されたが、フェイエノールトは2022年4月に正式に計画を撤回。スタディオン・フェイエノールトはその後、ゴールドマン・サックスからの融資と累積利息の返済に悩まされていたが、取締役のリリアン・デ・レーウ氏によると、1,500万ユーロ(約24億円)を超える負債を2024年夏に完済したという。
フェイエルノールト・シティ計画は頓挫したが、スタディオン・フェイエノールトの取締役会会長であるピーテル・ファン・オールト氏は、チームが少なくとも今後15年間はデ・カイプでプレーすることを望んでおり、クラブとスタジアム経営母体の統合が、必要とされているアップグレードを実現する唯一の手段であると語った。
一方で同氏は、アルヘメーン・ダグブラッド紙に対し、「我々は確かに美しいスタジアムでプレーしていますが、同時にデ・カイプは遺跡のような場所とも言えるでしょう。このまま使用すれば、何らかの良からぬ結果をもたらすかもしれません」と述べ、デ・カイプが寿命を迎えつつあることを認識する必要性も示している。
「ゆくゆくのことも考えなければなりません。50年後にこのスタジアムでプレーすることは不可能です。SSロッテルダム(オランダの元遠洋定期船で、現在は退役してホテル船として使用)でニューヨークまで航海することはできないのです。技術的には可能かもしれませんが、そんなことをすれば誰でも破産に追い込まれるでしょう」
※金額はすべて2024年12月下旬で換算
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元記事 - Stadion Feijenoord, Feyenoord seek to secure De Kuip's future
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