2034年FIFAワールドカップ開催に向け、複数のフットボールスタジアム等のインフラ投資事業が活発化しているサウジアラビアで、新たなスタジアム建設プロジェクトが起工した。収容人数4万7,000人のアラムコ・スタジアムだ。
アル・ホバール市内にあるアラムコ・スタジアムは完成後、2027年に同国で開催されるAFCアジアカップの試合会場になるほか、国際サッカー連盟(FIFA)のスタジアム要件も満たしていることから、FIFAワールドカップの準々決勝まで開催することが可能となる。
プロジェクトは、新スタジアムを運営する国営石油・天然ガス会社のアラムコ(Aramco)社が主導し、設計全般の監修をポピュラス(Populous)社が、そして詳細の設計と施工はベシックス(Besix)社とアルバワニ(Albawani)社が請け負った。
2024年8月、アラムコは、スタジアムとその周辺の都市計画について、ポピュラス(Polulous)社の設計の詳細を説明したが、その後、ベシックスとアルバワニは、多くの要素が複雑に入り組んだ同プロジェクトが、非常にタイトなスケジュールに直面していることを認めた。
ベシックスは、1966年来、中東で事業を展開しているベルギーの建設グループで、これまでにもジェッダ市のキング・アブドゥッラー・スポーツ・シティにあるキング・アブドゥッラー国際スタジアム(約6万人収容)など、サウジアラビア国内で複数の大規模スタジアムプロジェクトを手がけてきた。今回のプロジェクトでは、アラムコ管理の下、サウジアラビア企業であるアルバワニと協力し、2027年AFCアジアカップ開幕に間に合うよう、2026年のスタジアム竣工を目指して工事を進める。
ベシックス中東支社のゼネラル・マネージャーであるピーター・レンブレヒツ氏は、次のように述べている。
「サウジアラビアへの戦略的参入が、弊社の卓越したエンジニアリング力によって実現していることは、多種多様な設計・建設プロジェクトの成功を通じて何度も実証されています。
アラムコ・スタジアムは、世界最高水準の建築であるだけでなく、調和の象徴として多くの人を繋いでいくことでしょう。これからも、アラムコ・スタジアムのような、皆さんがあっと驚くような空間を生み出すことに全力を尽くしていきます」
また、アルバワニのグループ最高経営責任者、ファケル・アルシャワフ氏は以下のように述べた。
「国内トップクラスのスポーツ施設建設のパイオニアであるアルバワニのレガシーにおいても、弊社がこの革新的なアラムコ・スタジアムの建設に乗り出すことは、変革の節目といえます。
アラムコの先見的なリーダーシップと、尊敬する協力者であるベシックスとのパートナーシップによって導かれたこのプロジェクトは、スポーツインフラ業界に新しい風を吹かすことでしょう。我々は今後も、地元に根ざした深い専門知識、最先端の建設技術、そしてどんなに複雑なプロジェクトであろうとも、工期と予算をオーバーすることなく竣工してきた弊社の確かな施工実績を発揮していきたいと考えております。
アルバワニの卓越したエンジニアリングとインパクトのある設計により、アラムコ・スタジアムが、スポーツ施設におけるクオリティとイノベーションの新たなベンチマークとなることを確信しています」
ポピュラスが設計したアラムコ・スタジアムは、サウジアラビアが2024年7月31日に発表した2034FIFAワールドカップ開催提案書で開催会場候補として挙げられている。同社は最初のコンセプト段階から同スタジアムのデザインや設計を主導しており、今後も完成まで監修の立場でプロジェクトに携わる。
ダール・アル・ハンダサ・コンサルタンツ-シェア・アンド・パートナーズ (Dar Al Handasah - Shair & Partners, 以下「ダール」)社は2024年9月3日、ポピュラスの「自然環境にインスパイアされた斬新な設計構造」というビジョンを実現した新スタジアムの実施設計を担当したことを発表し、さらに、複合施設のマスタープランにある各種施設とインフラ部分の実施設計も請け負ったことを明かした。構造的にユニークな屋根とファサード・システムの実施設計は、シダラ(Sidara)傘下でダールの関連会社でもあるマフェイス・エンジニアリング(Maffeis Engineering)社が担当した。
ダールはまた、サウジアラビア政府が推進する『ビジョン2030』、サウジ・グリーン・イニシアティブ、そして国内外の規制に準拠したサステナビリティ戦略を策定し、LEED(世界的なグリーンビルディング認証)およびMOSTADAM(サウジアラビアのグリーンビルディング認証)取得を目標とすることや、高温な気候下のサステナブル・スタジアムにおける新たなベンチマークを目指すことを掲げている。
このサステナビリティ戦略には、デマンド・レスポンスによる受動的および能動的なエネルギー効率化の実施、水使用量の削減、廃棄物の埋め立て処分からの脱却、エコ製品・地産品・リサイクル製品の優先調達などの施策が含まれている。
ポピュラスはTheStadiumBusiness.comに対し、同社が設計全般を監修し、プロジェクトを施工まで見守る方針であることを認めたほか、設計の第1段階から第3段階をポピュラスが、第4段階をダールが担当したことを明らかにした。
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元記事 - Construction commences on Aramco Stadium
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