編集者コラム第27回 ~ 日本初の女子サッカー専用スタジアム整備プロジェクトが始動 河内長野市とスペランツァ大阪の挑戦 ~
編集者コラム第27回 ~ 日本初の女子サッカー専用スタジアム整備プロジェクトが始動 河内長野市とスペランツァ大阪の挑戦 ~

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(取材と文、写真・筑紫直樹)

河内長野市が整備する新スタジアムの完成イメージ(画像:河内長野市)
河内長野市が整備する新スタジアムの完成イメージ(画像:河内長野市)

こんにちは。編集部の筑紫です。

ここ数年、ヨドコウ桜スタジアム、今治里山スタジアム、エディオンピースウイング広島、そして金沢ゴーゴーカレースタジアムなど、フットボール専用スタジアムの改修や新設が続き、それに伴うふるさと納税を活用したスタジアム関連寄附も豊富な選択肢を見る機会が増えました。

筆者も昨年度は、豊田スタジアムの屋根膜のリサイクル町田GIONスタジアムの夜間照明LED化(受付終了済み)などに寄附しましたが、その中で、大阪府河内長野市が募っている「サッカースタジアム建設に係る寄付」というものを見つけて気になりました。男子クラブのアカデミー施設兼用というかたちでなく、女子サッカークラブ専用スタジアムの新設という事例は、米国で実現し始めていることを除き、聞いたことがありません。もちろん日本では初めての試みとなります。

その後、年始に女子サッカー関連の視察でイングランドを訪れたこともあり、筆者の中で河内長野のサッカースタジアムについての関心はさらに強くなりました。今月、幸いにも大阪に出張する機会があったため、同スタジアムを本拠地利用する予定のスペランツァ大阪(なでしこリーグ1部)に取材させていただきました。

午前中にJR大阪駅で別のミーティングがあったため、昼になんば駅から新今宮を経由して、南海電鉄の三日市町駅に。予め出発時刻を調べておいた南海バスに乗り、高台の南花台三丁目を目指します。車窓から見えるのは住宅街やURなどで、ゆったりとした風景が続きます。バスを降りると、スーパーマーケットのコノミヤが目の前に。この建物の一角にスペランツァ大阪の新しい事務所があります。

南花台三丁目のコノミヤ(画像:THE STADIUM HUB)
南花台三丁目のコノミヤ(画像:THE STADIUM HUB)
移転したばかりのスペランツァ大阪のクラブ事務所(画像:THE STADIUM HUB)
移転したばかりのスペランツァ大阪のクラブ事務所(画像:THE STADIUM HUB)

取材まで少し時間があったので、コノミヤの向かいにあるスタジアム用地に行ってみることに。道を挟んで隣接するURとの距離の近さに驚きます。2026年夏、この地に新たなスタジアムが誕生するのです。

新スタジアムの建設用地(画像:THE STADIUM HUB)ド
新スタジアムの建設用地(画像:THE STADIUM HUB)

スペランツァ大阪の前身は、1990年に創部し、1991年から松下電器産業株式会社のチームとして当時のトップリーグに参戦した強豪チームで、日本代表選手も輩出した名門でもありました。以前は北摂の高槻市に本拠を置いていましたが、近年の成績不振や資金繰りの悪化により、2017年4月に運営会社(当時)のSPZ株式会社が倒産。前年1月に新設した株式会社スペランツァ大阪が運営を引き継ぎ、河内長野市に練習場や事務所を移転してきました。

2024年12月には高槻市内の最後の練習拠点も閉鎖し、全機能が河内長野に移ります。現在は、高槻時代のスポンサーであった株式会社コノミヤの芋縄隆史社長が、クラブ会長としてスペランツァ大阪を経営しています。

新スタジアムの用地取得には10億円、さらにスタンドなどの整備費用は24億円が見込まれていますが、注目すべきは、市の公共投資に頼らない資金調達スキームです。クラブのアカデミー運営や(新スタジアムを含む)施設の維持管理を担う特定非営利活動法人スペランツァの飯田聡副理事長は、次のように話してくれました。

「今回のプロジェクトでは、国の補助金や企業版ふるさと納税を積極的に活用することで、市への金銭的負担を可能なかぎり減らす整備資金調達を実現しています。

大阪では大阪市、堺市に次いで、三番目に広い面積を持つ河内長野市ですが、同時に府内で高齢化率が最も高い自治体でもあります。スタジアムが建つ南花台も高齢の方が多い閑散とした住宅地ですが、同じエリア内にクラブの練習場である『ノガーナサッカー場』があり、スペランツァの活動が地域活性化に寄与している部分があります。

さらに車で10分ほどの距離の下里町には、人工芝練習場の『コノミヤ・スペランツァ球技場』もあり、スタジアムが完成し、なでしこリーグ、そして将来的にWEリーグの試合が開催されれば、スペランツァのファンやサポーター、地域の皆さん、そしてアウェーチームのファンも集まることから、街には賑わいが生まれ、市民の皆さんにも楽しみが増えることになります」

新スタジアムでは、更衣室などの選手機能が東スタンドに組み込まれ、その東スタンドにはオープンテラスが設置されます。リラックスしながら試合も観戦できる、快適な空間として人気を博しそうです。

東スタンドのオープンテラスの鳥瞰イメージ
東スタンドのオープンテラスの鳥瞰イメージ(画像:河内長野市)
東スタンドのオープンテラス
東スタンドのオープンテラス(画像:河内長野市)

河内長野市では、前述の企業版ふるさと納税だけでなく、個人版ふるさと納税でも寄附を募っており、3万円以上の寄附をすると、返礼品としてスペランツァ大阪のグッズやスタジアム内に設置される芳名板への名前の掲出権を手に入れることができます。

スペランツァ大阪のクラブカラーのプレートを使た芳名板のイメージ
スペランツァ大阪のクラブカラーのプレートを使た芳名板のイメージ(画像:河内長野市)

一般的に、スタジアム整備関連の個人版ふるさと納税で、芳名板に名前を掲出できるのは、5~6万円以上の寄附が必要なことを考えると、3万円で芳名板というのはかなりお得に感じます。

ただ、スタジアム整備関連のふるさと納税といえば、やはり記念カードが返礼品というベーシックな1万円の寄附を経験している人は日本中にいると思われるので、河内長野市にもぜひ同様の返礼品プランをご検討いただきたいと飯田氏に伝えたところ、「市に聞いてみましょう」と温かいお言葉を頂けました。

日本各地のスタジアム関連ふるさと納税の記念カード(画像:THE STADIUM HUB)ド
日本各地のスタジアム関連ふるさと納税の記念カード(画像:THE STADIUM HUB)

スペランツァや女子サッカーのファンはもちろんのこと、新たな賑わい創出の「場」が生まれることに寄附したいと考える人たちにとって、記念カードは日本のどこに住んでいても嬉しい特典といえるでしょう。

河内長野市に誕生する新スタジアムで、スペランツァ大阪の躍動する姿が見れる日が楽しみです。

河内長野市の新サッカースタジアムのふるさと納税ページ

<了>

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