イングランドのマンチェスターでコープLIVEを建設中の不動産ディベロッパー、オークビュー・グループ(Oak View Group=OVG)は、英国初の完全オール電化アリーナとなる同施設の詳細を発表した。
収容人数2万3,500人で、2023年の完成後に英国最大の屋内アリーナとなるコープLIVEは、同時に英国で最も持続可能なアリーナとして、マンチェスター市中心部にあるサッカーのプレミアリーグ(1部)のマンチェスター・シティFCの本拠地『エティハド・スタジアム』に隣接する旧ブラッドフォード炭鉱跡地に建設中だ。
17世紀から石炭を採掘してきた旧ブラッドフォード炭鉱は、マンチェスターや周辺都市の産業革命を支え続け、1968年まで稼働していた。
1930年代に完成したバタシー火力発電所がロンドンの街の姿を変えたように、コープLIVEも完成後、次世代の象徴的な建築物として、産業革命の面影が残るイングランド北部の都市風景に大きな影響を与えると考えられている。
コープLIVEは英国初のオール電化アリーナとして、大気汚染の代名詞でもあった化石燃料を動力源とした同国の産業遺産を、再生可能エネルギーによる未来の姿に変換する役目を担う。英国の他のアリーナと異なり、コープLIVEはガスによるエネルギー供給を一切必要としない設計となっている。
ガスボイラーを使う従来のアリーナと違い、施設内の暖房や給湯用の空気熱源ヒートポンプ、冷却、ケータリングに至るまで、コープLIVEではすべてのエネルギー源を電気で供給する。屋根に設置される太陽光発電パネルを使い日々の維持管理で必要な電力を賄うほか、イベント運営で使用する電力はエネルギーグリッドから供給されるグリーン電力でカバーする。
コープLIVEはガスボイラーを使わないため、同規模のアリーナを比較し、電力使用量50%削減と二酸化炭素排出量23%削減が可能な設計となっているほか、燃料の自家燃焼を一切しないことから、大気質の大幅な改善も見込まれている。さらに、最初からオール電化施設として建設されるため、マンチェスター市が2038年の達成目標を設定したCO2ネットゼロの実現も現実味を帯びている。
コープLIVEのサステナビリティ要素
100%オール電化施設
空気熱源ヒートポンプ
8,883m2の広さの太陽光パネル
雨水の100%再利用
2,791m2の緑地帯
低炭素移動を推奨する240台分の屋根付き駐輪場
LED照明
BREEAM認証の『Excellent』評価
埋立ゼロ
フードロスゼロ
コープLIVEの建設工事は起工から1年が経過した。OVGは脱炭素化の取り組みの一環で労働資源の域内調達を宣言しており、イングランド北西部の建設業者に1億5,000万ポンド(約226億円)規模の施工契約を発注した。また、建材や資材は電気自動車(EV)で建設現場に搬送している。
OVGインターナショナル(OVG International)社のマーク・ドネリー最高執行責任者(COO)は、コープLIVEのオール電化方針について次のように話した。
「気候変動は今日の地球が直面している最大の問題であり、OVGはエコな世界を創造する責務を全うしたいと考えております。
コープLIVEの建設を通じ、私たちは地球にやさしく、さらに世界最高峰のイベントを開催できるエンターテインメント施設を生み出しています。コープLIVEが英国初のオール電化アリーナとなり、また太陽光発電パネルや雨水再利用システム、広々とした緑地スペースの整備で、英国で最も持続可能なアリーナとなることを心から誇りに思っております」
なお、英国の飲料大手、ディアジオ(Diageo)社は2021年10月下旬にコープLIVEとパートナーシップ契約を締結し、2023年の完成後、同アリーナのオフィシャル・ドリンクス・パートナーに就任することが決まった。この契約に伴い、ディアジオ傘下のビールブランド『ギネス(Guinness)』がコープLIVEのオフィシャル・ビール・パートナーに決定したほか、ディアジオのブランドポートフォリオに含まれる『ジョニー・ウォーカー(Johnnie Walker)』のスコッチウィスキー、『スミノフ(Smirnoff)』のウォッカ、『タンカレー(Tanqueray)』のジン、『キャプテン・モルガン(Captain Morgan)』のラムもコープLIVEで販売されることになった。
また、2021年5月には、マンチェスター・シティFCを所有するシティ・フットボール・グループがOVGと同格のJVパートナーとしてコープLIVEに投資することが決まったほか、ポップスターのハリー・スタイルズ氏も同アリーナに投資している。
※金額はすべて2021年11月下旬で換算
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元記事 - Co-op Live to go all-electric
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