南アフリカ共和国ヨハネスブルグのエミレーツ・エアライン・パーク(正式名称:エリス・パーク)を運営するエリス・パーク・スタジアムPty Ltd (Ellis Park Stadium Pty Ltd=EPS)社のマネージング・ダイレクター、ピーター・バーガー氏は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大による都市封鎖(ロックダウン)期間中に同スタジアムに水の濾過装置を設置したことを明かし、今後は屋根に太陽光発電パネルも設置する予定だと話した。
62,000席のエミレーツ・エアライン・パークはラグビーの南半球最高峰、スーパー・ラグビーのライオンズの本拠地で、バーガー氏は当初からジャクスケイ川の源流付近に位置する同スタジアムの地の利を生かした設備投資を検討していたとし、The Timesに対して次のように話した。
「私たちは24時間稼働のポンプを所有しており、このポンプが故障したらピッチが水深2mに沈んでしまい、当スタジアムは我が国最大の市営プールになってしまいます。ジャクスケイ川との位置関係を利用するためにロックダウン実施前に浄水システムを整備し、浸透プロセスを経て独自に飲料水を作る方針が決定しました。
浄水システムは1日28,000Lを処理することができ、製造された飲料水は販売しますが、飲料水市場の大手メーカーと競合するつもりはなく、特定のターゲット層を狙っていこうと考えています。
サステナビリティの取り組みに関しては、当スタジアムでは発電と蓄電に課題を抱えていますが、ヨハネスブルグ市内には太陽光発電にぴったりの広い屋根を持つスタジアムが3ヶ所あります。太陽光発電パネルを設置すれば、スタジアムで自家発電できるだけでなく、余剰電力を生み出し、さらに国家エネルギー規制局(National Energy Regulator of South Africa=NERSA)の売電ライセンスを取得すれば、近隣に余剰電力を売ることも可能になります。
また、スタジアムで発生した余剰電力は地方当局に売ることもでき、地方自治体がマイクログリッドに供給できるようになります。これは長期的な計画ですが、私たちが今検討していることです」
エリス・パークは1995年ラグビーワールドカップの決勝の舞台として有名だが、サッカーの2010年FIFAワールドカップ(W杯)でもブラジル戦2試合やスペインvsパラグアイの準々決勝など、計7試合が開催された。
エリス・パークでは、1928年6月に同スタジアムにおける初のラグビーのビッグマッチとして南アフリカvsニュージーランドの一戦を開催。その後、1979年に躯体の解体と建て替えが実施され、1980年代には数回にわたって改修された。2010年W杯に向けた改修を経て、現在に至る。
さらにバーガー氏は、南アフリカ最大の都心部美化プロジェクトとして、エリス・パーク周辺を含むエリア一帯を再開発する計画が進んでいることも明かし、次のように語った。
「計画実現のためには、スタジアムの多目的施設化が必須で、現在、投資家やディベロッパーとの交渉を進めています。ホテルや店舗、オフィス、会議場、居住空間などを整備できれば、大きなメリットが生まれます。
また、再開発プロジェクトの一環として、エリス・パークに高速鉄道『ハウトレイン(Gautrain)』の停車駅を建設することも検討しています。このプロジェクトはエリス・パーク地区全体の再開発を通じ、ヨハネスブルク市だけでなく、EPSの持続可能性にも大きく貢献することが見込まれているのです」
バーガー氏は、EPSが大型コンサートの再開を目指しているとしつつ、エリス・パークがプレミアサッカーリーグ(PSL=1部)の会場として多用されることも望んでいるとし、次のように説明した。
「COVID-19対策期間中にPSLの2チームが(選手や関係者を外界から隔離する)バブル化したエリス・パークでプレーしたのですが、この取り組みが非常にうまくいき、現在、PSLの3クラブとナショナルファーストディヴィジョン(NFD=2部)の1クラブがエリス・パークを本拠地使用する方向で協議しているところです。
ここ3、4か月の間にPSLのオーランド・パイレーツ、ビッドベスト・ウィッツ、TSギャラクシー、そしてNFDのセククネ・ユナイテッドがエリス・パークで試合をし、当スタジアムの施設に非常に感心したとのことです」
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元記事 - Ellis Park targeting multifunctional future
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