アメリカのノースカロライナ大学(UNC)とテクノロジー企業のレノボ(Lenovo)社は、スポーツやコンサートなどのライブイベントにおける新型コロナウイルス(COVID-19)感染防止策の徹底を促す人工知能(AI)ソリューションを開発する産学連携プロジェクトを発表した。
UNCチャペルヒル校のリース・イノベーション・ラボ(Reese Innovation Lab)は、このプロジェクトでヘルス・グリーター・キオスク(Health Greeter Kiosk)というインタラクティブAIキオスクを新たに開発。キオスクの前を通過する観客を分析し、マスクの着用やソーシャルディスタンシングの徹底を呼び掛ける仕組みだ。すでに大学アメフトのUNC対バージニア工科大学戦(10月10日)とUNC対ノースカロライナ州立大学戦(10月24日)で実証実験が行われている。
AIのコンピュータビジョンと機械学習能力が、深度センサーを搭載したカメラで撮影したリアルタイムデータを解析し、被写体の人物がマスクを着用しているか、また、来場者間に適切なソーシャルディスタンスが確保されているかを検出。戦略的に配置されたこれらのキオスクが、通過する来場者が正しい感染防止策を講じているか否かを伝える。
上述のトライアル試合には、UNCの本拠地『ケナン・メモリアル・スタジアム』に約3,000人が来場。リース・イノベーション・ラボのスタッフは、手荷物検査所や券売所、入場口といった要所にヘルス・グリーター・キオスクを設置した。UNCによると、キオスクは被写体の追跡や感染防止策の呼び掛けなど、予想通りの動作を行なったとのことだ。
また、UNCは、被写体の画像データが保存または送信されることが一切なく、匿名性が担保されることから、データを安全対策の設計やパンデミックにおける来場客の行動傾向の分析に使用することも可能だと主張した。
リース・イノベーション・ラボのスティーブン・キング最高イノベーション責任者(CIO)は、ヘルス・グリーター・キオスクの開発について次のように話した。
「過去にないパンデミックの難題に直面し、私たちも真のイノベーションを生み出す必要がありましたが、技術革新の限界まで挑戦することは、当ラボの使命でもあります。
COVID-19の脅威に対するソリューション開発と観客を入れたライブイベントの再開は、現実的かつやりがいのあるチャレンジです。UNCチャペルヒル校上層部と素晴らしい発明意欲にあふれる学生たち、そしてレノボの支援に感謝の気持ちでいっぱいです」
また、UNCは、ヘルス・グリーター・キオスクが同校のCOVIDガイドライン遵守を推奨するだけでなく、学生たちがキャンパスに戻り、より多くの人数が集まるようになった際に、機械学習が安全かつ適切な人流を導き出すための3D空間データを提供してくれるとしている。
レノボ・ノースアメリカ(Lenovo North America)社のマシュー・ジエリンスキ社長は、UNCとの産学連携について次のように話した。
「弊社のAIイノベーションセンターでは、多くの機器を駆使した包括的ソリューションを開発していますが、今回のUNCとの連携プロジェクトは、スマート技術とスマートITインフラを効率良く、そして意義あるかたちで応用したケースだと考えています。
UNCチャペルヒル校のキングCIOと彼の学生チームと連携し、弊社の技術や専門性と彼らの創造性あふれる発明力を組み合わせたことで、COVID-19パンデミック下のライブイベントでお客様の安全性を確保するためのソリューションが生まれたことを嬉しく思っています」
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元記事 - AI kiosks warn fans over COVID rules breaches
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