ドルフィンズのメニューからポップコーンが消えた- ガーフィンケル会長が語る with コロナ時代のスタジアム観戦体験
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マイアミ・ドルフィンズのハードロック・スタジアム
マイアミ・ドルフィンズのハードロック・スタジアム (画像:CBP Photography)

世界中でケータリング事業を展開しているソデクソ(Sodexo)社は2020年10月21日、アメフト全米最高峰のナショナル・フットボール・リーグ(NFL)のマイアミ・ドルフィンズのトム・ガーフィンケル社長など、スポーツ界を代表をするスピーカーを招いてウェビナーを開催した。

1時間のウェビナーでは、ソデクソがハリス・インタラクティブ(Harris Interactive)社との共同調査で得たデータなどが公開され、今後ファンがスタジアムやアリーナで観戦できるようになるために求められること、ケータリングやホスピタリティ分野における技術革新、サービスの進化などについて議論が交わされた。

フランスのパリから参加したソデクソのレジャー事業担当グローバルCEO、ナタリー・ベロン=ザーボ氏は基調講演の中で次のように話した。

「多くのスポーツイベントは再開しているものの、業界としてはまだまだ徐々に回復に向かっているという厳しい状況です。成功事例を共有することが業界再建のカギになると考え、今回のウェビナーを開催することにしました」

スポーツイベントの開催に課せられた制限は緩和の方向に動いてきているが、ハリス・インタラクティブのデータでは、市場によって温度差が異なり、スポーツ施設での観戦に躊躇しているファンやサポーターの数が少なくないことを示している。例えば、英国やスペインと比較すると、アメリカとフランスではスタジアムやアリーナでの観戦が楽観視されていることや、世界共通で55歳以上の客層が大きな懸念を抱いているという傾向が読み取れる。

スタジアム観戦における安心材料の調査データ
スタジアム観戦における安心材料の調査データ (画像:Research from Harris Interactive for Sodexo/Centerplate)
スタジアム観戦の安心度の調査データ
スタジアム観戦の安心度の調査データ (画像:Research from Harris Interactive for Sodexo/Centerplate)

そんな中、フロリダ州のロン・デサンティス知事がマイアミ・ドルフィンズに対し、入場者数制限を撤廃し、スタジアムを満員にすることを許可したという報道が伝えられた。だが、ドルフィンズは慎重姿勢を崩さず、引き続き入場者数を制限していく考えだ。

ガーフィンケル会長は、ドルフィンズでは2020年5月の時点でソーシャルディスタンスを念頭に置いた座席配置に関する調査を開始しており、最終的に65,000席のハードロック・スタジアムでは6フィート(約1.83m)の座席間隔を置く13,000人を上限とする入場者数制限が最適であるとの結論に達したと説明した。

ドルフィンズは2020年3月にはスタジアム内でドライブインシアター形式の観戦イベントや屋外のシアタースペースで卒業式などの野外イベントを企画するなど、少人数が参加する独創的なスタジアム活用方法を生み出してきた。

ドライブインシアター形式のイベントも実施
ドライブインシアター形式のイベントも実施 (画像:Hard Rock Stadium)

また、ドルフィンズは2020年9月には、外壁に設置した大型ビジョンを使った試合観戦サービスの『ゲームデー・シアター(Gameday Theater)』とバーチャル・メンバーシップ・パスを新たに導入。ゲームデー・シアターは、新型コロナ対策で2020年6月から設置されている屋外シアター設備を使ってドルフィンズのホームおよびアウェー戦を放映する企画。ソーシャルディスタンスを考慮して配置されたテント席などで利用者が試合を観戦するスタイルで、1回につき合計386人が参加可能だ。

スタジアムの外のテント席で観戦するゲームデーシアター
スタジアムの外のテント席で観戦するゲームデーシアター (画像:Hard Rock Stadium)

ガーフィンケル会長は、観客がスタジアムの客席で観戦できる方法を見つけることが重要であることに変わりはないとし、次のように話した。

「私たちは、どの部分をタッチレスやコンタクトレス(非接触)にできて、入退場の混雑を解消するにはどうしたらいいかなど、お客様のゲームデーの行動とスタジアムの関係性を事細かに分析しました」

ハードロック・スタジアムは2020年9月20日のホーム開幕戦のバッファロー・ビルズ戦以降、13,000人の入場者数制限を設けており、観客には客席でのマスクの常時着用や施設内のソーシャルディスタンス確保を求めている。

それでもガーフィンケル会長は、「13,000人だけとはいえ、無観客と比べたらチームにとってもファンの皆様にとっても雲泥の違いです」とスタジアムに観客がいることを歓迎する。

とはいえ、コロナ前と比べるとファン体験の内容は大きく異なる。試合前から駐車場で楽しむテールゲートパーティは禁止となり、飲食は座席でアプリを使って購入し、キャッシュレス決済で支払う。入場時間も入場ゲートも細かく指定される。実は多くの観客は気付かないが、スタジアム側も最新鋭の空気濾過システムと世界最高峰の衛生基準を導入済みだ。ソデクソのグループ企業で、ハードロック・スタジアムのホスピタリティおよびケータリング事業を請け負うセンタープレート(Centerplate)社も、COVID安全基準ガイドラインに沿った新たな飲食提供方法を考案した。

ガーフィンケル会長は、基本的に入場客は新たな規則の重要性を理解してくれているとし、次のように話した。

「スタジアムの客席でマスクを着用して観戦するスタイルは、以前とはまったく違う試合観戦体験かもしれませんが、私たちは観客入場が可能になった当初から、マスクを着用したくない方はスタジアムには来ないでくださいとお願いしていました。生活のいたるところでwithコロナの行動変容が求められており、フットボールも例外ではありません」

ファン体験が変わったことで生まれたポジティブな影響もあった。テールゲートパーティが禁止となったことで、空腹のファンが座席で飲食を注文するケースが増えたのだ。キャッシュレス決済の便利さも手伝い、結果的に飲食部門の客単価が増加した。また、(フロリダ州の税法で定められた)売上税7%を商品の固定価格に吸収しなくとも、販売地点で管理できるようになったこともチームにとってはありがたい話となった。

ただ、飲食時はマスクの位置を下げることが許可されているため、完食に時間を要するポップコーンはマスク着用義務の意義と相反するため、ガーフィンケル会長は「ポップコーンはメニューから外しました」と話した。

Copyright: Xperiology/TheStadiumBusiness.com - reproduced with permission.
元記事 - COVID, Cashless and Popcorn: The return of NFL fans

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