アイルランド・サッカー協会(FAI)は、『アイルランドにおけるサッカー促進のための施設投資ビジョンと戦略(Facility Investment Vision and Strategy for Irish Football)』と題した報告書を発表し、今後15年間で計8億6,300万ポンド(約1,585億円)を投じ、収容人数1万人以上のスタジアムを少なくとも10か所、育成施設、そしてナショナルトレセンをアボッツタウンに整備する方針を明らかにした。
同報告書の中でFAIは、施設への投資不足により、アイルランドにおけるサッカーの発展と競技レベルが深刻な影響を受けているとし、ナショナルトレセンや育成施設のアップグレードが重要であると指摘した。
3億9,000万ポンド(約716.4億円)は、リーグ・オブ・アイルランド(LOI=1部)の各クラブのアカデミーや練習施設の整備、スタジアムにおけるファン体験や放送コンテンツの劇的改善、サッカー観戦に相応しいスタンドやホスピタリティエリアの整備などが投資対象となる。
FAIは、投資開始から5年以内に各スタジアムにホスピタリティエリアやメディア施設が充実したメインスタンドと天然芝ピッチが整備されることを望んでいる。なお、現時点ですでに整備計画が進んでいるダリマウント・パークやフィン・ハープスFCの新スタジアム『ドネガル・コミュニティ・スタジアム』、スライゴ・ローヴァーズの新本拠地などのプロジェクトについても、初期投資の対象事業に含まれている。
また、FAIは、今後15年以内に全クラブが少なくとも収容人数4,000人のスタジアムを本拠地とし、収容人数1万~2万人規模のスタジアムを10か所、さらに収容人数6,000人規模のスタジアムも10か所整備していきたいとしている。さらに、所属クラブのスタジアムのゴール裏には、収容人数1,000人以上のサイドスタンドが設置され、各サイドスタンドの裏手には、多様な飲食店舗を展開するのに十分なスペースを整備していく。
報告書では、次のように施設面での投資不足を指摘した。
LOIのスタジアムは、スポーツ観戦施設としては標準以下、放送設備は危険な場合もある。飲食店舗もなく、ファンが安心して使えるトイレも足りていない。アイルランド国内の収容人数順で上位40ヶ所のスタジアムのうち、サッカーの試合を開催しているのは3ヶ所のみという現状がある。
スタジアムや育成施設への投資により、リーグ・オブ・アイルランドのサッカーは、段階的および持続可能なかたちで恒久的に発展することが可能になるだろう」
FAIは、投資総額の60%相当となる5億1,700万ポンド(約950億円)をアイルランド自治政府が、20%相当の1億7,300万ポンド(約318億円)を地方自治体などの地域パートナーが負担するスキームを想定している。残りの20%は、国際サッカー連盟(FIFA)や欧州サッカー連盟(UEFA)、そして民間投資を促す目的で新たに設立されたアイルランド・フットボール・ファシリティーズ・ファンド(IFFF)などを通じて、FAIが調達する。
※金額はすべて2023年7月上旬で換算
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元記事 - FAI unveils ambitious €390m stadium plan to transform Irish football
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