フランスのサッカー、リーグアン(1部)のパリ・サンジェルマンFC(PSG)は、現在の本拠地『パルク・デ・プランス』の先行きが不透明であることから、サッカーやラグビーのフランス代表がホームスタジアムとして使用しているサン=ドニのスタッド・ド・フランスを買収するため、同スタジアムの公募売却に入札したと報じられた。
PSGの動きについては2023年3月、L'Equipe紙などがスタッド・ド・フランスの将来的な利活用を巡り、同クラブがフランス政府による公募売却に入札するだろうと報じていた。また、PSGがパリ西部のサンクルー競馬場の土地に新スタジアムを建設すると予測するメディアもある。
PSGは同紙の報道を受け、ファンやサポーターとの意見交換会を実施。パルク・デ・プランスの大規模改修、改修後のスタッド・ド・フランスへの移転、パリ西部での新スタジアム建設、そしてパリ西北のポワシー市を含むパルク・デ・プランスの20㎞圏内に新スタジアムを建設という4つの選択肢を提示した。
スタッド・ド・フランスは現在、フランス政府の施設管理代行団体であるコンソーシアム・スタッド・ド・フランス(Consortium Stade de France)が所有・運営管理している。コンソーシアム・スタッド・ド・フランスは、フランスの建設会社のヴァンシ(Vinci)社とブイグ(Bouygues)社がタッグを組んで結成されたコンソーシアムで、フランス政府は1995年に収容人数77,083人のスタッド・ド・フランスの所有・運営管理権を同コンソーシアムに委託する契約を締結している。
ただ、コンソーシアム・スタッド・ド・フランスとの契約は2025年7月1日に満了となるため、フランス政府は2023年3月7日、スタジアム売却またはコンセッション方式での所有・運営管理権譲渡の新契約の両方で入札希望者を募った。
入札期限となった4月27日には、PSGが正式にスタッド・ド・フランスの公募売却に対して入札を行なったと複数のメディアが報じた。売却額は6億4,700万ユーロ(約978億円)と試算されているが、現在の同スタジアムは多目的利用されており、サッカー専用スタジアムへと改修するには、さらなる設備投資が必要だと指摘する声もある。
また、スタッド・ド・フランスは、サッカーやラグビーのフランス代表のみならず、2024年パリ五輪およびパラリンピックのメイン会場としても使用されることが決まっており、一時はL'Equipe紙が一時は国際サッカー連盟(FIFA)も買収に関心を持っていると報じていた。
PSGには、パルク・デ・プランスの今後についてパリ市と衝突してきた経緯がある。2023年1月には、1974年からクラブが本拠地として使用してきたパルク・デ・プランス(収容人数48,000人)について、アンヌ・イダルゴ市長が売却する意思がないことを断言したことに対し、PSGが同スタジアムを去ることを示唆した。これを受けてイダルゴ市長は、スタッド・ド・フランスはPSGのホームスタジアムにはなり得ないと指摘していた。
翌2月にはPSGが、世界的な高級ホスピタリティ&ファン体験サービス事業者のレジェンズ(Legends)およびカナダの不動産ディベロッパー大手のコリアーズ(Colliers)社に今後の本拠地スタジアムの在り方について助言を求めた。
イダルゴ市長は、パルク・デ・プランス売却の話よりも、パリ市とPSGの間で2014年に締結された現行の(30年間の)賃貸借契約に関する再交渉を望んでいると語っている。
PSGは近年、約8,500万ユーロ(約128億円)をパルク・デ・プランスの改修に投じており、今後はクラブが同スタジアムを所有するという条件付きで、さらに5億ユーロ(約752億円)をスタジアムの改善および収容人数を6万人以上に拡張する事業に投じる意向だとしている。
※金額はすべて2023年4月下旬で換算
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元記事 - PSG 'ready to bid' for Stade de France
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