バルセロナとゴールドマン・サックス、『エスパイ・バルサ』プロジェクトのローン契約に合意
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FCバルセロナの本拠地『カンプノウ』
FCバルセロナの本拠地『カンプノウ』 (画像:Ayman.antar7)

スペインのサッカー、ラ・リーガ(1部)のFCバルセロナは、クラブが推進するエリア開発事業の『エスパイ・バルサ(Espai Barca)』プロジェクトの資金調達について、アメリカの投資銀行のゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)と8億1,500万ユーロ(約999億円)のローン契約を結んだ。

バルセロナのジョルディ・モイシュ金融・不動産担当バイスプレジデントが2020年10月5日に発表したクラブの財務状況によると、2019-20年度は主に新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、9,700万ユーロ(約119億円)の赤字を計上した。

ただ、クラブはエスパイ・バルサについては「革新的な資金運用」を実施し、COVID-19の影響の有無にかかわらず計画を進めていると強調しており、エスパイ・バルサの将来的な増分収益に繋がる各種権利の販売によって必要な資金を調達していく考えだ。

エスパイ・バルサは、クラブの本拠地『カンプノウ』の収容人数を現行の99,000人から105,000人に拡張し、観客席を覆う屋根を設置する大規模改修事業や7,500席の屋内アリーナ『パラウ・ブラウグラナ』に替わるクラブのバスケットボールおよびハンドボールチームの新たな本拠地アリーナの整備を含む、複合エリア開発事業だ。

2019年8月にはエスパイ・バルサの第1弾プロジェクトとして、Bチームと女子チームの新たな本拠地となるエスタディ・ヨハン・クライフが完成したばかりで、同スタジアムはバルセロナのU-19チームが欧州大会に参加する際のホームスタジアムとしても使用される。

女子チームの本拠地『エスタディ・ヨハン・クライフ』
女子チームの本拠地『エスタディ・ヨハン・クライフ』 (画像:Espai Barça - FC Barcelona)

クラブによると、ゴールドマン・サックスの貸付けによる8億1,500万ユーロのローンのうち、7億2,500万ユーロ(約888.6億円)が施設などの建設費に充てられ、9,000万ユーロ(約110.3億円)は利息額となる。

エスパイ・バルサの事業期間は、5年間の建設期間と25年間の管理・運営期間で構成されることから、ゴールドマン・サックスも30年ローンとしての貸付けに合意し、完成した施設の管理・運営中の償還期間(25年間)は建設工事が竣工する2024-25年シーズンが初年度となることになった。バルセロナは年間利率が3~4%および割賦償還金となり、増分収益は年間5,000万ユーロ(約61.3億円)を見込んでいるとしている。

バルセロナは声明の中で、次のように発表した。

「クラブがエスパイ・バルサの運営によって回収する予定の増分収益に繋がる権利の一部を、ゴールドマン・サックスが管理する資金調達スキームを通じて売却することで事業は成り立ちます。

今回の投資に対し、クラブはエスパイ・バルサによる毎年の臨時収入の1億5,000万ユーロ(約184億円)から5,000万ユーロずつ、今後30年間にわたってゴールドマン・サックスに返済していきます。残りの1億ユーロ(約122.5億円)はクラブの通常の活動や強化に使っていく予定です」

バルセロナは年間臨時収入の合計が1億5,000万ユーロとなる試算について、スタジアムの命名権(ネーミングライツ)売却や新たなスポンサーシップ契約の締結(5,000万ユーロ)、VIPボックスやホスピタリティ席の販売(5,000万ユーロ)、スタジアム内のミュージアムのチケット収入や試合のチケット収入、ケータリングや施設利用、駐車場利用による収入(5,000万ユーロ)を収入源の根拠として挙げている。

2014年に承認された当初予算は6億ユーロ(約735億円)で、この時点ではクラブ独自の資金運用ファンド、スタジアムスポンサー、そして金融機関の3者が協力して資金調達を請け負う方針だった。また、初期計画ではカンプノウ改修以外に、1万席の新パラウ・ブラウグラナや2,000席のプティ・パラウ、アイスリンク、そしてバルサ・キャンパスの建設が決まっていた。

その後、オフィスビルやホテルの建設を含む5,000万ユーロ規模の都市改造計画についてバルセロナ市や行政機関と合意するなど、プロジェクトの進展に伴って建設費は7億2,500万ユーロに高騰した。

また、パラウ・ブラウグラナの収容人数が1万人から15,000人に変更したことで6,000万ユーロ(約75億円)の追加資金が必要になったことや、ミュージアム改修費や新たに設置する体験型アトラクションの整備費の1,500万ユーロ(約18.4億円)も予算の高騰化に影響している。

バルセロナは、新たな資金調達スキームの重要なポイントは、カンプノウの大規模改修が終われば、収容人数の増加によるチケット収入の大幅な増加が見込めることだと主張。2014年時点では、エスパイ・バルサ完成後の毎年の増分収益は5,000万ユーロと試算されていたが、ISGレジェンズ(ISG Legends)社の調査によると、計画変更とそれに伴う予算増額による2024-25年以降のクラブの増分収益は、毎年1億5,000万ユーロ以上になると予測されている。

モイシュ氏は、クラブがカンプノウ改修案の建築許可について、市に正式に申請書を提出したことを明らかにし、入札手続きが現在進行中であることを認めた。今後は新パラウ・ブラウグラナの草案を作成し、2021年末までに設計案の完成と建築許可の申請を終え、2022年から2023年にかけて建設工事を実施できるよう目指していく。

なお、『エスパイ・バルサ』プロジェクトの新たな資金調達スキームの実現には、ソシオ(クラブ会員)の投票による承認が必要で、会員投票は2021年夏のカンプノウ改修工事のに起工に先立つ同年上半期に実施される予定だ。

※金額はすべて2020年10月下旬で換算

Copyright: Xperiology/TheStadiumBusiness.com - reproduced with permission.
元記事 - Financing deal signed with Goldman Sachs for Espai Barca

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