豪AFLとテルストラ、マーベル・スタジアムで目が不自由なファンのための試合観戦デバイスを導入
豪AFLとテルストラ、マーベル・スタジアムで目が不自由なファンのための試合観戦デバイスを導入

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マーベル・スタジアムで導入実験が実施されている5Gタッチ&トラック
マーベル・スタジアムで導入実験が実施されている5Gタッチ&トラック (画像:Telstra)

オーストラリア南部メルボルンのマーベル・スタジアムは、コマーシャル・パートナーのテルストラ(Telstra)社およびオーストラリアンフットボールの統括団体であるオーストラリアン・フットボール・リーグ(Australian Football League=AFL)と提携し、目が不自由なAFLファンのゲームデー体験を向上する新技術を導入すると発表した。

オーストラリアでは、40万人以上が盲目または目が不自由な状態だが、同時に全人口の1/3がAFLクラブのサポーターでもあると言われている。テルストラは今回、目が不自由なファンが没入でき、試合観戦を楽しめるインタラクティブなデバイス『5Gタッチ&トラック(5G Touch and Track)』の試作品をスタートアップのテクノロジー企業であるフィールド・オブ・ビジョン(Field of Vision)社と共同開発。

5Gタッチ&トラックは、5G仕様のタブレット型デバイスで、ボールの動きといったピッチ上のアクションをデバイス上の指先に伝えることで、目が不自由な人でもスポーツを触覚体験として楽しめるオーストラリア初のソリューションだ。

デバイス本体の内部には磁石が入っており、ピッチ上でボールがパスされると、その情報が5Gでデバイスにほぼリアルタイムで届くため、デバイス表面に設置された鋼製リングがピッチ上のボール同様に動く仕組みとなっている。リアルタイムに近い磁石の動きと周辺の観客の歓声が組み合わさることで、より臨場感あふれる体験が可能になる。

(動画:Telstra)

5Gタッチ&トラックのデバイスは3Dプリンターで造形され、ゴールラインなどのフィールドの枠線は沈み彫り加工で刻まれるほか、点字情報も突起で表記される。

テルストラは、沈み彫りで表現された「ピッチ」と触覚で感知可能な鋼製リングの組み合わせにより、目が不自由なファンもピッチ上のアクションやそのスピードを体感することができるとしている。ボールがパスされる度に鋼製リングがデバイスで同様の動きを実現し、ボールが蹴り上げられるとリングは早く動いてキックを伝える。さらにゴールになった場合は、スタジアム内と座席周辺のファンたちの歓声も加わり、一体となってゴールを喜ぶことができるという仕組みだ。

テルストラのスポーツ・テクノロジー主任のクリス・ハロップ氏は、5Gタッチ&トラックの開発について次のように話した。

「オーストラリア国内に住む盲目や目が不自由な方は、このマーベル・スタジアム(収容人数53,359人)を6回以上満員にできる数だけいます。

テルストラでは、目が不自由な方たちもAFLの試合を生で観戦できる技術を開発したいと考えており、このプロジェクトが創出する機会が重要なものであると感じております。一番大切なのは、すべてのファンの方がスポーツ観戦を楽しめるということで、私たちは5Gタッチ&トラックは大きな可能性を秘めており、今後、マーベル・スタジアムだけでなく、多くの会場でスポーツの生観戦に革新的な変化をもたらすことができると信じております。

テルストラは、20年以上にわたってAFLと事業提携しており、マーベル・スタジアムのテクノロジー&イノベーション・パートナーとしてスタジアム革命に取り組んでいます。現在はマーベル・スタジアムでこの新技術の導入実験をしておりますが、将来的にはオーストラリア国内の様々なスタジアムで、目が不自由なファンの方々に5Gタッチ&トラックを提供していきたく思っております」

5Gによりボールト鋼製リングの動きを連携
5Gによりボールト鋼製リングの動きを連携 (画像:Telstra)

AFLは2020年12月、オーストラリア最大の通信会社であるテルストラとのパートナーシップにより、マーベル・スタジアムが世界で最も技術イノベーションが進んだスポーツ&エンターテインメント会場のひとつになると宣言していた。

会見の中でAFLは、テルストラとケーブルTV大手のFoxtelとのパートナーシップ契約を2024年まで延長したことを発表し、また、AFLが所有しているマーベル・スタジアムがテルストラの5G事業の試験場となることを示唆していた。

その後、テルストラは前述のとおり、マーベル・スタジアムのオフィシャル・テクノロジー&イノベーション・パートナーとして4年契約を締結し、オーストラリア国内のスタジアムやエンターテインメント施設としては、最高レベルのデジタル体験の提供を実現するとしている。

触覚を使って試合の状況を認識できる
触覚を使って試合の状況を認識できる (画像:Telstra)

テルストラとフィールド・オブ・ビジョンが導入実験中の5Gタッチ&トラックは試作段階のものだが、両者は今後数年をかけ、より洗練された製品の完成を目指す考えだ。開発には、ビジョン・オーストラリア(Vision Australia)やAFL、AFLブラインド(AFL Blind)といった団体も協力しており、今回の試作品を使用したユーザーの体験は、今後のアップグレードに大きな影響を与える。

AFLのカイリー・ロジャース顧客&ビジネス担当エグゼクティブ・ジェネラル・マネージャーは、テルストラとの協業や5Gタッチ&トラックについて次のように話した。

「テルストラのように、AFLファンの方たちが今まで以上に試合観戦を楽しめる新たな方法を模索し続けてくれるパートナーと協働できることを嬉しく思っております。そして、5Gタッチ&トラックは、すべてのファンの方々が試合観戦に参加できるインクルーシブな観戦体験の実現にとって非常に重要な存在なのです」

Copyright: Xperiology/TheStadiumBusiness.com - reproduced with permission.
元記事 - Marvel Stadium unites with Telstra, AFL to trial new tech for visually impaired fans

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