メキシコシティの歴史的なスタジアム『エスタディオ・アステカ』は、2026年FIFAワールドカップ開催に向けた施設アップグレード事業のうち、新たに設置した照明システムとベンチエリアを公開した。2026年FIFAワールドカップはアメリカ合衆国、メキシコ、カナダの3ヶ国共催で開催されることが決まっており、メキシコおよびスペイン語圏最大のテレビ局で、エスタディオ・アステカを所有するテレビサ(Televisa)がスタジアム全体のアップグレード事業に取り組んでいる。
シグニファイ(Signify)社が新たに導入したLED照明システムは、自宅やバーなどでテレビを通じて試合を観ている視聴者の観戦体験を向上するだけでなく、スタジアムの省エネ効率も改善することが期待されている。
Hoy le damos la bienvenida al nuevo sistema de iluminación!y a la banca de jugadores.
— Estadio Azteca (@EstadioAzteca) August 15, 2020
Nos ponemos a la vanguardia tecnológica y ambiental con iluminación LED de alta calidad y eficiente!!! #EstadioAztecaTeAcompaña #ColosoDeLasEmociones pic.twitter.com/PKY3hDL6BI
また、選手や関係者が座るベンチエリアも刷新され、最先端技術を駆使した雨避け屋根も設置された。ベンチエリアは元々、スタジアムの西側に設置されていたが、観客席のテレビカメラ用撮影ポジションの視野を考慮した結果、東側への移転が決まった。また、ベンチエリアの背後の客席からの視野を確保するため、選手用ベンチはピッチレベルより掘り下げた位置に設置されている。
なお、新しいベンチエリアを設計したポピュラス(Populous)によると、ベンチエリアに架かる雨避け屋根は、1970年と1986年のFIFAワールドカップ(共にメキシコ開催)で使用されたアディダス(Adidas)社製の試合球『テルスター(Telstar)』と『アステカ(Azteca)』の接合模様をデザインに取り入れており、世界中のサッカーファンが即座にメキシコとエスタディオ・アステカを想起できる六角形と五角形の配置パターンを採用したそうだ。
ベンチエリアの雨避け屋根に使われているETFEは、アメリカのミネソタ州にあるアリアンツ・フィールドのファサードに使われたテフロン(PTFE)材と同じ業者が製造、設置した。選手や関係者を豪雨などの悪天候から守るだけでなく、透過性の高い素材であることから、観客やテレビカメラの視線を阻害しないという特徴がある。
ポピュラスのシニア・アソシエイト、ティム・リーブス氏は、ベンチエリアの雨避け屋根について次のように話した。
「新たに設置したベンチエリアの椅子は、高級車のようなクッション性の高いスポーツチェアで、多くのデータポイントや電源が設置されています。さらに雨避け屋根自体に制御可能なLED照明装置が付いており、ゴールや勝利の瞬間をイルミネーションで祝うことができます。ファンにとっても選手にとっても、他では味わえない試合体験になることでしょう」
2020年6月、エスタディオ・アステカは2026年FIFAワールドカップに向けた改装事業の施工業者として、スペインのモルカワールド(MolcaWorld)社を選定。モルカワールドはファサードやスタンド、更衣室、記者室、VIPボックス席の改装を段階的に実施する。
収容人数87,500人のエスタディオ・アステカは、1966年に開場したサッカー専用スタジアムで、現在はメキシコ代表や同国のリーガMX (1部)に所属するクラブ・アメリカとクルス・アスルが本拠地として使用している。また、同スタジアムでは毎年、アメフトの全米最高峰ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の公式戦が開催されているが、今年は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で中止となっている。
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元記事 - Estadio Azteca rolls out latest improvements
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