アメリカ合衆国フロリダ州のタンパ市は、野球の北米最高峰、メジャーリーグ・ベースボール(MLB)のタンパベイ・レイズ誘致を目的とした新ボールパーク建設計画の完成イメージを公表した。
地元TV局のFOX 13が、タンパ市内の約10.1万m2の工業地帯に、新ボールパークを含む多目的商業エリアを整備するガスワークス地区(GasWorx District)再開発プロジェクトのイメージ画像が公開されたと報じた。
新たに公表された計画案には、レイズの要請で作成されたとする新ボールパークと周辺の多目的商業エリアの完成イメージが含まれており、同案によると新球場はイーボーシティ地区南部の工業地帯での整備を想定している。レイズは以前にも、「MLBで最も親密な雰囲気の球場を整備する」として、ポピュラス(Populous)社が設計した半透明の屋根が特徴的な新球場をイーボーシティ地区に建設する計画の推進を試みたが、屋根構造だけで球場全体の建設費の30%の費用が必要となることが判明し、資金難を理由に2018年12月に断念した経緯がある。
ポピュラス案は、固定席が28,216席で収容人数が30,842人の新球場を8億9,200万米ドル(約1,010億円=2018年11月当時)で整備するという試算に基づいたもので、2023年のMLBシーズンの開幕戦までの完成が見込まれていた。
最新の球場整備計画について、タンパ市はFOX 13に対して次のように話した。
「資金調達の手法や整備予定のインフラ施設の詳細など、まだまだ明確にしなければいけない点があります。本市の立ち場はこれまでと変わらず、タンパ市こそがレイズの新ボールパークの理想的なホームタウンだと考えておりますが、それが例え別の場所になったとしても、結果的にタンパベイ地域内に新ボールパークができるのであれば、地域コミュニティ全体にとっての勝利といえるでしょう」
タンパ市がレイズ誘致に向けた動きを活発化させる一方で、現在の球団の本拠地球場『トロピカーナ・フィールド』を所有するセントピーターズバーグ市では2022年12月中旬に、レイズと不動産ディベロッパーのハインズ(Hines)社が新球場の建て直しと周辺地域の再開発に関する提案を市に提出したばかりだ。トロピカーナ・フィールドとその周辺一帯のヒストリック・ガス・プラント地区(Historic Gas Plant District)の新たな利活用については、レイズとハインズの共同提案以外にも、50 Plus 1 Sports、レストレーション・アソシエイツ(Restoration Associates)、シュガーヒル・コミュニティ・パートナーズ(Sugar Hill Community Partners)といった団体や組織が再開発案を市に提出している。
レイズとハインズの共同提案では、最新設備を完備した新ボールパークや5,700戸の住宅マンション、延べ床面積13万m2を超えるオフィススペース、約2万7,870m2の店舗スペース、700室のホテル、600戸の高齢者住宅、収容人数2,500人の娯楽施設などの整備も含まれている。なお、ハインズはこれまでに、MLBのサンディエゴ・パドレスの本拠地『ペトコパーク』の建設管理者として大規模施設の建設事業に参加した実績を持つ。
セントピーターズバーグ市は、タンパ市の誘致の動きについて次のように声明を出した。
「セントピーターズバーグ市としては、市内のヒストリック・ガス・プラント地区こそが、新たなMLB球場の建設用地として相応しいと考える複数の理由があると考えております。レイズが様々な選択肢を模索していることは理解しており、ヒストリック・ガス・プラント地区の再開発については本市も考えうるすべての選択肢について検討しているところであります」
2022年1月、タンパベイ・レイズのスチュアート・スターンバーグ代表オーナーは、革新的な「姉妹都市ホームタウン制」の可能性を提案し、カナダのモントリオールを新たなホームタウンとする要望をMLBに伝えたが、MLBはこれを却下。地元のタンパベイ地域で新たな球場を整備せざるをえない状況に対して失望の意を表明していた。
タンパベイ・レイズは、MLBに参入した1998年シーズンからトロピカーナ・フィールドを本拠地としてきたが、セントピーターズバーグ市との賃貸借契約は2027年で期限切れとなる。
※換算額はすべて2022年12月下旬時点のもの
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元記事 - Tampa releases plan for Rays ballpark
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