エヴァートン、新スタジアムにおけるホスピタリティサービスのコンセプト『ALL』を発表
エヴァートン、新スタジアムにおけるホスピタリティサービスのコンセプト『ALL』を発表

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建設が進むエヴァートン・スタジアム
建設が進むエヴァートン・スタジアム (画像:Everton FC)

イングランドのサッカー、プレミアリーグ(1部)のエヴァートンFCは、現在建設中の新スタジアム(収容人数52,888人)で「従来のサッカースタジアムにおけるホスピタリティの概念を覆す」コンセプトを生み出すと表明し、新スタジアム建設プロジェクトの今後のスケジュールを発表した。

今回、エヴァートンは発表に併せ、新スタジアムのロゴのお披露目、新スタジアムの公式ウェブサイト『evertonstadium.com』と関連ソーシャルメディアのアカウント開設、そして新たな完成予想図やプロジェクト進捗状況を伝える写真も公開した。

2022年8月11日の新たな発表は、プロジェクトの起工1年を迎え、新スタジアムに最初のコンクリート製テラスユニットが設置されたことを受けたもので、建設パートナーであるレイン・オルーク(Laing O'Rourke)社も、スタジアムの4つのコンクリートコアを完全な高さまで構築する作業が完了したことを認めている。

エヴァートン・スタジアムの外観イメージ
エヴァートン・スタジアムの外観イメージ (画像:Everton Stadium)

新スタジアムの総工費は5億ポンド(約856億円)で、エヴァートンはちょうど1年前の2021年8月10日にプロジェクトの起工式を実施。新スタジアムはリバプール市中心部から北に1.6kmのウォーターフロント地区『ブラムリー・ムーア・ドック』で建設中で、今回クラブは完成後の新ホームで提供していくホスピタリティサービスのコンセプトとして『ALL』を発表した。

ALLは、エヴァートン・スタジアムで利用できるバー、レストラン、各種スタジアム体験を集約するもので、エヴァートンは2022年2月に、新スタジアムでの新たなファン体験創出に関する事業を委託した会場運営スペシャリストのフォワード・アソシエイツ(Forward Associates)社がクラブと協業して生み出したホスピタリティ・コンセプトだ。

フォワード・アソシエイツはエヴァートンとの連携のもと、ホスピタリティパッケージ(食事付きチケットなどを含む付加価値型観戦チケット)および各種スタジアム体験といったマッチデー商品を企画・開発。ALLは、幅広く包括的なスタジアム体験サービスをファンやサポーターに提供するためのキーコンセプトとして、従来型のパブやスポーツバー、ストリートスタイルの高級レストランからラグジュアリーなファインダイニングまで、スタジアム内で展開されるホスピタリティサービス全般に反映されることになる。

エヴァートン・スタジアムの鳥瞰イメージ
エヴァートン・スタジアムの鳥瞰イメージ (画像:Everton Stadium)

フォワード・アソシエイツは、エヴァートン・スタジアム・プロジェクトにシニアデザインコンサルタントとして参加しているロイ・ウエストウッド氏によって設立された。ウエストウッド氏は、ALLの背景にあるビジョンについて、次のように語っている。

「私たちにとって、ALLは単なるホスピタリティのスタイルにとどまりません。従来のホスピタリティの概念を超越した特別なコンセプトなのです。

ホスピタリティと聞くと、しばしば『VIP』と『そうでない来場客』という対照的なイメージを連想される方も多いと思いますが、私たちが創造したかったのは、スタジアムに来場するすべてのお客様のためになるものでした。それこそが、私たちのすべてのアプローチの中心にあったといえます。社会的なバリアを取り除き、誰もがファンであることを確実に理解すること、そしてすべてのファンやサポーターが同じものを求めているわけではない一方で、誰も取り残さないということが重要だったのです。

エヴァートンFCのファンやサポーターが、日常生活の中に取り入れているさまざまな体験をどのように創造し、マッチデーという儀式的な習慣にどう生かしていくかを考えるのが私たちの仕事でした」

エヴァートン・スタジアムの完成後、ブラムリー・ムーア・ドックのスタジアム周辺とファンプラザはマッチデーに52,888人を超えるサポーターたちが集まる一大拠点となる。今後数ヶ月の間に、リバプール市内のロイヤルリバービルディングに『Experience ALL Showroom』が設置され、エヴァートン・スタジアム完成後の各種バー、レストラン、ラウンジ、ボックス席のイメージを紹介するなど、ALLを通じて企画された体験が再現される予定となっている。

(動画:Everton Stadium/Twitter)

また、ウエストウッド氏はエヴァートン・スタジアムにおけるALLの在り方について、次のように述べた。

「すべての体験は、スタジアム所在地の歴史的遺産に触れるものです。また、サッカークラブの歴史や伝統にも触れるものでもあり、マッチデーを楽しむ多くのファンのために企画された多数のレストラン、バー、ラウンジ、各種体験の中で、そのすべてが生き生きと表現されます。

私たちは、非常にユニークな体験の数々を創造しただけでなく、こうした体験をシーズンベース、あるいはイベントベースで購入できるようにし、さまざまなファンの方々に多種多様な方法でご利用いただけるようにしました」

ブラムリー・ムーア・ドックの鳥瞰イメージ
ブラムリー・ムーア・ドックの鳥瞰イメージ(画像:Everton Stadium)

エヴァートンは2022年3月、3期連続となる1億ポンド(約171.3億円)を超える赤字を計上したが、新スタジアム建設に全力で取り組む姿勢を維持した。今後のスケジュールについて、クラブのスタジアム建設主任のコリン・チョン氏は次のように述べた。

「スタジアム建設は3分の1近くまで完了していますが、私達は現状に満足しているわけではありませんし、楽観視しているわけでもありません。まだ2回ほど冬を越さなければなりませんが、その間、天候を見て高所での吊り上げ作業を数多く行う必要があります。ご想像の通り、強風が吹けば高い位置での作業はできなくなります。

しかし、私達は過去の気象データを数多く分析し、それに基づいた予測や計画を立てています。また、レイン・オルーク社も過去のプロジェクトから得た多数のデータを保有しており、作業を安全に完了させるために、天候の変化によるどのようなタイミングで吊り上げ作業を中断すべきかを把握しています。こうした知見により、プロジェクトの正確なタイムラインを構築することができます。

最初のテラスユニットが鉄骨の上に設置され、鉄鋼の隙間にコンクリートが充填され、スタジアムのボウルが姿を現すと、それだけで視覚的なインパクトが生まれます。

敷地へのアクセスに使用するため完成が最後になる東スタンドを除き、サポーターの皆様は今後6ヶ月の間に設置されるコンクリート製テラスユニットの上層部全体を見ることができるでしょう。テラスユニットの下層部は、屋根の鉄骨が完成した後に設置される予定です。

2023年春に設置作業が始まる屋根は、間違いなくビジュアル的に最大かつ決定的なインパクトをもたらしますが、高所での大型構造体の設置は、風という運がもたらす事象に大きく左右されます。巨大で高価な鉄とアルミニウムの被覆材は分割して製造し、北と南のスタンドから順番に設置する必要があります。

東西のスタンドは計画全体を安定させるため、主にコンクリート造りとなっており、南北のスタンドよりも完成までに時間がかかります。そして、これらのスタンドには機械、電気、配管のサービスがすべて備わっているため、今後1年間ほどはすべての作業が内部で行われることになり、外観の変化はほとんどわからないと思います。

また、格子状レンガで形成される外部ファサードの設置についても、おそらく2022年後半に各部で開始される予定です。外部ファサードが完成する頃には、世界をあっと驚かせるような私達の新スタジアムの最終形が姿を現すことでしょう」

エヴァートン・スタジアムは、2024-25年のシーズンに合わせて完成予定となっている。

※金額はすべて2022年10月下旬で換算

Copyright: Xperiology/TheStadiumBusiness.com - reproduced with permission.
元記事 - Everton sets out 'ALL' vision for new stadium

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