イングランドのサッカー、EFLリーグ2(4部)のフォレストグリーン・ローヴァーズFCを所有する再生可能エネルギー事業者のエコトリシティ(Ecotricity)社は、クラブの新たな本拠地として建設を計画しているエコパーク・スタジアムの周辺開発について、計画の改訂案を公表した。
エコパーク・スタジアムは、イングランド南西部グロスターシャー州のM5高速道路のJCT13付近に建設が予定されている5,000席の木造スタジアムだ。同スタジアムの建設計画は、一旦は2019年6月にストラウド区議会に却下されたが、同年12月にはエリア開発許可を取得していた。
今回公表された改訂案では、カーボンゼロ経済を目指すグリーンテクノロジー事業者の利用を対象とし、38,000m2のオフィススペースと18,000m2の工業団地で構成されるビジネスパークの整備案も含まれている。
フォレストグリーン・ローヴァーズは、エコパークの開発は地域に年間1億5,000万ポンド(約232億円)の経済効果をもたらし、ストラウド区議会には事業用固定資産税(ビジネスレート)による年間200万ポンド(約3億円)の税収が見込めると試算している。
フォレストグリーン・ローヴァーズのデイル・ヴィンス会長は、エコパーク開発計画が当初許可を得られなかった際に区議会の決定に異議を唱えていたが、結果的に開発許可を取得できたことから、同計画の安全性評価や環境評価は適切であったことを強調した。
2022年1月27日に提出された改訂案は、エコビジネスや知識集約型産業を開発エリアに誘致するという、『グロスターシャー・ローカル・エンタープライズ・パートナーシップ(GFirst LEP)』とストラウド区議会の要望に沿ったものとなっている。GFirst LEPは、イングランド国内で38ある地場産業と地方自治体の連携協定(Local Enterprise Partnership=LEP)のひとつで、グロスターシャー州の戦略的経済計画の中核事業だ。
また、エコトリシティはエコパーク内にクラブ専用の大規模練習場を整備する方向で、2022年春の起工を目指している。実現すればローヴァーズはプロ化以来、初めて区内で練習できるようになる。
また、クラブは、エコパークが整備されることで生物多様性が約12%増加し、パーク内の使用電力の約80%は自家発電設備で賄えるとしている。
建設作業の起工に先立ち、現在は幅広い考古学調査が実施されており、古代ローマ帝国時代の遺跡の出土を確認する発掘作業も始まっている。考古学調査には3~4か月かかる見込みだ。
ヴィンス会長は、エコパーク開発計画の改訂案について次のように話した。
「ここまで来るのに本当に長い時間を要しましたが、エコパーク開発計画と区議会やグロスターシャー州の地域開発計画の足並みが揃い、いよいよ起工が近づいてきたと感じています。
エコパークは、適切なかたちで持続可能な開発の可能性を広げるチャレンジになります。そして、その中核事業は、古代ローマ人がコンクリートを発明した時代以来、地球上で最も低炭素なサッカースタジアムの建設であり、そう意味では敷地内に古代ローマ帝国の遺跡が埋もれているのもふさわしいと言えるでしょう。
まずは今後2か月ほどで練習場整備工事が起工することを期待していますが、最終的にはフォレストグリーン・ローヴァーズの全チームが同じ場所で練習できる日を楽しみにしております」
フォレストグリーン・ローヴァーズは、国連や国際サッカー連盟(FIFA)に「世界で最もエコなサッカークラブ」に認定されている。本拠地『ザ・ニュー・ローン』は、2020年は飲料メーカーのイノセント(Innocent)が命名権を獲得していたが、2021年からは再生可能エネルギーや電気自動車(EV)に関するトピックを配信しているYouTubeチャンネル『フリー・チャージド(Fully Charged)』が命名権を取得しており、現在は『ザ・フリー・チャージド・ニュー・ローン』という名称になっている。
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元記事 - Forest Green submits revised plans for all-wooden stadium
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