イングランドのサッカー、フットボールリーグ1(3部)のAFCウィンブルドンは、現在建設中の新スタジアムについて、工事の最終段階に必要な資金の調達に成功したと発表した。
オンラインファッション会社のASOSで財を築いた地元の実業家のニック・ロバートソン氏がAFCウィンブルドンの株式の10%を取得したことで、クラウドファンディング・プラットフォームのSeedrsとスタジアム債を発行するプラウ・レーン・ボンド(Plough Lane Bond)から必要な資金を開放することができるようになった。
AFCウィンブルドンの株式の75%を保有するドンズ信託経営委員会(Dons Trust Board=DT)は2019年11月に臨時会議を招集し、スタジアム建設プロジェクトを完遂するには、2020年1月までに1100万ポンド(約14.8億円)の追加資金が必要で、民間出資者を募る選択肢についても検討すべきだと表明していた。
これに対し、クラブのファンやサポーターは2019年12月、スタジアム建設の資金不足に悩まされる中、民間投資による資金調達はDTの株式保有率を下げることになり、ファン所有型のクラブ運営ができなくなる恐れから、この選択肢については反対する意思を示していた。
AFCウィンブルドンは、ウィンブルドンFCがミルトンキーンズへと移転し、MKドンズに改名したことを受け、地元のサポーター有志が2002年に立ち上げたクラブで、創設時以来、キングストン・アポン・テムズ王室特別区のチェリー・レッド・レコーズ・スタジアム(正式名称:キングスメドウ)を本拠地としている。
クラブは現在、ウィンブルドンFCが1991年まで本拠地としていたロンドン南西部のプラウ・レーンから約230mの位置に新スタジアムを建設中で、当初は2020-21年シーズン開幕までの完成を目指していた。新型コロナウイルス感染拡大の影響でリーグ日程は大きくずれる見込みだが、クラブは10月25日までに新スタジアムは完成するとしている。
AFCウィンブルドンのジョー・パーマー最高経営責任者(CEO)は、新たな資金の確保により、新スタジアム建設工事は予定通り進行し、DTも筆頭株主の立場を継続できるとしたうえで、次のように話した。
「クラブが今の状況にあるのは、間違いなく私たちの素晴らしいファンやサポーターの皆様のおかげです。
Seedrsのクラウドファンディングとプラウ・レーン・ボンドは、新スタジアム建設資金を調達するのに大きく貢献しましたが、プロジェクトを完遂するには最後の一押しがどうしても必要でした。出資してくれたニック(・ロバートソン氏)は、以前から本当に苦しい時には必ず助けると約束してくれていました。彼は少なくとも2年間にわたり、チェリー・レッド・レコーズ・スタジアムでの試合を観戦しに来てくれて、クラブの物語を自分の宝物のように大事にしてくれました。
AFCウインブルドンはファン所有型クラブで、今後もそのように在り続けてほしいという、私たちが価値があると考えているものに対し、ニックも同じように価値を見出してくれています。彼は株式の10%を保有しながらも、DTが経営権を持ち続けられるかたち、つまり、ニックを含む私たち全員が望んでいるかたちでの出資に同意してくれました。ニックにはSeedrs発行済み株式のうち、未取得の承認済み株式が割り当てられることになります。
ニックがここまで献身的に支援してくれるのは、AFCウィンブルドンがプラウ・レーンに帰還することが、クラブと地域コミュニティの双方が未来に向かって前進していくために、いかに重要なことなのか理解してくれているからです。
新シーズンの開幕時期や、さらに重要になってくる新スタジアムでの観客入場が可能になる時期など、今私たちはコロナウイルスの影響で発生した多くの課題に直面しています。
それでも、クラブは、新スタジアム建設工事が続行できるかという最大の障壁を乗り越え、プラウ・レーンへの道のりは確実に拓けました。これは、クラブが正しい方向に進んでいくための大きな一歩になるでしょう」
新スタジアムの開場時の収容人数は9,000人だが、将来的には4ヶ所の角部分をスタンド化し、観客席をボウル状にすることで最大で20,000人収容に拡張することができる。設計はKSSグループ、施工はバッキンガム・グループ・コントラクティング(Buckingham Group Contracting)社が担当する 。
※金額はすべて2020年6月上旬で換算
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元記事 - AFC Wimbledon on home straight with new stadium after fresh funding
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