スコットランドで最もエコなクラブを目指すハイバーニアンFC、スタジアムの完全キャッシュレス化を実施
スコットランドで最もエコなクラブを目指すハイバーニアンFC、スタジアムの完全キャッシュレス化を実施

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ハイバーニアンFCのイースター・ロード
ハイバーニアンFCのイースター・ロード(画像:Hibernian FC)

スコットランドのサッカー、プレミアシップ(1部)のハイバーニアンFCは、本拠地『イースター・ロード』の完全キャッシュレス化に向けて決済サービスプロバイダーのスポーティング・ペイ(Sporting Pay)社と4年間のパートナーシップ契約を締結した。スタジアムのキャッシュレス化が、新型コロナウイルス(COVID-19)の勢いが終息した後、つまりコロナ後のサッカー界に必要不可欠になるというクラブの認識を反映する事業だ。

エジンバラ市の同スタジアムは飲食売店を改装したばかりで、スポーティング・ペイによる電子POS端末の導入で一般席ゾーンは完全キャッシュレス化が実現する。

ハイバーニアンFCのマーケティング&ブランド・パートナーシップ担当部長、グレッグ・マッキュワン氏はTheStadiumBusiness.comに対し、スポーティング・ペイと契約したタイミングとコロナ後のスタジアム運営について次のように話した。

「クラブでは最近、飲食提供サービスの自社事業化に伴って売店を改装したので、スタジアム運営チームは新たな決済システムの導入について検討していたところでした。

スタジアム内のすべての売店に電子POSシステムを導入したいという狙いはありましたが、同時に導入費用についても精査していたところに、COVID-19というパンデミックがやってきました。サッカー興行の見通しが立たない中、逆に今こそスタジアムから現金決済を撤廃する絶好のタイミングだと考え、キャッシュレス化をサポートしてくれるパートナー企業を模索しました。その中でも、スポーティング・ペイは抜きん出ていました。

今後はすべてのスポーツでキャッシュレス化が進んでいくことになりますから、現時点でスタジアムの完全キャッシュレス化を実現できれば、顧客サービスの面で優位に立つことができます。キャッシュレス化の動きは以前から徐々に広がりを見せてはいましたが、コロナ後はさらに加速することになるでしょう」

スタジアムはエジンバラ市の中心部にある
スタジアムはエジンバラ市の中心部にある(画像:Hibernian FC)

マッキュワン氏は、コロナ後の世界におけるスタジアムの在り方を考えた場合、キャッシュレス化への移行には多くの利点があるとし、次のように説明した。

「まず、キャッシュレス化により、お客様は小銭を探す必要がなくなり、キャッシャーやレジでもお釣りの小銭を扱うことがなくなるので、カスタマーサービスの速度が向上し、マッチデー体験が良い方向に変わります。

ファンやサポーターの年齢層によっては、スタジアムに大金を持ってこないお客様もおり、これまでは高額のお買い物をされようとしても、クレジットカードが使用できないことで断念されていた方もいらっしゃいます。今後は、イースター・ロードのすべての売店やホスピタリティラウンジにキャッシュレスシステムが導入されるので、このようなことはもう起こりません。また、お客様の衛生面においても、キャッシュレスの利点は明白です」

フランスやオランダ、ベルギー同様、スコットランドのプレミアシップも2019-20年シーズンは早期終了となっており、クラブはコロナ後に観客をどのようにスタジアムに呼び戻せるかという難題に直面している。マッキュワン氏はコロナ後のスタジアム体験について次のように語った。

「最大の課題は、最も安全なスタジアム入退場の動線を確立することと、試合を観戦するお客様に可能なかぎり清潔な環境を提供することです。

運営チームは現在、入退場口や最も安全なコンコース回遊動線の分析、そして手袋やマスク、消毒液などを提供することで試合を可能なかぎり安全に観戦できるかなど、多くの課題を解決するために知恵を絞っています」

また、ハイバーニアンFCは2020年初めに「スコットランドで最もエコなクラブ」を目指すことを標榜しており、クラブはエコ事業においてもスポーティング・ペイが強力なパートナーとなることに期待を寄せている。クラブが消費する電力はすべて再生可能エネルギー由来のもので、さらに現在は練習場のハイバーニアン・トレーニング・センター(Hibernian Training Centre=HTC)にバイオマスや地熱ヒートポンプによる電力供給システムを導入し、敷地内に太陽光発電所を整備することも検討している。

クラブは2020年末までに、マッチデーで発生したゴミのほぼすべてをリサイクルすることを目指しているほか、飲食提供サービスにおいては使い捨てプラスチックの完全撤廃も視野に入れている。植物性食品のみで作るヴィーガン(絶対菜食主義)メニューはすでにスタジアムの売店で購入が可能だ。

また、ハイバーニアンFCはCO2排出量を3%削減するため、クラブの社用車をすべて電気自動車(EV)にすると発表。エジンバラ市議会が推進している移動プランと連携し、パートナー企業との協働を通じて自家用車でスタジアムに来場する観客を48%削減することを目指している。イースター・ロードとHTCにはEV用充電器も設置される予定だ。

ハイバーニアンFCは「スコットランドで最もエコなクラブ」を目指す
ハイバーニアンFCは「スコットランドで最もエコなクラブ」を目指す(画像:Hibernian FC)

マッキュワン氏は、スポーティング・ペイとの契約締結は、エコ事業に大きくかかわっているとしたうえで、次のように説明した。

「最もエコなクラブを目指している私たちにとって、飲食などのケータリングの見直しは非常に大事なことです。スポーティング・ペイが導入する新たな電子POS端末システムにより、今まで以上に詳細な在庫管理が可能になるため、スタジアムで発生する食品廃棄物も削減できるようになります。

クラブが最もエコなクラブを目指すと標榜して以来、複数の既存パートナー企業様が手伝いたいと申し出てくれているだけでなく、どうすればパートナー企業として協業できるか教えてほしいとアプローチしてくれる企業様もあり、クラブのビジョンは総じて好評だと感じています。

他にも、各種照明や大型ビジョン、雨水の再利用など、スタジアム内環境保全の取り組みについても、最もエコなクラブとして何ができるか常に模索していますが、私たちと同じ目標を共有してくださる企業や団体の皆様とお会いする度に勇気づけられる思いです」

Copyright: Xperiology/TheStadiumBusiness.com - reproduced with permission.
元記事 - Easter Road goes cashless to aid return of football

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