アナハイム市長辞任劇に揺れるエンジェルスをロングビーチが再び誘致か
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アナハイムのエンジェル・スタジアム
アナハイムのエンジェル・スタジアム (画像:CrispyCream27/CC BY-SA 4.0/Edited for size)

2022年5月25日にアナハイム市議会が、市が所有するエンジェル・スタジアムの売却を無効としたことを受け、カリフォルニア州南部のロングビーチ市が野球の北米最高峰、メジャーリーグ・ベースボール(MLB)のロサンジェルス・エンジェルスを誘致するためにボールパークを新設する動きが再燃している。

アナハイム市は、エンジェル・スタジアムを3億2,000万米ドル(約407億円)で球団オーナーのアルテ・モレノ氏が経営するSRBマネジメント(SRB Management)社に売却する方向で検討していたが、交渉におけるアナハイム市長のハリー・シドゥ氏の汚職疑惑が浮上し、売却手続きが中断。その後、5月30日にはエンジェルス側も、市議会がスタジアム売却契約を無効とし、合意を破棄したことを全面的に受け入れた。シドゥ市長は5月24日、連邦捜査局(FBI)による汚職調査の対象となったことを理由に辞職している。

裁判所文書は、アナハイム市がエンジェル・スタジアムと周辺の土地の売却についてSRBマネジメントと協議していた裏で、次期市長選での再選を目指していたシドゥ氏が売却交渉に関する重要機密情報をSRBマネジメント社に漏洩し、見返りとして100万米ドル(約1億2,700万円)の寄附を求めたと指摘している。また、3億2,000万米ドルの売却金のうち、現金は1億5,000万米ドル(約191億円)のみで、残りは低価格住宅マンションや公園といった公共施設の整備で補うはずだったが、実際の計画からは住宅マンション整備事業が削除されていたことも明らかになった。

市長による汚職疑惑で揺れるアナハイムの窮状の裏で、再びエンジェルス誘致に動き出したのが州南部のロングビーチ市だ。アナハイム市がエンジェル・スタジアム売却交渉の席に着く前には、エンジェルスがロングビーチに移転し、新ボールパークを本拠地にするという可能性が検討されていた。

Los Angeles Times紙は、ロングビーチ市が次の声明を発表したと報じている。

「2019年2月、ロングビーチ市は、市内のウォーターフロント地区に新ボールパークを整備することを想定した協議をエンジェルスと開始しました。一連の協議は、2019年12月にエンジェルスがアナハイム市によるエンジェル・スタジアム売却交渉に応じた段階で一旦終了しております。

ロングビーチ市は、地域コミュニティおよび沿岸部に恩恵をもたらすダウンタウン・ウォーターフロント地区活性化事業として、以前よりコンベンションセンターに隣接するエレファント・ロット地区の再開発を検討してきました。

一連の協議に関する議事録などの文書はすべて一般公開されており、協議終了後はエンジェルスのとの交渉は一切継続されておりません。ただ、もしエンジェルスが協議の再開を要望する場合は、ロングビーチ市も協議に参加し、方針について市議会の判断を仰ぐことになります」

ロングビーチが当初提示していた新ボールパーク整備案では、コンベンションセンターに隣接するロングビーチ・アリーナの解体が必要となっており、総事業費は9億米ドル(約1,145億円)とされていたが、その後、資金調達のための市債などの債券発行によって発生する利子が加味され、最終的には11億米ドル(約1,400億円)規模となることが示唆されていた。

アナハイム市は2020年6月、エンジェル・スタジアム周辺地域を多目的エリア化する再開発計画を公表。2013~14年、2016年と2度にわたって否決されてきたエンジェル・スタジアム売却が、2022年4月にようやく合意したことで、球団が長期にわたってアナハイム市を本拠地とし、スタジアム周辺も再開発で生まれ変わる未来像が見えた矢先の汚職疑惑に地元は揺れている。

エンジェル・スタジアムは1966年にアナハイム市が建設した市有球場で、エンジェルスは球場の開場以来、同ボールパークを本拠地としてきた。エンジェルスとアナハイム市は、2029年までエンジェル・スタジアムの賃借契約を結んでおり、その後も最長で2038年までの延長が可能だ。

モレノ氏およびSRBマネジメントの広報担当者、マリー・ガーヴィ氏は、シドゥ前市長の辞任を受け、エンジェル・スタジアム売却契約が破棄されたことについて次のように話した。

「スタジアムと周辺の土地の売却に関する合意を無効としたアナハイム市議会の決定を残念に思っております。

過去約10年間にわたり、エンジェル・スタジアムで高品質のファン体験を提供し、アナハイムにおける球団の未来を確かなものにするため、エンジェルスはアナハイム市と共に力を合わせてきました。

市との協議が続く中、多くの誤報や虚偽情報が飛び交ったこともあり、ここで明確に申し上げておきたいのは、私たちは常に市議や市職員の方々と真摯に交渉を続け、その結果、アナハイム市とエンジェルス両社にとって公正かつ有益な売却契約合意に至ったということです。

市議会は全会一致でスタジアム売却契約合意を無効としており、私たちも契約破棄を受け入れることがエンジェルスのファンの皆様、エンジェルス、そして地域コミュニティの皆様にとって最良の選択だと考えております。今後は引き続きエンジェルスのファンの皆様、そして今シーズンのチームの活躍に焦点を当て、最善を尽くしていく所存です」

※金額はすべて2022年4月下旬で換算

Copyright: Xperiology/TheStadiumBusiness.com - reproduced with permission.
元記事 - LA ANGELS AGREE TO CANCEL STADIUM SALE

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