MLBのブルージェイズ、ロジャーズ・センターの改修を発表
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ロジャーズ・センターの改修後の完成予想図
ロジャーズ・センターの改修後の完成予想図 (画像:Toronto Blue Jays)

野球の北米最高峰、メジャーリーグ・ベースボール(MLB)のトロント・ブルージェイズは、本拠地『ロジャーズ・センター』改修プロジェクトの詳細を公表した。

改修デザインの設計は、ブルージェイズが2021年に米フロリダ州ダニーデンに開設した選手育成施設の『プレイヤー・ディベロップメント・コンプレックス(PDC)』に続き、スポーツ建築大手のポピュラス(Populous)社が担当。改修費の3億加ドル(約313億円)は民間資金を投入する。

4万9,000席(野球仕様時)のロジャーズ・センターは、1989年の開場時よりブルージェイズが本拠地として利用しているほか、音楽コンサートや他のイベントも開催されている。また、サッカーのカナディアン・フットボール・リーグ(CFL)のトロント・アルゴノーツ(1989~2015年)や屋内アリーナのエア・カナダ・センター建設中はバスケットボールのNBAのトロント・ラプターズの公式戦を開催していた時期もあるが、今回の改修後は主に野球場として使用されることになる。

新たに開設される社交スペースの完成予想図
新たに開設される社交スペースの完成予想図 (画像:Toronto Blue Jays)

ロジャーズ・センターは建設時は多目的スタジアムとして計画されており、会場から33年間で一度も大規模改修が実施されていなかったが、今回の改修プロジェクトでは、最新のファン体験の提供と世界屈指の選手施設の整備を主眼としており、球団が最重要視する課題解決を最優先としつつも、次世代のファンを見据えた長期の球場維持を目的とした工事は喫緊ではないとしている。

世界中で大規模施設を運営管理するASMグローバル(ASM Global)社の子会社であるアンソニー・ジェームズ・パートナーズ(Anthony James Partners=AJP)社は2022年4月、ロジャーズ・センターにおけるファン、選手、従業員のスタジアム体験向上を目的とした技術アップグレードを実施すると発表し、今季のMLBシーズンに導入したが、それも今回新たに発表された改修プロジェクトに比べると小規模なものだった。

観客席と同じ高さに引き上げられるブルペンの完成予想図
観客席と同じ高さに引き上げられるブルペンの完成予想図 (画像:Toronto Blue Jays)

なお、ブルージェイズは、前述のフロリダ州のPDCの設計に満足しており、今回の改修プロジェクトでも再びポピュラスとタッグを組む運びとなった。改修工事は今後2~3季、MLBのシーズンオフにわたり実施され、外野席下層階の1階と2階、上層階の5階、内野席下層階の1階、フィールド階がそれぞれアップグレードされる。

スタジアム外壁のファサードや天然芝への移行、屋根の改修などは今回のプロジェクトには含まれていない。MLBシーズンに影響を及ぼさないように、次の工期スケジュールで実施される予定だ。

 2022-23年のシーズンオフ(2023年シーズン開幕試合までに竣工予定)
外野席下層階の1階と2階
  • パティオやバーカウンター、観覧エリアを完備した新たな社交スペースの整備
  • ファンと選手の交流を促進するため、ブルペンをフィールド階より高い位置に設置
  • 迫力ある観戦体験を提供するため、外野の壁を刷新し、1階席の最前列をフィールド近くに設置
上層階の5階
  • ライト側およびレフト側に新たな社交スペースを開設
  • 開場以来使用してきた5階席の座席をすべて刷新
フィールド階
  • 選手用ファミリールームの整備
  • 約464.5m2の広さのウェイトリフティングルームの整備
  • 球団スタッフ用ロッカールーム
 2023-2024年のシーズンオフ
  • 内野席下層階の1階の改修
  • フィールド階のプレミアムクラブと社交スペースの開設
  • クラブハウスなどの選手用施設の整備



今回のロジャーズ・センター改修プロジェクトの概要
今回のロジャーズ・センター改修プロジェクトの概要 (画像:Toronto Blue Jays)

トロント・ブルージェイズのマーク・シャピロ球団社長兼最高経営責任者(CEO)は、今回発表されたロジャーズ・センターの大規模改修について次のように話した。

「我々は、今後何年にもわたり優勝を目指せる持続可能な組織の構築に全力を尽くしており、今回のロジャーズ・センター改修は、ブルージェイズを生涯応援してくださっている古参のファンの方だけでなく、新たにファンになってくれた方にとっても、誇りに思えるボールパークをお届けするものです。

今回の大規模改修プロジェクトは、エドワード・ロジャーズ氏、トニー・スタフィエリ氏、そして球団のオーナーであるロジャーズ・コミュニケーションズが、MLBで優勝できる最高のチームを編成し、ファンや選手に最高のボールパーク体験を提供できるインフラを整備するために、惜しみない支援を続けてくれているからこそ実現したものです」

(動画:Toronto Blue Jays on Twitter)

また、ポピュラスのプリンシパルを務めるパット・タンジェン上席設計士は、次のように話した。

「今回のロジャーズ・センターの革新的な改修は、野球ファンの皆様のボールパーク体験を大きく進化させるものです。

本プロジェクトはロジャーズ・センターという素晴らしいスタジアムに対し、スマートかつ効率的で、有意義な改修を実施するもので、ボールパークのどこに座っていようと、ファンの皆様に迫力あるアクション満載の観戦体験を提供していきたく思っております」

5階からの眺めのイメージ
5階からの眺めのイメージ (画像:Toronto Blue Jays)

ブルージェイズは2022年3月、新ボールパークへの移転の話が進む中で、ロジャーズ・センター改修の承認を得た。シャピロ社長は当時、改修で施設を改善することで、新ボールパーク案の是非を評価する時間を稼ぐことができると話していた。

新ボールパークへの移転案自体は以前から検討されていたとされるが、2020年11月に球団を所有するロジャーズ・コミュニケーションズが移転案を凍結し、現在のロジャーズ・センターの土地に新球場を建設する建て替え案を検討していると報じられ、状況が変わっていた。

改修プロジェクト発表にあたり、シャピロ社長は、トロント市内の別の場所に新ボールパークを建設して移転する案や、現在のロジャーズ・センターを建て替える案といった、球団にとっての長期的な計画が今回の改修によって影響を受けるものではないとしたうえで、次のように話した。

「正確な年数をお伝えできるかわかりませんが、今回の改修は今後10~12年を見据えた中期的なソリューションといえます。その後、どこかの段階で、市内の別のロケーションに新ボールパークを建設するか、現在の球場を完全に建て替える大規模な改築のいずれかが必要になることは変わりありません」

※金額はすべて2022年8月中旬で換算

Copyright: Xperiology/TheStadiumBusiness.com - reproduced with permission.
元記事 - BLUE JAYS SEEK TO REIMAGINE ROGERS CENTRE AS BASEBALL-FOCUSED VENUE

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