イングランドのサッカー、プレミアリーグ(1部)のエヴァートンFCは、新スタジアムへの移転後に計画している現在の本拠地『グディソン・パーク』の再開発事業の概要開発申請書をリヴァプール市議会に提出した。
エヴァートンは、収容人数52,888人の新スタジアムを港湾部のブラムリー・ムーア・ドックに建設する予定で、新スタジアムへの移転後にグディソン・パークを解体し、跡地には地域コミュニティのための施設を整備する『グディソン・パーク・レガシー・プロジェクト』計画を進めている。
グディソン・パーク・レガシー・プロジェクトは、クラブの慈善活動部門のエヴァートン・イン・ザ・コミュニティ(Everton in the Community)がこれまで実施してきたCSR活動をさらに幅広く拡充するため、スタジアム跡地やその周辺に質の高い低価格集合住宅や多目的医療センター、介護施設、学校、地域住民が運営するコミュニティストア、若者の起業を支援するサポートセンター、オフィスやビジネスセンター、緑あふれる公園などを整備していく事業だ。
特に公園については、ホームスタジアムの思い出を遺すためにピッチのセンターサークルを中心に造園する案も出ており、エヴァートンは地域コミュニティにとって大事な場所を創り出すことで、1892年から本拠地として使用してきたグディソン・パークの記憶を紡いでいこうと考えている。
クラブは、グディソン・パーク・レガシー・プロジェクトとブラムリー・ムーア・ドックの新スタジアム建設計画を『ザ・ピープルズ・プロジェクト』を構成する2大事業と位置付けており、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の打撃を受けたリヴァプール市の地域経済復興に欠かせない多くの恩恵をもたらすと話した。
エヴァートンによると、両事業は市の北部の港湾部の再開発を促進し、地域経済に10億ポンド(約1,330億円)の収入を呼び込むことが期待されているほか、最大1万5000に及ぶ雇用や2億3700万ポンド(約315億円)相当の社会的価値を生み出すとし、年間140万人がリヴァプール市を訪れるようになるとしている。
クラブは2019年12月に新スタジアム計画の建築開発許可申請を提出済みで、両事業の申請については2020年夏には市議会で判断が下される予定だ。
エヴァートンFCの最高経営責任者(CEO)のデニーズ・バレット=バクセンデイル教授は、グディソン・パーク・レガシー・プロジェクトについて次のように話した。
「エヴァートンFCは地域に根差したサッカークラブで、グディソン・パーク・レガシー・プロジェクトはクラブの夢、願い、そして地域コミュニティ発展への決意を象徴する事業です。
地域コミュニティの皆様がプロジェクトを応援してくださっていること、そしてクラブが今後長期にわたって地元住民の皆様の役に立てる施設を遺そうとしていることを理解してくださっていることを嬉しく思っています。
グディソン・パーク・レガシー・プロジェクトは、ブラムリー・ムーア・ドックの新スタジアム建設計画と同じくらい野心的な大型プロジェクトです。クラブとエヴァートン・イン・ザ・コミュニティは、地域に対して過去5年間で1000万ポンド(約13.3億円)の投資を行なってきましたが、本プロジェクトはクラブと街の関係性をさらに発展させるものになるでしょう」
グディソン・パーク・レガシー・プロジェクトとブラムリー・ムーア・ドックの新スタジアム建設計画について、クラブは不動産管理会社のCBRE英国支社の開発&建設チームの助言を受けている。なお、グディソン・パーク・レガシー・プロジェクトの設計は、リヴァプール市内に本社を置くコンディ・ロフトハウス・アーキテクツ(Condy Lofthouse Architects)社が担当する。
また、エヴァートンFCのスタジアム建設ダイレクター、コリン・チョン氏は次のように話した。
「クラブは今後、建設工事の起工に向けて、目的に合った施設になるか、そして利用者の皆様のニーズを満たし、喜んでいただける施設になるか、地域コミュニティの皆様と共に詳細を詰めていきたいと考えています。
今後の流れとしては、敷地内に整備される全ての施設のデザインや設計が最終決定した後に、リヴァプール市議会に建築開発許可の『留保事項(Reserved Matters)』と呼ばれる詳細情報を提出します。なお、グディソン・パークの再開発は、クラブがブラムリー・ムーア・ドックの新スタジアムに移転した後に開始されます」
エヴァートンは2020年2月、新スタジアムの建設業者にレイン・オルーク(Laing O'Rourke)社を選定。港湾の歴史的な海運会社ビルや倉庫にヒントを得た象徴的なデザインや設計は、建築設計事務所のマイス(Meis)社が担当している。
新スタジアムの躯体には、グディソン・パークを設計した著名なスコットランド人スタジアム建築家の故アーチボールド・リーチ氏の作風を彷彿させる格子模様のレンガ風ファサードが採用され、屋根には鉄骨とガラスが使用される。また、一体感のある応援と迫力ある雰囲気の醸成を実現するために、ホームゴール裏には13,000人を収容するワンスロープの1層スタンドが建設されることも特徴的だ。
エヴァートンは2020年1月に、ロシア人大富豪のアリシェル・ウスマノフ氏が新スタジアムのネーミングライツ(命名権)スポンサーとして名乗りを上げ、3000万ポンド(約39.9億円)のパートナーシップ契約に合意したと発表した。ウスマノフ氏の持株会社であるUSMホールディングス(USM Holdings)社は、2017年1月にクラブの練習場であるフィンチ・ファームの命名権を取得している。
※金額はすべて2020年5月下旬で換算
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元記事 - EVERTON OUTLINES FUTURE VISION FOR GOODISON PARK
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