編集者コラム第21回 ~ 駅から10歩の新スタジアム みんなの鳩サブレースタジアムのこけら落とし 〜
編集者コラム第21回 ~ 駅から10歩の新スタジアム みんなの鳩サブレースタジアムのこけら落とし 〜

編集者コラム第21回 ~ 駅から10歩の新スタジアム みんなの鳩サブレースタジアムのこけら落とし 〜

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編集者コラム第21回 ~ 駅から10歩の新スタジアム みんなの鳩サブレースタジアムのこけら落とし 〜

こんにちは。編集部の筑紫です。

2021年10月17日、鎌倉市梶原に新たなスタジアムが誕生しました。鎌倉からJリーグを目指す鎌倉インターナショナルFC(鎌倉インテル)の本拠地『みんなの鳩サブレースタジアム』です。記念すべきこけら落としを取材しました。


(取材と文・筑紫直樹 取材と写真・有川久志)

(写真:鎌倉インターナショナルFC)
(写真:鎌倉インターナショナルFC)

鎌倉の地からJリーグを目指すクラブがある ― その話を初めて知ったのは2018年のことでした。その後、クラブの方針を記した書籍やクラウドファンディングの取り組みを通じ、人工芝のフィールドと仮設スタンドで構成される本拠地スタジアムの整備に動いていることを知りました。

今回、そのスタジアムがみんなの鳩サブレースタジアムという呼称で開場すると聞き、子供のころにお土産でもらった鳩サブレーが大好きだった私の心は少年の日の懐かしさでいっぱいになったと同時に、本当に鎌倉の地にもスタジアムが生まれるんだなという実感が湧いてきました。

みんなの鳩サブレースタジアムの最寄り駅は、湘南モノレールの湘南深沢駅ということで、まずはモノレール始発駅のJR大船駅へ。改札口には鎌倉インテルのユニフォームやスタジアムのポスターが飾っており、早速こけら落としが楽しみになってきます。

大船駅の改札口にはユニフォームやポスターが
大船駅の改札口にはユニフォームやポスターが (写真 :Naoki Tsukushi/THE STADIUM HUB)

大船駅を出発すると、6分ほどで車窓から新スタジアムが見えてきます。湘南深沢駅を降りて何と10歩ほどでスタジアムへの入口があります。この日の天気は生憎の雨。寒波の流入で気温も下がりましたが、朝10時30分から開始されるオープニング式典のために人が集まっていました。

駅から10歩でスタジアム入口という駅チカスタ
駅から10歩でスタジアム入口という駅チカスタ (写真 :Naoki Tsukushi/THE STADIUM HUB)

取材した時点では、クラブの主戦場である神奈川県サッカーリーグの試合は無観客開催となっていましたが、この日はクラブ主催の特別イベントということで鎌倉ビールやフードトラック、それに鎌倉の地域通貨でグッズが当たるガチャが出店。

クラブとコラボした鎌倉ビールも飲める
クラブとコラボした鎌倉ビールも飲める (写真 :Naoki Tsukushi/THE STADIUM HUB)
鎌倉の地域通貨で遊べるガチャ
鎌倉の地域通貨で遊べるガチャ (写真 :Naoki Tsukushi/THE STADIUM HUB)

さらに奥に見えたグランピングテントらしき施設はなんとクラブオフィスと更衣室として使用されるとのこと。シャワー室も隣接しており、選手だけでなく一般の利用者にとっても使いやすい施設になりそうです。

ユニークな更衣室(左)とクラブオフィス
ユニークな更衣室(左)とクラブオフィス (写真 :Hisashi Arikawa/THE STADIUM HUB)

完成したばかりのピッチは、FIFAライセンス企業とトップアスリートとの共同研究・製品開発により柔らかさ、クッション性、天然芝に近いフィーリング、水はけのよさを実現したエコロジーターフを採用。素材に重金属を一切含まず、パイルと基布層の接合部には接着剤を使用しておらず、さらに通気性のいいメッシュを使用しているので、水はけのよさも抜群とのこと。クラブは、この世界初のリサイクル可能な人工芝は、子どもたちの健康だけでなく、環境に優しいサステナビリティを誇るものだとしています。

式典では、シンガポールで事業経営に従事し、鎌倉インテルを立ち上げた四方オーナーがスポーツマンシップ宣言の中で、「みんなで考え、みんなで作るのがグッドゲーム」と話し、地域と一体となってクラブが活動することの重要性を訴えました。奇しくもこの朝、Jリーグがホームタウンに関する規制を緩和する報道があり、多くのJリーグファンが議論を交わしていただけに四方氏の宣言は一層力強く聞こえました。

スポーツマンシップ宣言する四方代表
スポーツマンシップ宣言する四方代表 (写真 :Kazuki Okamoto(ONELIFE))

宣言後、早稲田大学の学生たちが雨風に吹かれながらも、これまた力強いよさこいを披露し、会場を盛り上げます。「これだけの悪天候だとむしろ確実に記憶に残る」と、かえって好意的に受け取っていた弊サイトの編集長でしたが、横殴り、いや正面衝突型の雨風に煽られ、手がかじかんで撮影に苦しんでいます。しかし、そこはさすがのiPhone 13 Proということで解像度だけでなく手ブレ補正も半端なかったようです。

観戦スタンドもある
観戦スタンドもある (写真 :Hisashi Arikawa/THE STADIUM HUB)

11時には、いよいよこの日のメインイベントとなる杮落としの試合がキックオフ。鎌倉インテルにとって記念すべきこの一戦の相手は、千葉県佐倉市を本拠地とし、イタリアの名門ACミランの直営チーム『ACミランさくら』。そう、なんとこの鎌倉の地で伝統のデルビー・ディ・ミラノを彷彿させる試合が実現したのです。

杮落としの一戦に臨む鎌倉インテルのイレブン
杮落としの一戦に臨む鎌倉インテルのイレブン (写真 :Hisashi Arikawa/THE STADIUM HUB)
白熱のデルビー・ディ・ミラノ in 鎌倉
白熱のデルビー・ディ・ミラノ in 鎌倉 (写真 :Kazuki Okamoto(ONELIFE))

ネーミングライツでスタジアムの名付け親になった鳩サブレーの豊島屋の久保田陽彦代表取締役社長は、新たに生まれた鎌倉の交流拠点について次のように話しました。

「この度ご縁があって、鎌倉インターナショナルFCのホームグラウンドのネーミングライツパートナーとなりました。

『みんなの鳩サブレースタジアム』は、スポーツというキーワードを使い、鎌倉市民だけでなく、鎌倉を愛するみなさまと共に楽しみ、学べる、そのような場所になれればと思っています。

コロナ禍の今、先行き不透明感がある中、どのようにコミュニケーションをとるのが正解か分からない状況ですが、みなさまと明るい未来を語り合える、そんなことが出来ればと思います。

みんなが楽しめる、そして、みんなが笑顔になれる、そんなお手伝いが少しでも出来れば幸いです」

地域みんなの場所に
地域みんなの場所に (写真 :Hisashi Arikawa/THE STADIUM HUB)

また、今後多くの観戦客をスタジアムに運んでくれる湘南モノレールの尾渡英生代表取締役社長は、新スタジアムの今後の展望について次のように話しました。

「鳩スタの最寄り駅は湘南深沢駅。大船駅からモノレールで5分。駅を出て数歩ほど歩けば入口です。大船駅と湘南江の島駅を14分で結ぶ湘南モノレールは、日本でも珍しいぶら下がり式でジェットコースター気分を味わえます。

また、湘南モノレール1日フリーきっぷには、飲食店や施設の特典が満載の大変お得なきっぷです。鳩スタでサッカーを楽しんだ後は、江の島を遊び尽くし、大船を食べ尽くそう!」

駅名板にもクラブエンブレムとスタロゴが
駅名板にもクラブエンブレムとスタロゴが (写真 :Naoki Tsukushi/THE STADIUM HUB)

そして、鎌倉インターナショナルFCの四方オーナーは、この新スタジアムの今後の展望について次のように話してくれました。

「鎌倉という国内外でも有名な街にも関わらず、いままで芝生のサッカー場がなかったのを残念に感じていましたが、こうやって場所ができることで、子どもからおとなまで、老若男女がサッカーのみならず、楽しくスポーツに触れることができ、本当に良かったと思います。これから街の誇りになっていくのではないかと思っています。

このスタジアムがHUBになり、様々なバックグラウンドを持つ多様な人たちがつながっていき、新しい価値を生み出す装置になると思います。地域と世界、年齢や性差、多くのボーダー(境界線)を飛び越えて、みんなで自分たちが主語となって、それぞれが成長・発展をしていくキッカケになると思います。

まだまだ至らない点はたくさんありますが、まずは「ハード」としての場所ができました。これを「ソフト」として、どんな素晴らしい環境にするかは、私たち自身、地域のみんなで創り上げていくものだと思っています。ぜひ、みんなで一緒に次世代にも誇れる新しい未来を作っていきましょう!」

古都・鎌倉の地に生まれたみんなの鳩サブレースタジアム。いずれ実質4部の日本サッカーリーグ(JFL)への参入が見えてきたときが、同スタジアムにとって最初の大きな変化の季節となるでしょう。それまで、一歩ずつ地域みんなの力で成長し、ゴールを目指していくであろうその姿を私たちも追い続けていきたいと思います。

(写真:Hisashi Arikawa/THE STADIUM HUB)
(写真:Hisashi Arikawa/THE STADIUM HUB)

<了>

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