BDPがパターンを買収-スポーツ建築市場を揺るがす有力プレーヤーの登場となるか
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カタールのアフメド・ビン=アリー・スタジアム
カタールのアフメド・ビン=アリー・スタジアム (画像:QatarSupremeCommitteeforDelivery&Legacy)

世界的な建築設計会社のBDPが、スタジアム設計を専門とするパターン(Pattern)社を買収した。スポーツ施設建設業界での存在感をさらに大きなものにしたいと考えていたBDPとスポーツ以外の建築領域への進出を狙っていたパターンの思惑が合致したかたちだ。

国際エンジニアリング・コンサルタントのアラップ(Arup)の元ダイレクター、ディペシュ・パテル氏が2009年に設立したパターンは、イングランドのサッカー、プレミアリーグ(1部)のエヴァートンFCがブラムリー・ムーア・ドックに建設する予定の新スタジアム(収容人数52,888人)など、世界が注目する大規模スポーツ&エンターテインメント施設を設計した実績を誇る。

エヴァートンは2021年7月1日、総工費£500m(約763億円)の新スタジアム建設工事が2021年7月26日に着工することを発表していた。また、2022年FIFAワールドカップ・カタール大会の開催会場であるエデュケーション・シティ・スタジアムと『アル・ラッヤン・スタジアム』の愛称で知られるアフメド・ビン=アリー・スタジアムもパターンが設計した最新スタジアムだ。

BDPはこれまでにウィンブルドン・オールイングランド・ローン・テニス・クラブやエイントリー競馬場、そして最近建築開発許可が交付されたばかりのエミレーツ・オールド・トラッフォード(ランカシャー・カウンティ・クリケット・クラブのクリケット場)のレッド・ローズ・グランドスタンド改修事業など、世界的に有名な施設の設計を担当しており、パターンの豊富な実績が作品ポートフォリオに加わることは大きなプラスになるとしている。

パターンの建築士、技術士、BIMデザイナー、サポートスタッフは、BDPのプリンシパルに就任するパテル氏の陣頭指揮の下で業務を継続する。なお、BDPは2019年にもカナダ・トロント市の設計事務所のクオドラングル(Quadrangle)を買収している。

BDPのジョン・マクマナス氏
BDPのジョン・マクマナス氏 (画像:BDP)

パターンの買収を主導したBDPのジョン・マクマナス最高経営責任者(CEO)は、次のように話した。

「UEFA EURO 2020で世界中の目が欧州最高のスタジアムに釘付けになっているこのタイミングで、パターンとの新たなパートナーシップを発表することができ、非常に嬉しく思っております。

パターンは、世界最高レベルの大型スポーツスタジアム設計において豊富な実績を持つ素晴らしい建築設計事務所で、設立60周年の今年、当社がパターンを迎え入れることができるのは、素晴らしいニュースです。

BDPの世界的な評価と学際的アプローチがパターンのスタジアム&アリーナ設計の専門性と組み合わさることで、私たちは世界のスポーツ産業にとって重要なプレーヤーになったと自負しており、今後は世界でも最も特別な体験ができる最高のスポーツ観戦施設を生み出していきたいと考えております」

ディペシュ・パテル氏
ディペシュ・パテル氏 (画像:BDP.Pattern)

また、パテル氏は次のように話した。

「BDPとの合流は、パターンの歴史の新たな1ページが始まったことを意味しており、今後の展開を楽しみにしております。私たちの設計は徹底したリサーチ、高度な技術に裏付けされる構造設計、そしてシンプルな施工可能性を基本方針としてきました。幸運なことにこれまで、このアプローチに従って中東やペルー、カナダ、中国といった地域の最高のスタジアムを設計することができ、また、イングランドのプレミアリーグの最新のスタジアムの設計に参加できることも決まったばかりです。

世界中にオフィスを持つBDPの一部になったことで、パターンの設計チームは新たな建築市場に参入し、より濃密な業務内容を管理できるようになります。また、BDPとパターンのコラボレーションにより、 私たちのスタッフはプロフェッショナルとして成長できるだけでなく、他の業界で働くスキルを磨くこともできるようになります。私たちにとって輝かしい未来が待っており、今後の展開を心から楽しみにしております」

2021年7月1日には、BDPとパターンの合流の他にも、世界的な建築設計プランニング大手のパーキンス・イーストマン(Perkins Eastman)社が多数の建築領域で活躍する設計事務所のマイス(MEIS)社と合流したことが発表され、スポーツ建築業界を揺るがした。

1,000人以上の従業員を抱え、世界5大陸60か国で医療施設や高齢者施設、大規模多目的施設、高等教育施設、ホスピタリティ施設を設計してきたパーキンス・イーストマンだが、マイスとの合流により、今後はプロスポーツや大学スポーツのスタジアムやアリーナの設計プロジェクトの受注増加が予測される。

なお、エヴァートンの新スタジアムは当初、マイスが設計を担当していたが、パターンが同プロジェクトの技術設計を担当すると報じられた直後の2020年6月、マイスがすでに関与していないことを同社の創業者であるダン・マイス氏が認めていた。

※金額はすべて2021年7月上旬で換算

Copyright: Xperiology/TheStadiumBusiness.com - reproduced with permission.
元記事 - BDP ACQUIRES PATTERN TO CREATE 'SIGNIFICANT PLAYER' IN SPORTS MARKET

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