スポーツ&エンターテインメント業界がコロナ後の再開を目指す中、ドイツのERP(統合基幹業務システム)大手のSAP社は、同社が提供する『SAPカスタマー・チェックアウト(Customer Checkout)』と『SAPイベント・チケッティング(Event Ticketing)』の2大プラットフォームを併用することで、スタジアムやアリーナといった大型集客施設におけるファン体験向上は可能になるとの考えを示した。
SAPカスタマー・チェックアウトは販売時点情報管理(POS)技術を提供し、SAPイベント・チケッティングはスポーツの試合やイベントのチケット販売から発券・認証・入場までの全業務プロセスの管理・統制をサポートするプラットフォームだ。
SAPは現在、スポーツクラブ、スタジアムやアリーナなどの大規模施設、そしてブランド企業に対し、SAPイベント・チケッティングのチケット販売機能をSAPカスタマー・チェックアウトの商品販売プロセス機能に統合するサービスを提供している。両機能の統合により、販売時点の購買スピードは速くなり、また、両システムが共通の買い物かごで連携するメリットもある。なお、クラブや施設が新たにシステムを導入する場合は、両機能が既に統合された状態で提供される。
SAPのインテリジェント・エンタープライズ・グループ(Intelligent Enterprise Group)シニア・バイスプレジデント兼スポーツ&エンターテインメント事業開発本部長のファディ・ナオウム氏は、同社が現在、戦略顧客の施設にシステムを新規導入する方向で緊密に連携しているとしたうえで、TheStadiumBusiness.comに対して次のように話した。
「SAPでは究極のファン体験を可能にするため、スタジアム内の業務プロセスの改善や最適化に繋がる新ソリューションを常に模索しています。例えば、スタジアムでチケットや飲食商品を購入する列に並んだ際の待ち時間などは、まだまだ改善の余地がある部分といえるでしょう。
SAPカスタマー・チェックアウトとSAPイベント・チケッティングの統合により、チケット販売、物品販売、飲食などのケータリング商品販売の一元管理が可能になりました。また、両プラットフォームで共通の買い物かごを使用することで、サービス提供の速度も向上しました。
顧客は列に一度並び、チケットや物品などを一括購入するだけなので、スタジアム内の『購買プロセス』が簡素化されたわけです」
スタジアム、アリーナなどの大型集客施設やスポーツクラブは現在、コロナ後の興行再開時における安全な集客方法を模索しているが、ナオウム氏はSAPの技術による業務のデジタル化が進めば、ニューノーマルでのイベント興業形態への移行や適応の難易度は緩和されるとしたうえで、次のように話した。
「私はSAPのスポーツ&エンターテインメント事業担当として顧客の皆様と緊密に協議しており、イベント興業の現場の難しさについては様々なお話を聞いています。マッチデーやイベントデーにおけるチケット収入、物品販売、ホスピタリティ収入といった通常の収入減が完全に断たれてしまった今の状況は、スポーツクラブや大型集客施設の運営にとっては非常に苦しいものだと認識しています。
また、スタジアムでの興行が再開しても、イベントの運営には多くの難題が絡んできます。ただ、だからこそ正しい技術を導入して運営に臨むということが、安全性の確保を同じくらい重要になってくると考えています。前述のチケット発券・販売やケータリング商品販売の業務プロセスの話に戻りますが、スポーツクラブや大型集客施設が運営するイベントに関しては、ファンやカスタマーはチケットをオンライン購入できます。
チケット販売店などに多くの人が集まり、密な状態で列に並び、購入時も販売員と近距離で会話することを考えると、チケットのオンライン販売・購入は、ウイルスの感染拡大を防ぐ方法として簡単かつ安全な選択肢であり、今後のニューノーマルとして拡充していく可能性は高いと思っています。
他にも、飲食売店やグッズショップではモバイル決済、コンタクトレス(非接触型)決済、そしてキャッシュレス決済の選択肢が増えるかもしれません。なお、SAPカスタマー・チェックアウトには、これらのオプションは初期設定として含まれています。
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、私たちはデジタル化の重要性を再認識しました。SAPのスポーツ&エンターテインメント製品群は、危機下における最適な興行を実現するための正しい技術をお客様に提供します」
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元記事 - SAP TARGETS TECH INTEGRATION TO ENHANCE FAN EXPERIENCE
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