ロンドン・スタジアムの赤字増大、五輪レガシーの難しさを浮き彫りに
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ロンドン・スタジアム
ロンドン・スタジアム (画像:LondonStadium)

ロンドン・スタジアムを所有・運営管理するE20社は、同スタジアムの赤字額が前年と比べて400万ポンド(約5億7750万円)増え、2708.2万ポンド(39億900万円)の最終赤字となったことを報告した。

これはE20社が企業登記局に提出した2019年3月31日までの年次会計報告書の中で明らかになったもので、2019年度のE20グループ全体の赤字が2827.3万ポンド(約40億8000万円)となった中で、同社単体の赤字額が2018年の2275.5万ポンド(約32億8400万円)から、2708.2万ポンド(39億900万円)に膨れ上がったことが大きな要因となったといえるだろう。

E20はロンドンレガシー開発公社(London Legacy Development Corporation=LLDC)の完全子会社で、ロンドン・スタジアムの運営会社であるロンドン・スタジアム185リミテッド(London Stadium 185 Limited=LS185)社の全株式資本を、2019年1月21日にヴィンチ・スタジアム(Vinci Stadium)社から買い取ることで、同スタジアムの運営管理権を手に入れていた。

LS185の買収後、E20はスタジアムの座席数やコンセッション契約の内容など、LS185とイングランドのサッカー、プレミアリーグ(1部)のウェストハム・ユナイテッドFCの間の法廷闘争を解決するなど、スタジアムの主要テナントである同クラブとの関係改善に努めた。

E20によると、2018~2019年の会計年度内に発生したスタジアム改修費や修繕費は260万ポンド(約3億7500万円)で、売上は570万ポンド(約8億2200万円)。売上のうちの540万ポンド(約7億8000万円)はLS185や他のテナントによるものだった。

また、総支出のうちの1730万ポンド(約24億9500万円)は、LS185のスタジアム運営管理費や、サッカー興行と陸上使用の間で仕様変更する際の可動式座席の稼働費として支払われたとしている。

スタジアム運営管理のコストについては、E20が年間2000万ポンド(約28億8500万円)を負担することになると昨年8月に報道されていたが、今回の会計報告書の公表により、サッカーのオフシーズンの仕様変更だけで600万ポンド(8億6500万円)のコストが発生したことが明らかになった。

ロンドン・スタジアムは2012年のロンドン五輪・パラリンピックのメイン会場として整備された多目的スタジアムだが、現在は主にウェストハムの本拠地として使用されている。サッカー以外にも、音楽コンサートや様々なスポーツ興行が行われており、2019年夏にはミューズ(Muse)のコンサート公演が開催されたほか、野球の北米最高峰、メジャーリーグ・ベースボール(MLB)の公式戦2試合や陸上のアニバーサリー・ゲームズも開催された。

なお、ウェストハムは昨年10月、スタジアム内の雰囲気を改善するため、2020-21シーズン開幕までにロンドン・スタジアムの両ゴール裏に該当するボビー・ムーア・スタンドとサー・トレバー・ブルッキング・スタンドを改修する計画を発表した。改修後、両スタンドの低層階はピッチのゴールラインに並行するよう、今よりも直線に近い形状になるという。

五輪の閉幕後、ロンドン・スタジアムは主にサッカーと陸上の会場へと仕様変更されたが、観客席とピッチの距離が遠いことから、マッチデー体験を損ねているという批判が後を絶たない。こういった声を受け、ウェストハムは両ゴール裏を伝統的なサッカースタジアムと同じように改修することが重要と考えている。

ただ、ロンドン・スタジアムのネーミングライツ(命名権)スポンサー探しは、2019年9月にウェストハムのカレン・ブレイディ副会長がLLDCの役員会に入った後も難航しており、2020年2月21日時点でも見つかっていない。

※金額はすべて2020年2月下旬で換算

Copyright: Xperiology/TheStadiumBusiness.com - reproduced with permission.
元記事 - LOSSES INCREASE FOR LONDON STADIUM

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