南アフリカの複数のメディアが世界でも最も歴史的なラグビー場のひとつとして知られるケープタウンのニューランズ・スタジアムが解体され、跡地には住宅マンションや商業施設が建つと報じている。
2019年10月上旬にニュース配信サイトのsport24の第一報を受け、ニューランズ・スタジアムを所有するウェスタン・プロヴィンス・ラグビー・フットボール・ユニオン(WPRFU)が、2021年以降の同スタジアムの開発権を譲渡する内容で、金融サービス・資産管理大手のインベステック(Investec)社と合意していたことが明らかになった。
Sport24によると、インベステックは1億1000万南アフリカランド(約7.9億円)をWPRFUに支払うことで、99年間におよぶニューランズ・スタジアムの賃借権取得に合意済みだ。この契約金のうち、5200万ランド(約3.7億円)は、ステレンボッシュ市に拠点を置くレムグロ(Remgro)社への返済に支払われる。レムグロは、2016年に破産間際だったWPRFUを救済するために融資を実施した投資持株会社だ。残りの5800万ランド(約4.2億円)は、WPRFUの活動原資として使われる。
インベステックはニューランズ・スタジアムを解体後、跡地を住宅マンションや商業施設に再開発し、WPRFUは再開発事業が生み出す利益の5%、そして住宅マンションの中古販売益の3.5%を受け取る仕組みなっているという。ただし、再開発事業の実施にはケープタウン市の許可が必要となる。
収容人数52,000人のニューランズ・スタジアムは1888年に開場し、1890年にはラグビーの公式戦を初めて開催した南アフリカ最古のラグビー場。現在は、南半球最高峰のクラブ大会であるスーパー・ラグビー(Super Rugby)のストーマーズと地元チームのウェスタン・プロヴィンスが本拠地として利用するほか、南アフリカ代表の公式戦も開催されている。
インベステックのニューランズ再開発事業が許可された場合、今後、同市で開催されるラグビーの試合会場は、主に収容人数55,000人のケープタウン・スタジアムが使用されることになる。ケープタウン・スタジアムは、2010年に南アフリカで開催されたFIFAワールドカップの会場として整備され、ケープタウン市が所有しているが、大会閉幕後は利用頻度が少ない『白い巨象』化していた。
だが、2019年11月にケープタウン市議会が市とケープタウン・スタジアム、ウェスタン・プロヴィンスの三者合意を承認したことで、2021年2月1日付で同スタジアムがWPRFUの本拠地となることが決定。契約期間は最長で99年間におよぶ。
また、三者は「互恵的な利益折半モデル」についても合意しており、ウェスタン・プロヴィンスはホーム戦全試合をケープタウン・スタジアムで開催する優先権を得ている。スタジアムの修繕や維持管理、運営コストの負担については市が責任を負うが、ケープタウン・スタジアムはあくまでも多目的スタジアムであるため、ラグビー以外のスポーツやコンサート等のイベントも開催が可能だ。なお、三者合意により、ケープタウン・スタジアム内には追加でVIPスイートが整備される。
ウェスタン・プロヴィンス・ラグビー・グループのポール・ザックス最高経営責任者(CEO)は、三者合意について次のように話した。
「今回の三者合意は、3年間におよぶ協議の積み重ねの集大成ともいえます。ただ、2021年から実際にケープタウン・スタジアムで試合を開催していくためには、主要テナント契約の締結など、まだまだやらなければならないことが山積しています」
※金額はすべて2019年11月上旬で換算
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元記事 - NEWLANDS FACING UNCERTAIN FUTURE AMID INVESTEC REPORTS
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