イングランドのサッカー、プレミアリーグ(1部)のウルヴァーハンプトン・ワンダラーズFC(ウルブス)は、本拠地のモリニューに新たにセンサリールームを開設した。人混みや大歓声といったスポーツ観戦環境下において、感覚過敏の症状に苦しむサポーターたちにも試合観戦を楽しんでもらう目的で整備された。
センサリールームは、モリニューのスティーブ・ブル・スタンドに整備され、2019年9月14日のチェルシー戦で初めて運用。開設セレモニーでは、ウルブスの歴代最多ゴールを決めたスティーブ・ブル氏がお披露目をした。同クラブでは、スタジアムを今まで以上にインクルーシブでバリアフリーな場所にするための改修事業を実施しており、センサリールームもその一環で整備された。
利用者が落ち着きを取り戻すためのグッズや仕掛け、ゲームなどが設置されており、ウルブスのサポーターだけでなく、アウェーチームのサポーターでも利用可能だ。
2歳の息子のジャクソン君がセンサリールームを利用したというアデル・スパイサーさんは、次のように話した。
「スタンドで観戦していると、ジャクソンには耐えられなくなってしまうことがあり、そんな時は落ち着かせなくてはいけません。全試合でそのようなことになるわけではありませんが、大歓声で音量が高すぎると、ジャクソンは落ち着かなくなります。
センサリールームが開設したので、これからは必要に応じて施設を利用すればよくなり、ジャクソンにとっては嬉しいニュースです。チェルシー戦では、試合を最初から最後まで窓を通して観戦し、落ち着かなくなったら設備やおもちゃで遊んでいました。彼にとってはまさに完璧な観戦環境なのです」
ウルブスのバリアフリー・オフィサー、ロウラ・ライト氏は、センサリールームについて次のように話した。
「センサリールームは、間隔過敏に苦しむ人にとって、快適に観戦できる場所を選べるという意味で、非常に大切な施設です。
開設直後から利用を希望していたご家族の方もおり、大きなインパクトがあることを感じています。そのご家族には小さな男の子がいらっしゃって、これまではスタンドでの観戦に耐えられなくて、ハーフタイムでスタジアムを後にしていたそうです。9月14日のチェルシー戦では、センサリールームでの観戦で初めて家族で試合を最初から最後まで観戦できたということで、あらためてセンサリールームの重要性を思い知らされました」
ウルブスはセンサリールーム以外にも、モリニューのホームゴール裏のサー・ジャック・ヘイワード・スタンドの車いす席を増設し、視覚障害者向けのオーディオコメンタリーサービスも開始した。
また、筋ジストロフィーなどに苦しむ車いす利用者のための高さ調節可能なベンチ、トイレ・シャワー用リフト、車いす利用者と介助者2名が動ける空間、部屋の中央部に配置したトイレ、プライバシー保護用スクリーン、滑り止め加工された床などを完備した「チェンジング・プレイス(Changing Places)」認定の常設トイレ・シャワー施設も整備された。
8月の2019-20シーズン開幕時点で、プレミアリーグの20チーム中15チームが本拠地スタジアムにチェンジング・プレイス認定の常設トイレ・シャワー施設を整備済みで、ウルブズは16番目のクラブとなった。なお、イングランドで最も多くチェンジング・プレイス認定のトイレ・シャワー施設を設置しているのは、2019年4月に開場したトッテナム・ホットスパーFCの新スタジアムで、3ヶ所の常設施設が利用可能だ。
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元記事 - WOLVES DEBUT SENSORY ROOM AT MOLINEUX
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