オーストラリア、メルボルンのマーベル・スタジアムは、北米プロバスケットボールリーグ(NBA)の現役スター選手であるジョー・イングリス氏とネットボールの元オーストラリア代表のレネー・イングリス氏の夫妻との共同プロジェクトで、メルボルン初となるセンサリールームを開設した。
マーベル・スタジアムで2019年8月下旬に開催されたバスケットボールのオーストラリアvsアメリカ戦に併せて公開されたこのセンサリールームは、NBA選手会(National Basketball Players' Association=NPBA)基金の支援によって整備が実現した。
センサリールームは、スポーツの試合観戦などのイベントで、大歓声や人混みに接した際に起こる感覚過敏に悩む自閉症や認知症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの子どもや大人の利用者が落ち着きを取り戻せるよう設計された施設だ。
ジョー・イングリス氏は、NBAのユタ・ジャズでプレーするオーストラリア代表選手。妻のレネー・イングリス氏はメルボルン・ヴィクセンズで活躍したネットボール選手で、オーストラリア代表として2015年のワールドカップ優勝に貢献した。イングリス夫妻の3歳の息子のジェイコブ君は今年1月に自閉症と診断され、一家はユタ・ジャズのホームアリーナであるビビント・スマート・ホーム・アリーナのセンサリールームを定期的に利用しているという。
ジョー・イングリス氏は、マーベル・スタジアムにセンサリールームが整備されたことについて次のように話した。
「妻のレネーや息子のジェイコブ、それに娘のミラにとって、家族みんなで快適に観戦できる環境があることは大きな意味を持ちます。感覚過敏に悩む人に安全な空間を提供するセンサリールームは、それまで大きなイベントに参加できなかった家族が、家から外の世界に出ていくきっかけを作ることになります。マーベル・スタジアムにセンサリールームを開設するお手伝いができたことを誇りに思っています」
また、レネー・イングリス氏も次のように付け加えた。
「センサリールームの整備は、スポーツ観戦に行きたいと考えているすべての人々に機会を与えることになり、ビクトリア州のスポーツ界にとってはとても大きな一歩となりました」
マーベル・スタジアムのセンサリールームには、視覚や聴覚を刺激するバブルチューブ、壁に設置されたアクティビティパネル、ウェイトひざ掛け、ビーンバッグ、そして保護者用の快適なイスなどが用意されている。ルーム内の壁には、イングリス夫妻の貢献に謝意を示す金属板が掛けられている。
同スタジアムの職員は、センサリールームを適切に運営し、スタジアムのどこにいても感覚過敏でサポートを必要とする来場客に適切な対応ができるよう、専門家の研修を受けた。また、マーベル・スタジアムではノイズキャンセリングヘッドホン、手持ち無沙汰やストレスを解消するおもちゃ数種類、言語キューカードが入ったセンサリーバッグの貸し出しも行なっている。
マーベル・スタジアムのセンサリールームを設計、整備したのは世界中で多くのスポーツクラブやスタジアムと協働し、センサリールームやセンサリーバッグの拡充に努めてきた実績のあるNPO団体のカルチャーシティ(KultureCity)だ。最近では、全米アメフト・プロリーグ(NFL)のミネソタ・バイキングスやフィラデルフィア・イーグルス、そして野球のメジャーリーグベースボール(MLB)のピッツバーグ・パイレーツのスタジアムに同様の施設を整備した。
マーベル・スタジアムでは2019年8月にスポーツイベント以外の集客を目的とした「キッズ・ゾーン」を開設したばかりだ。また、高さ16mのスパイダーマン仕様のクライミングウォールや、マーベルのスーパーヒーローたちと身長や足の大きさを比較できる「マーベル・ハイトチャート」なども設置した。
マーベル・スタジアムのマイケル・グリーン最高経営責任者(CEO)は、センサリールームの開設について次のように話した。
「私たちは、マーベル・スタジアムをただの家族向け施設以上の存在にするための新しい方法を常に模索しており、センサリールームはこの目的を達成するための大きな一歩です。設置に尽力してくれたジョーとレネーのイングリス夫妻と協働できたことを嬉しく思っています。
私たちはマーベル・スタジアムを、すべての人がイベントを楽しみ、最高の体験ができる場所にしたいのです。センサリールームが、オーストラリアのほかのスタジアムでも普及していくことを願っています」
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元記事 - MARVEL STADIUM TEAMS UP WITH NBA STAR ON SENSORY ROOM INITIATIVE
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