イタリアのサッカー、セリエA(1部)のボローニャFCは、本拠地「スタディオ・レナート・ダッラーラ」の改修案を発表した。同クラブのジョーイ・サプート会長は、改修案が他のクラブや地域にとっての好事例になると期待した。
今回の改修案では、収容人数を現在の31,000人から27,000人に縮小するものの、必要に応じて29,000人までの拡張が可能な設計にする。スタディオ・レナート・ダッラーラは1927年に開場した陸上競技場だが、改修後はゼロピッチのスタンドを整備し、すべてのスタンドに屋根が掛かることになる。工期は5年間の予定。
サプート会長は地元紙のil Resto del Carlino紙に対し、次のように話した。
「スタディオ・レナート・ダッラーラはただのスポーツ施設ではなく、イタリアや世界のスタジアムの中でも歴史的な価値を持つ記念碑的な存在なのです。歴史的建築物を現代的な施設へ改修するという意味では、今回のボローニャのプロジェクトは先駆的な事例となるでしょう。
歴史的建築物としての外観を残しつつ、すべてのスタンドに屋根を掛け、パーティやエンターテインメントの会場にもなるラウンジスペースを整備する計画で、(1934~64年まで同クラブの会長を務めた)故レナート・ダッラーラ氏にも満足していただけることでしょう」
クラブのクラウディオ・フェヌッチCEOは、欧州では過去15年間だけでも167のスタジアムの改修または新設事業があったとし、次のように話した。
「スタジアムの拡充において、イタリアは欧州の中でも大きく遅れてしまっており、結果的にサッカーを中心としたスポーツビジネスの破綻を招いてしまっています。スタジアム整備計画の多くは官民連携事業として実施されており、今回のボローニャのプロジェクトも同様です」
また、スタディオ・レナート・ダッラーラの改修設計を担当した建築士のジノ・ザヴァネッラ氏は、次のように話した。
「スタディオ・レナート・ダッラーラは、1990年ワールドカップ・イタリア大会を開催するために、1927年当時の歴史的なファサードを鉄骨で覆うように拡張された経緯があります。そのため、2015年に改修の可能性を模索した際は多くの問題がありました。
ところが2018年、耐震構造化する必要性が指摘され、それによりスタンドをゼロピッチにする方法が可能となり、1927年当時のファサードも復活することが決まったのです」
マンチェスターシティFC(イングランド)の本拠地「エティハド・スタジアム」のように、国際大会開催のための多目的陸上競技場(41,000人収容)として整備され、大会後にサッカー専用スタジアム(48,000人収容)として改修され、徐々に拡張して現在の仕様(55,000人収容)となった例はあるが、陸上競技場のスタンドを内向きに改修し、収容人数を縮小することで、歴史的な外観や躯体の構造を生かしながらゼロピッチのサッカー専用スタジアム化するプロジェクトは世界でも珍しく、新たな可能性を示したといえるだろう。
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元記事 - BOLOGNA REVEALS PLAN TO OVERHAUL STADIO RENATO DALL'ARA
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