国際陸上競技連盟(IAAF)は、新たに豪州東部のシドニー・オリンピック・パーク・アスレティックス・センターに大気汚染監視機器を設置したと発表した。
IAAFは現在、世界中の認定陸上競技場に大気汚染監視機器を設置するプロジェクトを実施中で、同競技場での設置は、IAAFにとって南半球で初のプロジェクトで、モナコ公国のスタッド・ルイ・ドゥとエチオピアのアディスアベバ・スタジアムに次いで3例目となる。
監視機器の設置は、IAAFと国連環境計画(UN Environment)が5カ年計画で取り組んでいる提携事業の一環として展開されており、大気汚染問題の啓発や対策活動の推進を目的としている。
IAAFのセバスチャン・コー会長は、今回の設置について次のように話した。
「近年は椅子に座りっぱなしのデスクワークなど、運動量の少ないライフスタイルが浸透し、心臓病や糖尿病などの慢性疾患の一因になっています。IAAFは年齢層にかかかわらず、すべての人々にもっと体を動かす生活を目指してもらいたいと考えており、様々なスポーツ普及活動を行なっています。
世界保健機関(WHO)は、2015年時点で全世界の総人口の半数以上が都市部に住んでいたとし、2030年までに全世界の60%が都市部に住むようになると予測しています。
これは、1950年に世界人口の30%が都市部に住んでいたという記録と比較すると、全世界の都市人口が80年間で倍増することを意味します。そして、健康的な生活の維持には、水道水や空気の質は非常に重要です」
豪州の陸上を統括するアスレティッス・オーストラリア(Athletics Australia)のマーク・アルビブ氏は次のように話した。
「世界で3番目の大気汚染監視機器を設置する陸上競技場として、シドニー・オリンピック・パーク・アスレティックス・センターを選定したIAAFの決定を支持します。
自然環境に恵まれているオーストラリアでは、清潔な空気は当たり前のこととして軽視されがちですが、大気汚染は私たちの健康に直接的な影響を与えるもので、世界で確認されているように、大気汚染が長期にわたって存在することで、人体には甚大な被害が出ます。
この重要な問題に対して、IAAFとセバスチャン・コー会長がリーダーシップを発揮してくれていることを歓迎します。環境改善や気候変動は、世界のすべての国々やスポーツ連盟が常に最優先課題として取り組むべき問題なのです」
IAAFは、国連環境計画との提携関係が有効な今後5年以内に、1,000ヶ所のIAAF認定陸上競技場のすべてに大気汚染監視機器を設置することを目標としている。
コー会長は今後の展望について、次のように話した。
「私たちの目標は大きなものですが、まずは小さく確実なステップを踏み出しています。第1段階としてはモナコ(2018年9月)、アディスアベバ・スタジアム(同11月)、シドニー(2019年1月)、メキシコシティ、南米、日本(すべて3月までの設置を予定)に監視機器を設置し、1年ほど試運転をしながら、どのような種類のデータを取得できるのか分析します。
同時に、競技者たちのパフォーマンスと彼らが呼吸する大気質の相関関係の調査も実施します。
陸上競技の大会は、IAAFに加盟する214ヶ国の陸上連盟によって運営されており、その意味では私たちは国連よりも大きな組織といえるでしょう。IAAFの持つ知見や発言力、そして競技者たちの影響力を総動員し、大気汚染の問題を各国の議員や一般の方々に周知することが急務です。
そのためには、確固たる事実に基づく認識を共有すること、教育を通じて大気汚染がコミュニティや子供たちにどのような影響を及ぼすのか理解を深めること、そして汚染物質の規制に関する厳格な法整備を求める強い決意が必要不可欠なのです」
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元記事 - IAAF INSTALLS LATEST AIR QUALITY MONITOR AT SYDNEY VENUE
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