2019年からアメリカのメジャーリーグ・サッカー(MLS)に新規参入するFCシンシナティは、2021年の完成を目指して建設される新スタジアムの起工式を行なった。新スタジアムの総工費は2億5,000万米ドル(約271億2,000万円)で、資金は100%民間投資によって調達される。
FCシンシナティは2021年の同スタジアム完成に合わせて本拠地を移転する考えだが、実際の工事開始までに解決すべき課題を指摘する声もある。
地元紙のシンシナティ・エンクワイヤラー紙は、スタジアム躯体の基礎工事が始まる2019年3月1日までに解決しなければならない問題が複数あると指摘する。3月1日のデッドラインを超えると、2021年の完成目標の達成は厳しくなり、クラブが現在本拠地としている日産スタジアムのリース契約も切れてしまう。
同紙はFCシンシナティが抱える未解決問題の一つとして、スタジアム建設に必要な2か所の市有地の取得契約の締結を挙げる。
また、クラブはスタジアム計画に、市の条例が定める5,300台の最低駐車台数を上回る数の駐車スポットを含めているが、駐車場に関しても懸念事項があるとされている。シンシナティ市の都市計画委員会による承認や関連する各種認可も3月前の取得が必須だ。
ただ、MLSコミッショナーのドン・ガーバー氏は、FCシンシナティの新スタジアム事業は、同氏が経験した中でも最も迅速かつ合理的なプロジェクトだと評価した。
その上で、同氏はスタジアム建設には多くの難題が付きまとうものだとしつつ、シンシナティ・エンクワイヤラー紙に対して次のように述べた。
「FCシンシナティが創ろうとしているのはスタジアムだけでなく、地域コミュニティの成長そのものなのです。MLSでもスタジアム自体は大変美しいのに、駐車場の問題でアクセスに支障をきたしているプロジェクトはあります。そのような場合、スタジアム完成直後は大きな盛り上がりを見せても、アクセスが悪いと楽しみは減っていくものです」
新スタジアムの収容人数は25,500~26,000人を予定しており、設計はマイス(MEIS)社が担当した。ターナー・コンストラクション(Turner Construction)社が施行管理を、そしてザ・マチェーテ・グループ(The Machete Group)がスタジアム建設全体の管理を請負う。ファイナンス・パートナーに就任したU.S.バンク (U.S. Bank) 資金の調達や管理を担当する。
新スタジアムの特徴的なファサードにはエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)という熱可塑性フッ素樹脂が使用される。ETFEは透光性の素材で、LED照明により、建物の外壁を発光させ、色を変えることもできるようになる。
マイス社の創業者で設計部門を率いるダン・マイス氏は、MLS公式ウェブサイトに対し、イノベーション都市としてのシンシナティを表現する際に、ドイツの名門・バイエルン・ミュンヘンの本拠地「アリアンツ・アレーナ」にインスピレーションを受けたとし、次のように話した。
「新スタジアムはFCシンシナティにぴったりなものになります。私たちは、スタジアムを見た人々が『あれはまさにシンシナティ建築であり、FCシンシナティというクラブそのものだ』と話せるようなスタジアムを生み出したいのです。
ETFEは個人的にも気に入っており、スタジアムをクラブカラーのオレンジに発光させることで、その息吹を表現したいと考えています。
例えば、私はニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンが大好きなのですが、あの天井を見ると、誰しも自分がどこにいるかすぐにわかります。新スタジアムも、見た人が親近感を持つ建物でなくてはなりません」
FCシンシナティは2017年5月にMLS新規参入が認められ、2019年シーズンは24チームが同リーグに参加する。
※金額はすべて2019年1月上旬で換算
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元記事 - FC CINCINNATI BREAKS GROUND ON NEW STADIUM
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