2020年にアメリカのメジャーリーグ・サッカー(MLS)への新規参入が決まっているナッシュビルSCの新スタジアムの敷地が決まった。市長交代や市政の刷新など、政治的な紆余曲折を経たものの、スタジアム整備への道筋が立ったことは大きい。
MLSは2017年12月に、新規参入クラブのライセンスをナッシュビルに交付することを決定していたが、ライセンス交付の決め手の一つとなったのが、新スタジアムの立地であるフェアグラウンズ・ナッシュビルの敷地だった。
だが、ナッシュビル市の当時のミーガン・バリー市長が2018年3月にスキャンダルで辞任。市制の混乱の中、総工費2億7,500万米ドル(約303億円)の新スタジアムの将来については、多くの議論がなされた。
バリー前市長の後任のデイビッド・ブライリー新市長も新スタジアム計画を後押しし、数回にわたる採決の末、フェアグラウンズ・ナッシュビルが新スタジアムの立地として確定した。なお、計画には27,500席のサッカースタジアムの他に、住宅や小売店、ホテルといった10エーカー(約40,470m2)にわたる周辺開発の整備事業も含まれる。
地元紙のテネシアン紙は、立地に建つ既存の建物や構造物の解体に関する条例案の決議が賛成31票・反対8票で可決した、と報じた。単純に過半数で可決される他の3案と違い、この条例案の可決には少なくとも27票の賛成票が必要とされていた。
ナッシュビル市は2億2,500万米ドル(約248億円)をレベニュー債で負担し、クラブは初期資本金として2,500万米ドル(約27億5,000万円)を用意する。
ただし、クラブは予算超過分の費用全額と、MLSが設定した1億5,000万米ドル(約165億円)の新規参入料も支払う。また、新スタジアムの入場券には1枚あたり1.75米ドル(約193円)のチケット税が課せられ、その収入も整備費用の補填に充てられる。
何とか可決に持ち込んだスタジアム整備事業関連条例だが、賛成票を投じた全州選出のシャロン・ハート市議は、多くの市議が葛藤を抱えていたとし、テネシアン紙に対して次のように話した。
「私自身もこの大型事業については非常に迷った部分もありました。元々は反対の立場だったのですが、この事業がナッシュビル市にとって素晴らしいものになると納得し、賛成の立場になったのです」
また、フェアグランズの境界の地区から選出されているマイク・フリーマン市議は、賛成の立場を表明したことが議員声明に影響を与える可能性があるとし、次のように話した。
「賛成票を投じたことについて、私には選挙区の有権者の皆様にしっかりと説明する義務があります。私個人としては反対だったのですが、近隣には、スタジアム整備事業がサウスナッシュビルの16区にとって大きなチャンスになると賛成している人が多いのも事実です」
なお、スタジアム事業の採決に先立ち提出された、5,000万米ドル(約55億円)の一般財源保証債の合否を決める住民投票条例案の動議は、賛成12票・反対25票で否決された。スタジアム事業に反対していた全州選出のジョン・クーパー市議は、次のように話した。
「今回の議論は決してサッカーの発展の邪魔をするためではなく、有権者の皆様の声を聞くためのものでした。以前にナッシュビルでサッカーに関する採決があったときのことを覚えているはずです。
市の財務部長には、市の財政が破綻する懸念があると言われました。有権者の皆様の承認を得ることが必要不可欠なのです。何しろ、立地候補地のフェアグラウンズは、100年以上もの間、ナッシュビル市民が最も大事にしてきた土地なのですから」
ナッシュビルSCは、2018年からMLSの下部リーグのユナイテッド・サッカー・リーグ(USL)に所属しており、2020年にMLSに参入する予定だ。
同クラブは、新スタジアムが開場する予定の2021年2月までの期間は、アメフトプロリーグ(NFL)のテネシー・タイタンズの本拠地「日産スタジアム」でホーム戦を開催する予定だ。
※金額はすべて2018年12月下旬で換算
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元記事 - NASHVILLE GIVES GREEN LIGHT TO MLS STADIUM
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