ルーマニアのスタディオヌル・イオン・オブレメンコ、ボッシュのセキュリティ・システムを導入
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スタディオヌル・イオン・オブレメンコの内部
スタディオヌル・イオン・オブレメンコの内部 (画像:ESSMA)

2017年10月に落成したルーマニア・クライオヴァ市のスタディオヌル・イオン・オブレメンコは、30,000席以上の客席を誇る、同国で最も現代的なスタジアムだ。

この未来的なスタジアムのデザインは、ルーマニア人彫刻家のコンスタンティン・ブランクーシ(1957年没)の作品から着想を得ている。総工費は5,100万ユーロ(約66億円)で、完成には2年半の歳月を要した。

地元のクラブチームであるFCウニヴェルシタテア・クライオヴァが本拠地として使用している。

この大型プロジェクトには、当初から明確な目的があった。それは、サッカーの国際試合やルーマニアリーグの注目試合、その他の大型イベントなどを首都ブカレストだけでなく、ジウ川沿いのクライオヴァ市でも開催できるような会場を建てるというものだ。

実現に際し、大型イベント開催時の観客の安全を保証するために、2020年欧州選手権用の厳格なガイドラインに沿ったスタジアム・セキュリティ・ソリューションの導入がクライオヴァ市には求められた。

スポーツイベント用スタジアムにおける豊富な経験を持ち、必要な機器の納入を単一窓口でできる業者を模索した結果、クライオヴァ市の担当社はドイツのボッシュを選定した。

圧倒的な外観
圧倒的な外観 (画像:ESSMA)

契約締結後、ボッシュの専門チームはスタジアムの現場チームと密接に協働し、まずは消防・安全ソリューションとして4基の火災警報盤と1,500台の探知機を設置。また、音楽演出や実況音声用のエレクトロ・ボイス・プロ・サウンド・スピーカー、避難指示用のダイナコード・プロマトリックス(Dynacord Promatrix)、内部音響用の拡声器、メディア会見場の会議・通訳システムなど、高品質の音響システムも導入した。

だが、真に注目すべきは、スタディオヌル・イオン・オブレメンコに新たに導入された包括的ビデオセキュリティ・ソリューションだろう。同スタジアムには、211台のカメラが設置され、そのすべてがボッシュ・ビデオ・マネジメント・システム(BVMS)のエンタープライズ版により、単一プラットフォームで一元管理されている。まさに、完全に統合されたビデオ・セキュリティ・システムだ。

また、出入り口やスタジアム周辺の要所に設置された監視カメラはすべてネットワークで連携しており、115台のDINION IP bullet 5,000型カメラがスタジアムへと繋がる主要道路を監視。また、86台のFLEXIDOME IP 5,000型カメラは来場客を絶えず監視する。

さらに、スタジアムの外側に2台、内部に6台の合計8台のAUTODOME IP 7,000型カメラは、インテリジェントビデオ解析(IVA)を搭載しており、スタジアムの防衛網に厚みを加えている。

IVAはスマート映像監視機能に必要不可欠だ。例えば、インテリジェント・トラッキングは事前に定義した警告規則に従い、移動物体を自動的に追尾する。このような監視対象の自動追尾以外にも、同スタジアムのセキュリティ担当社は、サポーターの一団や特定の個人を手動で追尾することも可能だ。

全211台のカメラが記録するビデオストリームは、スタジアムの中央セキュリティルームの担当オペレーターや警察当局の職員が試合中に随時監視できるようになっている。記録されたビデオデータは、合計256TBの 記憶容量を持つボッシュ製ネットワーク・ビデオ録画ユニット「DIVAR IP 7,000」2台に安全に保存される仕組みだ。

DIVAR IP 7,000にはビデオ・レコーディング・マネジャー(VRM)のソフトウェアがインストールされており、記録されるビデオストリームを利用可能なストレージ機器にバランスよく自動配分することで、ストレージ容量の過度な消費やコストを削減しつつ、高い信頼性を確保する。また、同ユニットは、セキュリティ担当者が数時間にもおよぶ膨大なビデオデータから、動かぬ証拠を迅速に探し出すことができるフォレンジック調査もサポートしている。

国際的なガイドラインを遵守したことで、スタディオヌル・イオン・オブレメンコはルーマニア1部リーグ、ヨーロッパリーグ(EL)やチャンピオンズリーグ(CL)などの欧州大会、そして代表チームの国際試合の開催が可能なUEFA認証を取得した。クライオヴァ市の職員は、同スタジアムに導入されたソリューションの利便性と費用対効果の高さに満足している。

2020年欧州選手権用ガイドラインに従って建設されたルーマニア初のスタジアムとなったスタディオヌル・イオン・オブレメンコは、近い将来に建設予定の欧州の他のスタジアム計画のモデルケースといえるだろう。

※金額はすべて2018年8月上旬で換算

©2018 PanStadia & Arena Management - reproduced with permission.
元記事 - Bosch security installed at Ion Oblemenco Stadium

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