サウサンプトン市議会は、サッカーのイングランド・プレミアリーグ(1部)のサウサンプトンFCの本拠地「セント・メリーズ」にセーフスタンディング席(安全性を考慮した立見席)を導入すべきか審議する。
これに先行したウェストブロムウィッチ・アルビオン(WBA)の導入申請は、政府によって却下された。
イングランドでは、1989年に96名のリヴァプール・サポーターが命を落とした「ヒルズボロの悲劇」の調査をまとめた「テイラー報告書」の提言を受け、プレミアリーグとチャンピオンシップ(2部)における立見での試合観戦は禁止されている。
2017年の聞き取り調査によると、プレミアリーグに所属する20クラブの半数が、セーフスタンディング席の試験導入を検討していると回答している。サウサンプトン市議会の審議は2017年5月に予定されている。サウサンプトンの地方紙「デイリーエコー」によると、セント・メリーズでのセーフスタンディング試験導入は、レッドブリッジ地区選出のアンドリュー・ポープ市議(無所属)が昨年提案したもの。
ポープ市議は同紙に以下のように説明した。
「市議会には言葉ではなく、行動が求められています。5月の市議会では、私が提案した動議が支持されることを願っています。セーフスタンディングは多くのクラブが支持しています。安全性に関わることであり、(導入が)実施されることは重要です。導入により、スタジアムの雰囲気もさらに良くなり、セキュリティとサポーターの小競り合いも起こらなくなります。
今回の動議は、クラブが正式にセーフスタンディングを支持するよう求めるもので、セインツ(クラブの愛称)のオーナーによる支持も必要です。セーフスタンディングに関する議論は、もはや導入か否かではなく、いつ導入か、というものです。クラブは、サポーターたちに敬意を払わなくてはいけません」
保守政党のサウサンプトン・コンサバティブのジェレミー・モールトン党首も今回の提案を支持している。
関連ニュースで、同じくプレミアリーグのWBAは、本拠地「ザ・ホーソンズ」にセーフスタンディング席を試験的に導入する申請が却下されたことを発表した。
ウェスト・ミッドランズ地域のWBAは、2018年夏のセーフスタンディング席の試験導入を目指して正式に申請していた。設置箇所は、ホームとアウェーのサポーターが集まるスメズウィック・エンド・スタンドだった。
だが、英国政府のトレーシー・クラウチ・スポーツ大臣は、サッカースタジアムにおける立見席の全面禁止という方針を変更する計画はないとし、申請を却下した。
セーフスタンディング席の導入を申請したWBAのマーク・マイルズ運営部長は、今回の政府の判断を批判した。
マイルズ運営部長は以下のように話した。
「今回のスポーツ大臣の却下の判断は、驚きであり、同時に失望もしています。多くのサポーターが今回のクラブの提案を支持してくれたので、彼らもがっかりすることでしょう。この提案は、クラブとサポーターが協議する「アルビオン・アセンブリー」でも議論されており、クラブ会員も明らかに導入を支持していました。
クラウチ大臣は今回の一件を近視眼的な見方で判断されたと思います。サポーターにとって安全な観戦環境を整備する機会が失われたわけです。立見席全面禁止の規定は25年前に作成されたもので、現在のサッカー観戦を取り巻く環境は当時とは随分違うものです。
我々が提案したセーフスタンディング席の運用方法はヨーロッパ中で試験され、イングランドとウェールズとは法律の異なるスコットランドのセルティックで成功しているものです。クラブとしては試験的に導入することでデータや感想を収集し、観客の安全について検証するつもりでした。
いずれにせよ、私はセーフスタンディングが安全性を強化するものだと考えています。クラブは今回の決定に非常に失望しており、再審査を要求する書面を送付済みです」
なお、スコットランド・プレミアシップ(1部)のセルティックFCは、本拠地「セルティック・パーク」の一部の客席にセーフスタンディングを導入している。前述のテイラー報告書は、スコットランドのクラブには適用されない。
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元記事 - SAFE STANDING TO BE EXPLORED AT ST MARY'S AS WEST BROM SEE PROPOSAL REJECTED
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