スコットランドの建築設計事務所がハンプデン・パーク大規模改修デザイン案を公開
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ハンプデン・パーク改修後の鳥瞰イメージ
ハンプデン・パーク改修後の鳥瞰イメージ (画像:Holmes Miller)

スコットランドのグラスゴーに本社を置く建築設計事務所のホームズ・ミルナー(Holmes Miller)社は、新たに可動式屋根と半透明の外郭ファサードを設置した場合のハンプデン・パーク改修案を公表した。

1903年に開場したハンプデン・パークは、スコットランド代表チームの本拠地で、現在の収容人数は51,866人。直近では1999年に大規模改修を実施している。

BBC Scotlandの報道によると、ホームズ・ミルナーが公開した今回のデザイン案では、ハンプデン・パークを65,000席のサッカー専用スタジアムへと改修するコンセプト案が提示されている。

スコットランド・サッカー協会(SFA)は、ハンプデン・パークの将来的な改修を見据え、2020年にホームズ・ミルナーにコンセプト案の製作を依頼。同社は、ハンプデン・パークを世界屈指のスタジアムに進化させるビジョンの策定を目指した。

現在は陸上用トラックがあり、陸上競技等も開催可能な多目的スタジアムとして知られるハンプデン・パークだが、ホームズ・ミルナーの改修案では可動式屋根によってスコットランド最大の全天候型屋内アリーナとしての利用も見込まれている。

また、同社案では、質の高い飲食売店が立ち並ぶファン体験重視のコンコース、メインスタンド寄りに移動したピッチ、リヴァプールFCの本拠地『アンフィールド』のゴール裏『コップ・エンド』を彷彿させる東西スタンドの導入などについても言及している。

なお、3万人以下の観客動員が見込まれるイベント開催については、ホームズ・ミルナーは、屋根からカーテンを降ろして客席ボウルの上層階部分を覆うことにより、観客が没入感を失わない雰囲気を醸成したいとしている。既存の南スタンドの機能においても、改修によってSFAの試合運営機能やVIPホスピタリティエリアが拡充されるとしている。

スタジアム全体を覆う「カメレオン」ファサードは、DMX LEDを設置することで、試合日にチームカラーを発光することが可能だ。さらに、スタジアムに直接アクセスできるよう、スコットランドの海岸線の地形をモチーフとした高架デッキが駐車場の直上に整備される。

ハンプデン・パーク改修後の断面イメージ
ハンプデン・パーク改修後の断面イメージ (画像:Holmes Miller)

ただ、BBC Scotlandは、プロジェクト実現のための資金調達計画の一部は、英国による2030年FIFAワールドカップの招致活動の一環として進められていたため、招致の対象が欧州サッカー連盟(UEFA)のEURO 2028に切り替わった時点で、調達計画も影響を受けたと報じている。また、新型コロナウイルス(COVID-19)蔓延による社会・経済的な打撃を受け、政府による支援も不足していることから、プロジェクトの推進も困難になっていると指摘している。

ホームズ・ミルナーのプロジェクト・ダイレクター、イアン・クーニー氏はBBC Scotlandに対し、次のように話した。

「2020年に弊社は、実現可能なハンプデン・パーク改修プロジェクトのコンセプトビジョンを作成するよう依頼され、ナショナル・スタジアムとしての魅力を保持しつつ、現状よりも観戦環境や施設が良く、来場客に素晴らしい体験を提供できる世界屈指のスタジアムの新たな姿を提案しました。

スタジアム改修に関する協議は、英国による2030年FIFAワールドカップ招致活動、そしてその後はUEFA EURO 2028招致活動を通じて継続され、現在は後者の開催国が決定するのを待っている状態です。ハンプデン・パークに子供の頃から訪れている一人のサッカーファンとして、ハンプデン・パークの改修ビジョン作成に携わることができたのは素晴らしい体験でした」

だが、SFAのマイク・マルレイニー会長は、協会が最重要視しているのはサッカーの普及と育成であり、ハンプデン・パークの改修については慎重に協議すべきだとしたうえで、BBC Sportsoundに次のように話した。

「常に公表しているわけではありませんが、まとまったハンプデン・パーク改修費用が調達できれば、すぐにでも始動できるように2、3の計画を準備しています。

ただ、現時点の協会の最優先課題は、サッカーの普及や育成などの施設の改善であるため、例え誰かが5億ポンド(約911.5億円)を協会に寄付してくれたとしても、すぐにその資金をハンプデン・パーク改修に使うことはありません。

(英国政府の)デジタル・文化・メディア・スポーツ省(Department for Digital, Culture, Media and Sport)が2,000万ポンド(36.5億円)を交付してくれたばかりですが、その資金も普及や育成の現場に使います」

2023年6月上旬、スコティッシュ・チャンピオンシップ(2部)のクイーンズ・パークFCは、2023-24年シーズンから再びハンプデン・パークを本拠地とすることでSFAと合意した。

クイーンズ・パークFCは、1903年のハンプデン・パーク開場時から2021年まで同スタジアムを所有し、本拠地としてきた歴史があるが、隣接するレッサー・ハンプデンを改修する方針を打ち出したため、2020年8月にハンプデン・パークの所有権をSFAに売却していた。

※金額はすべて2023年7月下旬で換算

Copyright: Xperiology/TheStadiumBusiness.com - reproduced with permission.
元記事 - Vision revealed for revamped Hampden Park

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